第64話
昼休み、電話を掛けると晴美は結構元気そうだった。
熱があって体が怠いので休んだらしいとわかってサンレイとガルルンは一安心だ。
楽しそうに電話をしているガルルンの背を英二がポンポン叩く、
「篠崎さんが疲れるといけないから長電話はダメだよ」
晴美の心配だけじゃなくて委員長のスマホで話しているのでそっちの心配もある。
英二の心配などお見通しなのか委員長が笑いながら口を開く、
「かけ放題に入ってるから料金は気にしなくてもいいわよ、でも篠崎さんが心配だから長電話は止めた方がいいわね」
わかったと言うようにガルルンが頷いた。
「また後でかけるがお、晴美が元気でよかったがお」
通話を切ろうとしたガルルンをサンレイが止める。
「おらに一寸代れ」
奪うようにスマホを取るとサンレイが話し出す。
「おらだぞ、晴美ちゃん元気そうで安心したぞ」
少し会話をした後でサンレイが本題に入る。
「明日学校に来るんだぞ、熱があっても頭痛くても来るぞ、おらが除霊してやるからな、晴美ちゃんのは風邪じゃないぞ、悪い気が憑いてるんだぞ、だからおらが除霊したら直ぐに治るぞ、だから絶対に来るんだぞ」
晴美からの返事を聞いて大きく頷くと通話を切った。
「委員長助かったぞ、これで晴美ちゃんは大丈夫だぞ」
スマホを委員長に返すサンレイの横でガルルンが笑顔で口を開く、
「流石サンレイがお、電話を通して霊気を送ったがお、晴美がこれ以上悪くならないがお、明日は来れるがお」
「そんな事も出来るのね……流石パソコンの神様ってところだわ」
スマホを片付けながら驚く委員長を見上げてサンレイが胸を張る。
「電光石火と同じようなもんだぞ、おらの霊気だけを晴美ちゃんに送ったんだぞ、おらの霊気がバリヤーになってるからこれ以上悪くならないぞ、明日学校で除霊して完全に治してやるぞ」
ドヤ顔のサンレイに秀輝が持ち上げるように話し掛ける。
「流石サンレイちゃんだ。サンレイちゃんが除霊してくれれば安心だぜ」
上目遣いで秀輝が続ける。
「それでさ……浅井と中川も除霊してやってくれないか」
サンレイが除霊で力を消耗するのは知っているが仲の良い友人である2人を助けたいと思って頼んだのだ。
英二がサンレイに向き直る。
「浅井と中川だけじゃなくて、休んでる他の奴らも除霊してやってくれ、俺の力を使ってもいいからさ、除霊くらいなら俺の力があれば何十人でも出来るだろ」
サンレイが英二と秀輝の腰の辺りをバンバン叩く、
「初めからそのつもりだぞ、浅井と中川は漫画を回してくれるからな、取り敢えず明日はこのクラスの除霊をしてやるぞ、そんで明後日は学校全体の悪い気を祓ってやるぞ」
「流石サンレイちゃんだ」
安心する秀輝の横で英二が不安に顔を曇らせる。
「そんな事して大丈夫なのか? また消えたりしないよな」
「そうだぜ、無理するなら除霊なんてしなくていいからな」
思い出したのか秀輝も顔を顰めて言った。
サンレイが笑いながら英二と秀輝をバンバン叩く、
「心配無いぞ、これくらいの邪気を祓うくらいで消えたりしないぞ、昔のおらとは違うぞ、準備万端で出てきたからな、でも学校全体の気を祓うのは英二とガルルンにも霊力を借りるぞ、流石に一人じゃ疲れるからな」
「それならいい、俺の力でよければ幾らでも使ってくれ」
「ガルも手伝うがお、毎朝お菓子貰ってる御礼がお」
安心顔で頷く英二と笑顔のガルルンを見てサンレイがニッコリ笑った。
翌朝、英二たちが登校すると先に来ていた宗哉が笑顔でやってくる。
「英二くんおはよう、サンレイちゃんとガルちゃんもおはよう」
「おっはぁ~、宗哉、今日は早いな」
「宗哉、おはようがお、今日もお菓子貰ったがお」
元気に手を上げて返すサンレイの横でガルルンが嬉しそうにお菓子で膨れた鞄を叩く、
「宗哉おはよう、サーシャとララミもおはよう」
