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第49話

 爆発する気を連続で使った英二が肩で息をついて倒れた一つ目小僧を見つめる。


「降参しろ、俺でさえぶちのめせるんだ。サンレイとガルちゃんなら簡単に殺してるぞ」


 気を放って怒りも少し収まった様子だ。


「ががっ……ぐははははっ 」


 軽自動車が吹っ飛ぶほどの爆発を3発連続で受けたにも関わらず一つ目小僧が起き上がった。


「ぐははははっ、凄いぞ、凄い力だ。貴様を喰らえば俺様は確実にランクアップする。名実共に大妖怪になれるのだ」


 大笑いする一つ目小僧に英二がサッと手を向ける。


「反省無しかよ、喰らえ、8寸玉! 」


 白く光る大きな玉が飛んでいく、


「ぐははははっ、当たるか」


 さっと避けた一つ目小僧の後ろ、神社の森へと続く緩やかな斜面に光る玉が当たって爆発する。

 サンレイが両手を前に出す。


「ヤバい! ブンブンバリアー 」


 バチバチと雷光を上げる電気の壁が後ろにいる秀輝たちを囲んだ。

 爆発で薙ぎ払われた木や草に土や石が飛んでくるが電気の壁がバチバチと火花を上げて防いでくれた。


「うわぁ~~ 」


 自分の放った爆風で吹っ飛んでいく英二を電光石火で現われたサンレイが抱き留めた。


「バカが! デカいのは考えて使えって言ったぞ」

「サンレイ……ごめん、ありがとうな」


 サンレイに頭をポカッと叩かれてキレていた英二が正気に戻る。


「まったく、無闇に飛ばすな、爆突でやっつけてやれ」

「ごめん、もう落ち着いたから大丈夫だ」

「小乃子たちも居るんだぞ、何かあったら今みたいに助けてやるから冷静に戦え」


 もう一度ポカッと頭を叩くとサンレイがバチッと雷光を残して消えた。


「ありがとうサンレイ」


 礼を言いながら英二が両手をギュッと握り締めた。

 サンレイが現われたことに警戒していた一つ目小僧が英二を見据える。


「チビが戦うんじゃないのか? 」

「お前の相手など俺で充分だ。サンレイやガルちゃんが相手をするまでもないぜ」


 言い返す英二は怒ってはいるが冷静だ。



 秀輝たちの前にサンレイがスッと現われる。


「活を入れてやったぞ、これで英二は大丈夫だぞ」


 振り返ってニッと笑うサンレイを見て小乃子が安心顔で大声を出す。


「英二頑張れ、一つ目小僧なんかに負けるなよ」

「キモいから一つ目小僧を近付けないでよ」


 小乃子の隣で委員長も大声だ。

 おとなしい晴美まで声援を送る。


「高野くん無理しないでね、一つ目小僧なんかに負けないでね」


 晴美の横でガルルンが鼻を鳴らして口を開く、


「がふふん、一つ目なんて大したことないがお、何かあったらガルが助けてやるから安心して戦うがお」

「今の英二なら勝てるぞ、一つ目なんてパパッと片付けて屋台食い放題の続きするぞ」


 前に向き直ったサンレイが楽しそうに満面の笑顔だ。

 宗哉が手櫛で髪をとかしながら英二を見つめる。


「僕は手を貸したいんだけどサンレイちゃんに怒られるからさ、でも安心してくれ、サーシャとララミをスタンバらせてるからね」


 駐車場までカップルを送ってきたサーシャとララミも帰ってくるなり宗哉の左右で大きな声を出す。


「英二くん、一つ目なんて倒してやるデス、頑張ってくださいデス」

「二度とデカい面出来ないようにデカ目をぶちのめしてやるです。英二さん」


 ララミが口悪く声援を送る。一つ目小僧をデカ目呼ばわりだ。


