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第十一幕 朝
「おはよう、康ちゃん」
そう言う雪原の声で目を覚ました。
「んあ、おはよう。あいつらはどうしてる?」
雪原は一瞬きょとんとした表情を浮かべたが、すぐに誰を指しているかは分かったようだ。
「浩二ちゃんは周りの茂みで野草を探してる。芽衣ちゃんはまだ寝てるよ」
「おお……そうか」
起き上がってテントの外に出る……も、することも特にない。
先生からは「技を使った後は安静に」と言われていたが、それほど体にも負担は残っていないようだった。
岡坂が集めてきた野草を朝食として、テントを片付け、俺たちはまた森の奥へ向かう。
それから30分ほど時間が経った。
「おい、岡坂。ほんとにこの道で合ってるんだろうな?さっきから景色に全然変化がないんだけど」
「康ちゃんそれってさ、火鉢先生の話と似てない?」
「確かに似てますね」
「ってことはやべえな、火鉢先生の話では、逃げるだけでも相当大変だったらしいぞ」
……みんなは少し不安を感じているように見えた。