2人の後ろで英二が挨拶すると宗哉の左右にいたメイロイドのサーシャとララミが微笑んだ。
「英二くん、おはようデス、サンレイ様、ガルルンさんもおはようございますデス」
「おはようございます英二さん、サンレイ様とガルルンさんもおはようございます」
手を上げて挨拶を返すサーシャと違いララミは丁寧に頭を下げる。
「おう、サーシャとララミ、おっはぁ~だぞ」
「おはようがお、今日のお弁当も楽しみがお」
2人に笑いかけるサンレイとガルルンを見て宗哉が手提げ袋から何かを取り出した。
「サンレイちゃんとガルちゃんにプレゼントがあるんだ」
「プレゼント? 何くれるんだ? アイスか? アイス食い放題だぞ」
「チーカマがお? チーカマくれるがお」
遠慮の無い2人の前で宗哉が爽やかに微笑む、
「はははっ、アイスとチーカマは今度持ってくるよ、今日はこれを持ってきたんだ」
宗哉が2人に箱を差し出した。
「スマホか? 」
箱を見て英二は一目で分かった。
「スマホ…… 」
サンレイが箱を開けると最新型のスマートフォン一式が入っていた。
隣で同じように箱を開けたガルルンの顔がぱ~っと明るくなっていく、
「スマホがお、これがあれば晴美やいいんちゅと何時でも電話できるがお」
「そだぞ、朝でも夜でも何時でも話し放題だぞ、それだけじゃないぞ、ゲームとか漫画とか動画とか何でもできるぞ」
「何でもがお……貰っていいがお? 」
ガルルンが嬉しそうな顔をして宗哉を見つめる。
「うん、サンレイちゃんとガルちゃんにプレゼントするよ、電話があると僕たちも何かあれば連絡できるからね」
「やったぞ、流石宗哉だぞ、太っ腹だぞ」
「わふふ~~ん、ガル欲しかったがお、サンレイみたいに瞬間移動できないがう、電話があれば会いに行けなくても話ができるがお」
優しい顔でこたえる宗哉の前でサンレイとガルルンが大喜びだ。
「昨日言ってた電話ってこれの事か…… 」
何とも言えない表情の英二に宗哉が振り向く、
「いいよね、プレゼントしても、もちろん料金は僕が持つよ、かけ放題でネットし放題のプランに入っているよ、連絡手段は幾つあってもいいからね、僕たちが助けを求める事も出来るし、英二くんたちに何かあった時に駆け付ける事も出来る。だから必要だよ」
じっと見つめる宗哉の向かいで英二が溜息をついた。
長い付き合いで宗哉の事は分かっている。今の宗哉は決めたら譲らない我儘な目付きだ。
こたえあぐねる英二の後ろから秀輝が首を出す。
「おっスマホかよ、俺のよりいいヤツだぜ」
「おぅ、秀輝おっはぁ~だぞ、いいだろ宗哉がくれたんだぞ」
「おはようがお、これでガルも電話が出来るがお、秀輝の番号とメアドを教えるがお」
満面の笑みで自慢気にスマホを見せるサンレイとガルルンの前で秀輝の顔が緩んでいく、
「おぅ、後でメアド交換しようぜ、SNSにも入らないとな、可愛い2人と友達だって自慢できるぜ」
秀輝が慌てて鞄を自分の机に置きに行く、入れ替わりに小乃子と委員長がやってくる。
「いいなぁ、それこの前出たばかりのヤツだろ、あたしなんて二つ前の古いの使ってるよ」
羨む小乃子を見て宗哉が微笑みながら口を開く、
「先月出たばかりの最新だからね、そうだ…… 」
話しを止めるとカタログを取り出した。
「サンレイちゃん、ガルちゃん、色が気に入らなかったら好きな色を持ってきてあげるよ、どの色がいいか迷って幾つか買ったからさ、それでサンレイちゃんとガルちゃんが選んだ後で残ったヤツなら久地木さんや委員長にもプレゼントするよ」
カタログを食い入るように見ているサンレイとガルルンの後ろから小乃子が身を乗り出す。
「マジか? マジで貰ってもいいの? 」
「うんいいよ、2人が選んだ残りだけどね」
爽やかに微笑みながら宗哉がこたえると小乃子の顔に笑みが広がる。