「サンレイちゃんが大丈夫って言ってるから大丈夫だろ、一つ目小僧がどんな戦いするかゆっくりと見物させて貰うぜ」


 サンレイのことを信頼しきっている秀輝は呑気なものだ。

 英二が厭そうな顔をして振り返る。


「簡単に言うなよ、戦うのは俺なんだからな……サンレイはまだ屋台食べる気かよ」


 直ぐに前に向き直ると英二は握り締めていた両手を開いて胸の前でパンッと合わせた。


「準備完了だ」


 合わせた両手をゆっくりと開くと平手のまま構えた。



 一つ目小僧が大きな目でじろっと睨む、英二ではない、後ろで見ている秀輝たちを睨み付けていた。


「さっきから一つ目、一つ目、煩いぞ、俺様は一つ目小僧なんかじゃねぇ」

「なん? 」


 向かいで構えていた英二が思わず手を下ろした。

 後ろからサンレイの大声が聞こえてくる。


「何言ってんだ。一つ目じゃなかったら何なんだ? 」

「ガルの鼻は誤魔化せないがお、お前は一つ目小僧がお」


 ガルルンの声も聞こえてきて英二もそうだと頷いた。

 一つ目小僧がギョロッと大きな黒眼を動かす。


「よく聞け!! 俺様は初物小僧だ」

「初物小僧? サンレイ知ってるか? 」


 前を向いたまま英二が訊いた。

 隙を付かれるのを避けるために振り返ったりはしない。


「初物小僧なんて聞いたことないぞ」

「ガルも知らないがお、でもお前の匂いは一つ目小僧の匂いがお」


 後ろからサンレイだけでなくガルルンの声も聞こえてきて英二がまた構える。


「油断させようとしても無駄だぞ」


 一つ目小僧改め初物小僧が睨む視線を英二に向ける。


「確かに以前の俺様は一つ目小僧だった。だが今は大妖怪、初物小僧様だ」


 ドヤ顔で胸を張る初物小僧を見てサンレイが呆れ顔だ。


「お前何言ってんだ? 一つ目小僧は一つ目小僧だぞ」

「デカい目玉一つがお、名前変えても一つ目小僧には変わりないがお」


 ガルルンがからかうように言うと初物小僧が声を出して笑い出す。


「がははははっ、よく聞け、目が一つで一つ目小僧、だが俺様は一つは一つでも目ではなく、初めてが、一つめが好きなのだ。初物が好きなのだ。一つ目ではなく一つめが大好きな大妖怪それが俺様、初物小僧だ」


 秀輝が複雑な顔で口を開く、


「初物好きの妖怪か……また変なヤツが現われたもんだぜ」

「初物好きだからカップルを見て不純とか言ってたんだな」


 宗哉が成る程という顔で頷いた。

 弱り切った顔で英二が訊く、


「初物好きと俺が何の関係があるんだよ」


 初物小僧がビシッと英二を指差す。


「初物好きだから初詣に集まる人間どもを襲って気を吸って元日に戦いを挑んで貴様を喰らって大妖怪へと生まれ変わるという素晴らしい計画だ」

「初物好きはわかったからそんな事で俺の正月を潰さないでくれ」


 怒ると言うより懇願するように言う英二の向かいで初物小僧がニヤリと笑った。


「そうはいかん、お前も童貞だろう? ならば今のうちに喰らうのが一番だ。正月気分で浮かれて童貞を散らすようなことになれば魅力も半減するからな」

「悪かったな! どうせDTだよ」


 怒鳴る英二の後ろでサンレイが顰めっ面で口を開く、


「お前もって言ったぞ、もっていうことは一つ目も童貞だぞ」

「がははははっ、もちろんだ。童貞は清く正しく美しいのだ。人間の男は30年童貞を貫くと魔法使いになるという、俺様は300年童貞を貫いて1ランク上の妖怪、初物小僧に生まれ変わったのだ」


