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Dragoon→Dragon Knights  作者: 巫 夏希
第二章
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第二十話 信頼

「くそっ。ドワーフの王は永世中立を保っているはず。ならば、俺たちに攻撃をする理由なんて無いはずじゃ……」

「いいや、あるよ」


 言ったのはフィアーだった。


「……僕は、王を、父を殺した。僕の意思に従ってくれなかったから。いや、正確にはライアンの壺にそう示されていたから」

「ライアンの壺……確か世界のありとあらゆる事象が記されている壺だったか。それに書かれていたから、何をしたって良いと思ったのか! 人を殺しても良いと思ったのか」

「王は偽りの壺の予言を行って、そして国民はそれを信じ切っていた。永世中立とは、つまり他国との交流をも絶つことになってしまうだろうし、将来的にはそうなることが予想されていた。その結果、何が生まれる? 結果として生まれるものは、ただの破滅だ」

「だから、殺した?」


 こくり。フィアーは頷く。

 それを見てラインハルトは頭を掻くと、


「まったく、厄介なことをしてくれたものだ。……まだシンギュラリティの修理は終わっていないというのに。どうする、ブラン?」

「おぬしに任せるよ。おぬしが戦うのであれば、儂も力を貸そう」

「……だとしたら、やることは決まっている。戦うしか無い、な」


 ばさり、と翼をはためかせるブラン。

 それだけで風が吹き上げ、その風は森中に広がっていく。


「これで、儂とおぬしはこの森に誰がいるか……その『声』を聞くことができるようになった。本来ならばある程度段階を踏む必要があるのだが、致し方あるまい。実際は、声を聞き分けることだけできれば良いのだが、人間の声は愚かで、巨大で、虚勢なものだから、きっと声を聞き分けることは容易だろう」

「成程。ならば容易いことだ」


 ブランの背中に乗り、ラインハルトは剣を構える。


「俺は空から敵を殲滅させる。アリアたちは、地上からの攻撃に備えてくれ!」

「承知した。……竜騎士殿」

「ラインハルトだ。……その名前くらい、覚えておいてくれ」


 そして、ラインハルトはそのまま空へと消えていった。


「さあ、王子の尻拭いを始めるとするか」


 アリアはレイピアを抜き出すと、それを構え始める。


「済まない、アリア。せめて君には言っておきたいと思っていたのだが」

「言う言わないの話ではありません。行動の問題です。あなたがたとえライアンの壺を覗き見る能力を持つ存在であったとしても、あなたがその行動をしたことには責任を取らねばなりません。責任を伴わない行動には、誰もついてきませんよ」

「それは……」

「分かっている、とは言わせません。あなたは何も分かっていない。……いつになれば分かってくれるのですか」

「それは、」

「世界は醜くも、残酷です。だが、それを生きていくのが人間であり命でしょう! あなたがどうあれ、世界を壊そうと思ったのかは別として、あなたが父親を殺した事実は永遠に消えない。だからこそ、あなたは受け入れて生き続けなければならない。もしそれが嫌ならば、」


 アリアはレイピアをフィアーに突き刺そうとし、


「私があなたをここで殺す」

「あ、アリア様! いくら何でもそれは言い過ぎでは……」

「黙れ!」


 私兵の一人がアリアに意見を述べようとしたが、それよりも早くアリアは否定する。

 対してフィアーは何も言わなかった。肯定も否定もしなかった。


「……結局の話、あなたはどう思うのか。それですべてが決まります。壺の中身を見ることができると言っても、それを実際に実行するのは我々です。……でも、あなたは壺の中身を実行した。あなたは、何を考えているのか定かではありませんが」

「僕は、間違いを正したかった」

「は?」

「……僕は、壺の中身を見えていた。けれど、もし見えていたのが父も同じならば、父は破滅の道をわざわざ辿ろうとしていた。それはおかしな話だろう! だから、僕は、」

「だから殺した」

「そうだ。だから、僕は殺した。自分の父であり、国王を」

「だから殺したのですね?」

「運命というレールから、外れたかった。僕は僕だけの人生を歩みたかった。しかし、こういう性質なものだからすべてを知ってしまった。誰がいつ死ぬか生まれるかの生き死にだけではなく、事故などのマイナスも、業績が好調になるとかのプラスの要素も、すべてを見ることができた。だが、すべて見られるからといってその恩恵を一手に受けられるはずが無い。そうだろう?」

「それもそうですが……。その結果がこれだと?」

「それについては君たちにほんとうに申し訳ないと思っているよ。……だが、ついてきてくれないか、アリア。この戦争がどういう結果をもたらすかも僕は知っている。そして、僕は勝つことが分かっている。だから受け入れてくれ、お願いだ」

「別に逆らうつもりはありません。……ですが」

「ですが?」

「少しは私たちにも相談してください。一人で抱え込まないでください。何のための私兵だと思っているのですか。もっと我々に、頼って良いんですよ」



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