「いいよ、残りでも何でも、最近のは高いから買い換えたくても出来なくて困ってたんだよね、本当に助かるよ」
喜ぶ小乃子の横で委員長が自身を指差す。
「私もいいの? 」
「もちろん、そのつもりで昨日帰りに買ったんだよ、サンレイちゃんとガルちゃんに選んで貰って残りは委員長や英二くんにも使って貰おうってさ」
「じゃあ遠慮なく貰うわね、私のも中学から使ってるヤツで新しいの欲しかったんだ」
嬉しそうな顔で言う委員長の横に秀輝が立つ、
「英二もって事は俺の分もあるよな」
「ちょっ、遠慮しろよな」
英二が顔を顰めて秀輝の腕を引っ張る。
「はははっ、もちろんだ。サンレイちゃんや委員長が選んだ後の残った色でいいならあげるよ、英二くんは好きな色を言ってくれれば幾らでも用意するからね」
「よっしゃぁ~、新スマホゲットだぜ」
ガッツポーズで喜ぶ秀輝と違い英二は複雑な表情だ。
「俺は別に…… 」
断ろうとした英二の耳にサンレイをからかう小乃子の声が聞こえてきた。
「でも使えるのか? スマホなんて使った事無いだろ」
「使えんぞ、時々英二や秀輝の使ってるぞ、スマホくらいスイスイだぞ、なんたっておらはパソコンの神だからな」
「パソコンの神様って言っても30年も昔のパソコンだろ、インターネットも無かった時代の、本当に使えるのか? 」
「うぅ……小乃子は意地悪だぞ」
悔しそうに頬を膨らませるサンレイの隣でガルルンが不安気に口を開く、
「ガルも電話くらいしか使い方知らないがお」
委員長がガルルンの頭を撫でる。
「ガルちゃん可愛いぃ~、それじゃあ、休み時間に使い方を教えてあげるわね、一緒にSNSしようね」
小乃子がサンレイの膨れた頬を突っついた。
「そんなに怒るなよ、冗談だろ、あたしも教えてやるよ、だから機嫌直せよ」
「怒ってないぞ、怒りも吹っ飛ぶぞ、だってだって、スマホ貰えたんだからな」
喜ぶサンレイに宗哉が向き直る。
「色はそれでいいの? 他の色が良かったら交換するよ」
サンレイがニパッと笑ってこたえる。
「いいぞ、宗哉がおらに選んでくれたんだろ、だったらこの色がいいぞ」
「ガルもいいがお、宗哉はセンス良いがお、この色気に入ったがお」
ガルルンが大事そうにスマホの入った箱を胸の前で抱き締めた。
「気に入って貰えて良かったよ、実物を並べてサンレイちゃんとガルちゃんに合いそうな色を選んだつもりだからね、うん、よかった」
センスが良いと言われて宗哉が嬉しそうに微笑んだ。
何とも言えない表情の英二が口を開く、
「サンレイとガルちゃんには早いんじゃないかな……宗哉も秀輝も2人に甘すぎるよ」
手櫛で髪を整えながら宗哉が振り向く、
「僕は甘やかしてなんかいないよ、連絡を取るのに必要だろ」
「だな、さっきガルちゃんも言ってたけど瞬間移動できるサンレイちゃんはともかくガルちゃんと連絡できるようにあったほうがいいぜ、ガルちゃんだけじゃ不公平だからサンレイちゃんにも当然あったほうがいい」
どんな時でもサンレイの味方である秀輝が反対するわけがない。
サンレイが英二の腕を引っ張った。
「そだぞ、連絡に必要だぞ、これがあれば旨い食い物何でも調べられるぞ」
「既に連絡のこと眼中にないよね」
じとーっとした目で見つめる英二の前でサンレイが慌てて続ける。
「ちっ違うぞ、授業中にゲームしようとか思ってないぞ」
焦ったのか本心を言ってしまうサンレイにガルルンが振り返る。
「ゲームできるがお? ガルもゲームするがお」
英二がバッと宗哉に向き直る。
「渡すならガラケーにしてくれ、ガルちゃんはともかくサンレイにこんなの渡したらずっと遊んでるからな」
髪を整え終えた宗哉が爽やかに微笑みながら口を開いた。
「ガラケーも考えたんだけどね、SNSとか考えたらスマホじゃないとダメだよ」
援軍を得たサンレイが慌てて追従する。