 大笑いする初物小僧を見て小乃子たちがドン引きだ。


「なっ、何言ってるのよ…… 」


 顔を顰める委員長の横で小乃子がじとーっと初物小僧を見つめる。


「妖怪にもDTとかいるんだな、自分から言ってるし、なぁ晴美」


 同意を求めるように小乃子が見ると晴美が真っ赤になって俯いた。


「あんたは黙ってなさい」


 晴美をからかう小乃子を委員長が叱りつけた。

 難しい顔で秀輝が呟く、


「DTか……300年は凄いぜ」

「一つ目小僧でも初物小僧でもないがお、只のDT小僧がう」


 流石にガルルンも引き気味だ。

 英二がバッと振り返る。戦いの途中もお構いなしだ。


「まっ、またヘンタイだ……またヘンタイの妖怪だ」


 助けを求めるように見つめる英二にサンレイがニヘッと悪い顔で口を開く、


「英二がヘンタイだからヘンタイが集まってくるんだぞ」

「違うから誤解されるようなこと言うな! 」


 焦る英二を見て小乃子がからかう、


「成る程な、英二がヘンタイなら仕方ないな」

「違うからな! 小乃子は黙ってろ! 」


 小乃子をキッと睨んでから英二が続ける。


「サンレイ助けてくれ、ヘンタイの相手は嫌だ」

「何言ってんだ。おらが手を出すわけないぞ、DT同志の真剣勝負だぞ」

「がふふん、英二のDTはガルが守ってやるがお、だから安心して戦うがお」


 サンレイとガルルンの楽しげな顔を見て英二が諦めた様子で前に向き直る。


「くそっ! こうなったらヤケだ。こんなヤツ俺が倒してやる」


 両手をギュッと握り締めると直ぐに開いて胸の前でパンッと合わせる。


「準備完了、叩き切ってやるぜ」


 先程と同じように平手のまま英二が構えた。



 一つ目小僧改め自称初物小僧が両手を前に突き出す。


「一つ目回し」


 クルクルと両手を回すのを見てサンレイが右手をさっと振った。


「うわぁ! 」


 見えない何かに左足を掴まれてよろける英二の前に青い雷光が走って同時に英二の左足を掴む何かが消えた。


「うわわっっとっと」


 その場に尻餅をつくと英二がサンレイを見つめる。


「助けてくれたのか? あいつの術か何かか? 俺の手足を引っ張ってきたぞ」


 目の前に走った雷光はサンレイのものだと直ぐにわかった。

 とすれば足を掴んでいた何かは初物小僧の技だと言うことは英二にも想像が付く、


「あいつの術がわかったのか? 流石英二だぞ、その通りだぞ、あいつは気を掴めるんだぞ、そんで気を掴んで投げ飛ばすんだ。一つ目が本気出したら地面に叩き付けられて内臓と骨が砕けて人間なんて一コロだぞ」


 サンレイが嬉しそうに教えてくれた。


「うんわかった。何かは知らないが手足を掴んだのがわかった。俺の気を掴んでいたんだな、それでサンレイが電撃で助けてくれたんだな」

「そだぞ、英二は霊力が高いからわかるんだぞ、普通の人間なら何も感じずに吹っ飛ばされてるぞ、もっと修業すれば見えるようになるぞ、そしたら一つ目なんて敵じゃなくなるぞ、今は見えないからな、あいつが術を使いそうになったら足下でも爆発させてやれ、英二の爆発も気を爆破させるものだからあいつの技も吹っ飛ぶぞ」


 わかったと言うように頷く英二を見てサンレイがアドバイスしてくれた。

 話しを聞いていた初物小僧がサンレイを睨む、


「何故邪魔をする。真剣勝負じゃなかったのか? 」


 ニヤッと悪い顔をしてサンレイがこたえる。


「そだぞ、真剣勝負だぞ、但し、英二がやられそうなら助けるぞ、だっておらは英二の守り神だからな」

「がふふん、ガルも手を貸すがお、愛する夫を助けるのは妻の役目がお、英二のDTはガルのものがお」


 鼻を鳴らすガルルンにサンレイがバッと振り向く、


「何言ってんだ! 英二はおらの夫だぞ、英二のDTもアイスも全部おらのものだぞ」


 ガルルンが八重歯のような牙を見せて笑う、


「がひひひひっ、英二はおっぱいが好きがお、サンレイのペッタンコでは英二を満足させられないがお、おっぱい星人のDT略してOPDTの英二に相応しいのはガルがお」


 サンレイもムキになって反論する。


「何言ってんだ! おらだって本当はナイスバディの巨乳なんだぞ、それに英二はおっぱいだけじゃないぞ、優しく包み込んでくれるような女が好きなんだぞ、優しく包み込む略して包茎DTだぞ、英二に相応しいのはおらだぞ」