「そだぞ、スマホじゃないとダメだぞ、ガラケーなんて開いて閉じてパカパカできるだけで他は全部スマホに負けてるぞ、電池だっておらは自分で充電できるからな、ガラケーの優位は無いぞ」
「パカパカは格好良いがう、でも何でもできるスマホの方がいいがお」
スマホの入った箱を大事そうに抱えるように持ちながらガルルンが言った。
サンレイが英二を睨み付ける。
「スマホじゃなくてガラケーにしたら授業中ずっとパカパカしてやるからな、ガルルンと一緒に英二の左右でずっとパカパカだぞ、パカパカして授業の邪魔してみんなをバカバカにしてやるからな」
「バカバカって…… 」
駄々っ子だ……、サンレイの幼女が拗ねたような顔に怒る気も無くして弱り顔をする英二に左右からサンレイとガルルンが縋り付く、
「なぁなぁ英二ぃ~、貰っていいだろ、おらもスマホ欲しいぞ、だってだって、みんな持ってるぞ、なぁなぁ英二ぃ~~、スマホ欲しいぞ」
「ガルも欲しいがお、ガルはサンレイみたいに瞬間移動できないがお、電話があれば連絡できて便利がお、晴美と秘密のお喋りもしたいがお」
悩む英二の前に委員長が出てくる。
「私たちがちゃんと使い方やマナーを教えてあげるわよ」
「あたしに任せろ、女子の使い方ってヤツを教えてやるから安心しろよ」
委員長と小乃子が執り成すと英二が溜息をつく、
「わかったよ、その代わりゲームや動画見てばかりはダメだからな、授業中にゲームしたらスマホ取り上げるからな、漫画読むくらいはいいけど」
委員長も味方に付いたのを見て英二が渋々承諾した。
ガルルンが嬉しそうに頷いた。
「わかったがお、授業中はお絵かきか男子が買った漫画雑誌読んでるがお、それにお手伝いはちゃんとするがう、英二の母ちゃん褒めてくれるがお、料理の手伝いは面白いがう、風呂掃除に洗濯も綺麗になると気持ち良いがお」
英二が感心するようにガルルンを見つめる。
「ああ……ガルちゃんは良い子だなぁ~、うん、ガルちゃんは約束守るから安心してスマホでも何でも預けられるよ」
英二がサンレイに視線を送る。
「それに引き換え…… 」
サンレイは貰ったスマホを起動して直ぐにゲームを探してる。
「なぁなぁ秀輝、面白いゲーム教えるんだぞ、レースゲームとか敵を殺すヤツだぞ」
「レースなら面白いの知ってるぜ」
秀輝が自分のスマホを出してサンレイに見せる。
「おおぅ、面白そうだぞ、何てゲームだ? おらも入れるぞ」
秀輝のスマホを夢中で見ているサンレイから英二がスマホを取り上げた。
「何すんだ! おらのだぞ、返せ! おらのスマホだぞ」
「話聞いてたか? 」
英二がじろっとサンレイを睨み付けた。
「話し……ゲームは1日10時間って約束だな、ずっと昔に高橋名人が言ってたぞ」
とぼけ顔でこたえると同時に英二の持つスマホを奪い取る。
スピードで人間がサンレイに敵うわけもなく簡単に奪い返された。
「言ってません、10時間じゃなくて1時間です」
英二がサンレイの頬を摘まんで引っ張る。
「でひゅひゅひゅひゅ、引っ張るなよ、伸びるぞ、ほっぺびょ~んって伸びるだろ」
体を捩って喜ぶサンレイを見て英二が呆れ顔で溜息をつく、
「授業中はゲーム禁止って言ったんだ。授業中にゲームの音なんか鳴ったらみんなに迷惑だからな」
「音消してやるぞ、イヤホン付けるぞ、それならいいだろ」
ケロッとした顔で言うサンレイの頭を英二がペシッと本気で叩いた。
「ダメです!! 何かの拍子に鳴ったら大変だから授業中はゲーム自体禁止だ。だいたいサンレイはゲームしてると体動かすだろ、隣りでそんな事されたら気になって仕方ないからな、声も出すし、だからゲームは禁止だ。漫画読んだりイヤホン付けて動画見るだけにしとけ、静かにしてるならスマホ禁止とまでは言わないからさ」
「わかったぞ、授業中はゲームはしないぞ」
プクッと頬を膨らましながらもサンレイが約束してくれた。