「違うからな……DTだけど包茎じゃないからな……2人とも止めてくれ………… 」


 弱り顔で止めようとする英二を余所に2人はヒートアップしていく、


「英二は痒くなったガルの背中をいつも掻いてくれるがお、この前なんかおっぱいの横も掻いてくれたがお、ガルは身も心も背中のノミも英二のものがお、だから英二の身も心もDTもガルのものがお」

「おらなんか一緒に風呂入ったぞ、ハチマルが来るまでは一緒に寝てたぞ、おらと英二は一緒に温めあった仲だぞ、当然、英二の身も心も布団もDTもおらのものだぞ」


 サンレイとガルルンが睨み合うのを見て戸惑い顔の宗哉が秀輝に振り向く、流石に女に相談できる話題ではない。


「何か無茶苦茶言ってるな、英二くんがDTだってのを強調するのは同じだけど」

「まぁな……英二だけじゃなくて俺も女っ気ないしな」


 苦笑いで秀輝がこたえた。自分に害が及ばないように突っ込むようなことはしない。

 小乃子がじとーっと蔑んだ目で英二を見つめる。


「ふぅぅ~~ん、サンレイやガルちゃんとそんな事してたんだぁ~~、厭らしいぃ~~ 」

「そうねぇ、ガルちゃんはともかく幼女姿のサンレイちゃんに手を出したら流石に引くわよねぇ~ 」

「もしかして高野くんロリコンなの? 」


 軽蔑したように見る委員長の隣で晴美が顔を強張らせる。

 英二が両手と頭をブンブン振った。


「違うから……サンレイやガルちゃんが悪戯するだけだから……ロリじゃないから」


 必死で言い訳する英二にサンレイとガルルンが同時にバッと振り返る。


「英二のDTはどっちのものかハッキリさせろ! もちろんおらだよな」

「がふふん、英二のDTはガルのものに決まってるがお、サンレイに言ってやるがお」


 耐えきれなくなった英二が怒鳴る。


「もう止めろ!! どっちのものでもないからな、DT、DT言うな、ハズいだろうが」


 真っ赤な顔で怒る英二の向こうで初物小僧が大声を出す。


「DTの何が悪い! 貴様らは何かあれば童貞をバカにする。生まれた時は皆DTだろうが! 天は人の上に人を造らず、玉の上にチンチンを作ったのだ。玉つまり宝だ。宝よりチンチンは偉いのだ。尊いのだ。大切にして何が悪い」


 言い争っていたサンレイとガルルンが顔を見合わせる。


「無茶苦茶言ってるぞ」

「生まれて直ぐの赤ちゃんがDTじゃなかったら怖いがお」

「DT拗らせてやっかいな人になってるぞ」

「マジでDT小僧がお」


 2人が同時に英二に振り向く、


「マジのヘンタイがお、英二、さっさとやっつけるがお」

「おらとガルルンがフォローしてやるから遠慮なくぶちのめしてやれ」


 サンレイとガルルンの意見が合った。

 初物小僧の余りの変態振りに喧嘩している場合ではないと思った様子だ。


「了解だ。これ以上DTとか言われて堪るかよ」


 笑いものにされた英二もマジで戦う気になった。



 英二がさっと左手を突き出す。


「爆練、2寸玉! 」


 ピンポン玉くらいの白く光る玉が無数に飛んでいく、


「ぐはははっ、こんなものが効くか」


 初物小僧が余裕で避けながら英二に迫る。


「気を掴めないなら直接掴んで喰らうだけだ」


 襲い掛かる初物小僧に英二が右手で斬り掛かる。


「爆刀、大刀! 」


 英二の手が初物小僧に当たった瞬間、爆発音がして初物小僧が吹き飛んだ。


「グガァ~~ 」


 倒れはしなかったが叫ぶ初物小僧の左脇から血が流れていた。


「惜しい、踏み込みが甘いぞ英二」


 後ろで見ていたサンレイが叱りつける。


「そんな事言ってもさ……やっぱ妖怪は怖いよ」


 振り返りもせずに言い訳する英二を初物小僧が睨み付ける。


「ぐがが……それも爆発か? 」


 悔しげに歯を鳴らす初物小僧を見てサンレイがニヤッと意地悪顔になる。


「そだぞ、英二の技の一つだ。爆発する刀だぞ、接近戦用の技だぞ、これなら相手だけを吹っ飛ばせるからな」


 英二の代わりにサンレイが得意気に説明した。


 爆刀は爆発する手刀だ。

 爆発する方向を制御してその力で切る技である。

 但し刃物のように綺麗に切れるのではない、爆発の威力を使って切るので切り口は引き千切ったようにボロボロだ。


 初物小僧が両手を広げて構える。


「当たらなければいいだけだ。人間のスピードなど俺様が全て避けてやるわ」


 広げた両手をクルクル回す。


「二つ目回し」

「うわっ 」


 左右の足首を見えない何かに掴まれて英二が尻餅をつく、


「くそっ、3寸玉! 」


 目の前の地面に爆発する気を叩き付けた。

 爆発音と共に英二が後ろに引っ繰り返る。


 直ぐに英二が起き上がった。

 何かが足を掴んでいた感触はもう無い。


「痛ぇ…… 」


 汚れを払いながら英二が顔を顰める。

 受け身をとったので痛みだけで怪我はない、秀輝と体を鍛えている成果だ。


「いいぞ英二、その調子だぞ、気を掴まれたと思ったら今の方法で外せばいいぞ」


 声援を送るサンレイの顔を小乃子が覗き込む、


「何がどうなったんだ? 転んだ英二が何で自分を爆発させたんだ? 」

「一つ目の技がお、英二の気を掴んで転がしたがう、クルクル回した手から気が飛んで英二の足を掴んだがお、それで英二が倒れたがう」


 代わりに教えるガルルンにサンレイが付け足す。


「そだぞ、そんで初物小僧の手から伸びた気を英二が爆発させて切ったんだぞ、切ってなかったら今頃英二はぶん投げられてたぞ」


 小乃子の隣で委員長がわかったと言うように頷いた。


「見えない紐で高野くんを縛って投げ飛ばそうとしたって事ね」

「そうがお、小乃子たちには見えないけどガルやサンレイには見えてるがお、英二は見えないけど感じることが出来るがお、小乃子たちなら気を掴まれてもわからないがお、何もわからないまま投げ飛ばされるがお」


 説明を聞いていた宗哉がパチンと手を叩く、


「それでか、始めに倒れていた男たちは気を掴まれて投げ飛ばされてたんだね」

「そだぞ、何もわからないままぶっ飛んで倒れてたんだぞ」

「倒した後で気を吸い取るがお、それで倒れてた男たちは暫く動けなくなってたがう」


 納得した様子の小乃子たちと違い秀輝は何とも言えない表情だ。


「化けガエルなんかと違って結構強いぜ、俺じゃ相手にならないな」


 悔しげに呟いた秀輝の腕をサンレイがポンポン叩く、


「まぁな、本物の妖怪だからな、でも秀輝が受け身を教えてくれた御陰で英二怪我しなかったぞ、おらからも礼を言うぞ」

「おぅ、これからも英二をビシバシ鍛えてやるぜ」


 可愛い顔でニパッと笑うサンレイを見て秀輝が任せろと力瘤を作って見せた。

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