どうにか纏ったと宗哉が一息ついた。
その時、ガルルンが走り出す。
「晴美が来たがお、迎えに行って来るがお」
大声で言いながら教室を出て行った。
「晴美ちゃんか……いつもより遅いな」
黒板の上にある時計を見てサンレイが顔を顰める。
暫くしてガルルンと一緒に晴美がやって来た。
「晴美ちゃん、おっはぁ~~ 」
いつものように元気に挨拶するサンレイに晴美が作り笑いでこたえる。
「おはよう、サンレイちゃん元気だね」
「時間ギリギリじゃない、顔色も悪いし大丈夫なの? 」
委員長だけでなく英二たちも心配顔だ。
「うん、今朝も熱があって……でもサンレイちゃんがお祓いしてくれるって言うから」
無理をしてきたらしい青い顔をした晴美をガルルンが席に座らせる。
「悪霊が憑いてるがお、でももう安心がう、サンレイが祓ってくれるがお」
「うん、サンレイちゃんとガルちゃんが何とかしてくれるから安心だよ」
疲れた顔で言う晴美の後ろ、自分の席にサンレイが座った。
「おらに任せろ、除霊は放課後だけど取り敢えず悪い気を緩和してやるぞ」
後ろの席から前の晴美の背に向けてサンレイが両手を伸ばす。
始業ベルが鳴って秀輝たちが席に戻っていった。
1時間目の先生が来るまでの間に浅井と中川も教室に入ってきた。
2人とも窶れたような青い顔だ。
サンレイが除霊してくれるから無理をしてでも来いと秀輝が連絡したのだ。
「おぅ、浅井と中川も来たな」
晴美に向けていた手を引っ込めるとサンレイが跳ねるように浅井の隣りに立つ、
「直ぐに楽にしてやるぞ」
サンレイが浅井の両肩に手を置いた。
青い雷光が浅井を包み込む、窶れた浅井の顔がみるみる元気になっていった。
「これで放課後まで大丈夫だぞ、除霊は放課後だからな」
「サンレイちゃんありがとう、凄く楽になったよ、マジで悪霊が憑いてたんだな」
ニッコリ微笑むサンレイに浅井が元気に礼を言った。
「んじゃ、次は中川だぞ」
ぐったりしている中川の後ろにサンレイが立つ、その時、1時間目の数学の垣田先生が教室に入ってくる。
「なっ!! 」
立っているサンレイを見て驚くが何も言わずに教壇についた。
「垣田、直ぐに済むから少し待ってろ」
サンレイにじろっと睨まれて垣田先生が無言で頷いた。
呼び捨てされても怒らないし、何をしたんだサンレイのやつ……、英二が弱り切った顔でサンレイを見つめた。
中川の両肩に手を置いたサンレイがバチッと雷光を走らせる。
青い雷光に包まれた中川の血色が良くなっていく、
「取り敢えず楽になっただろ、放課後残るんだぞ、除霊すれば完治するからな」
「ありがとうサンレイちゃん、頭痛くて死にそうだったのが痛み無くなったよ」
礼を言う中川の背をポンッと叩くとサンレイが晴美の後ろに立った。
「晴美ちゃんも直ぐに楽にしてやるからな」
2人と同じように青い雷光が晴美を包み込むと直ぐに元気になった。
「頭痛いのと胸が気持悪いのがスッと無くなったよ、流石だねサンレイちゃん、ありがとうね、ガルちゃんも心配してくれてありがとう」
「元気になって良かったがお、みんな心配してたがお」
ガルルンが声を掛けると晴美が嬉しそうに微笑んだ。
晴美の斜め左後ろの英二の左がガルルンの席だ。
「晴美ちゃんのためなら何でもしてやるぞ、放課後除霊して終わりだぞ」
晴美の直ぐ後ろの席にサンレイが座る。
「垣田待たせたな、授業していいぞ、そんで浅井と中川と晴美ちゃんは病み上がりだからな、当てたりしたら怒るぞ」
「わっ、わかった。風邪が流行っているようだからな、疲れているものは机に伏せて静かに寝ていてよい、今日は特別だ。今日だけだからな」
厳しいので嫌われている垣田先生が引き攣った顔で言った。
垣田のやつマジでビビってるぞ、マジで何をしたんだ? 左の席の英二が弱り顔でサンレイを見つめた。




