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第45話

 夜の10時過ぎに英二が帰ってくる。


「お帰りだぞ、アイス食いたいぞ」

「お帰りなさい、お風呂沸いてるがお、今年の汚れを落とすといいがお」


 母と一緒にリビングでテレビを見ていたサンレイとガルルンが玄関へと駆けてきた。

 小乃子たちは夕食前に帰っている。

 夜の11時に英二の家に集まって宗哉の車で少し離れた大きな神社に行く予定だ。


「ただいまガルちゃん、サンレイもただいま、そうだな11時に集合だからさっとシャワー浴びてゆっくりと熱い湯に浸かるかな」


 2人に土産のアイスとチーカマの入った袋を渡すと英二は着替えを取りに自分の部屋へと向かう、サンレイとガルルンは土産の入った袋を持ってリビングへと行った。

 直ぐに初詣に行くのが分かっているのでサンレイも普段のように英二をからかったりはしない。


 冷えないようにじっくりと湯に浸かって体を拭いた英二が風呂から上がる。


「おお! サンレイ綺麗だな、ガルちゃんも可愛いよ、着物どうしたんだ? 」


 驚く英二を見てサンレイとガルルンが嬉しそうに笑う、


「おらはいつも着てる着物だぞ、清ちゃんが今度新しいの買ってくれるって言ったぞ」

「ガルのは晴美に貰ったがお、晴美が中学生の時に着てたヤツがお、新しいの買ったからって古いのくれたがう、昼に持ってきてくれたがお」

「晴美ちゃんは優しいからな、みんなで着物着て初詣行くんだぞ」


 サンレイは出てきた時に着ていた水色の着物でガルルンが白に赤や黄に青のカラフルな手鞠の絵が付いている着物だ。

 可愛い2人に英二の顔が緩んでいく、


「篠崎さんに貰ったのか、よかったなガルちゃん、お礼言わないとな」

「礼はもう言ったぞ、ゴールデンウィークに四国に行くんだろ? 晴美も一緒に行くって約束したぞ、委員長と小乃子も来るって言ってたぞ、宗哉に頼んでみんなで行くぞ」


 偉そうに言うサンレイを見て英二が顔を顰める。


「勝手に約束して……まぁいいか、爺ちゃん家はデカいからな、秀輝と宗哉と行く予定だったからな、ハチマルに篠崎さんが仲間になったのを紹介しよう」

「ガルもハチマルと話ししたいがお、ハチマルが早く出てこれるようにガルの妖力をわけてやるがう、英二の爺ちゃんにも会いたいがお」


 英二がガルルンの頭を撫でる。


「ありがとうガルちゃん、みんなで行って爺ちゃんを驚かせてやろう」


 リビングにある時計を見る。10時50分だ。


「そろそろ秀輝たちが来るな、俺も着替えて用意するか」


 寝間着代わりのジャージを着替えに英二は2階に上がっていった。




 呼び鈴が鳴ってガルルンが出る。


「秀輝いらっしゃいがお」


 ドアを開ける前から匂いで分かっていたので笑顔で迎える。


「こんばんは…… 」


 玄関先で秀輝が固まる。


「ガルちゃん可愛い……着物似合ってるぜ」

「がふふん、可愛いがお、晴美に貰ったがう、英二も褒めてくれたがお」


 得意気に鼻を鳴らすガルルンの横にサンレイがやってくる。


「おらには褒め言葉無しか? 」


 炙ったスルメイカをクチャクチャ噛むサンレイの頭を英二がポコッと叩く、


「おっさんみたいにイカ食ってるヤツをどう褒めるんだ? 父さんの酒のつまみ勝手に食いやがって…… 」

「清ちゃんは宴会から帰ってきて直ぐに寝たからな、だからおらが代わりにスルメ食ってやってんだぞ」

「そんな代わりはしなくていいからな」


 呆れる英二の言葉を秀輝が遮る。


「サンレイちゃんも可愛いぜ、何度か見たことあるけどやっぱ着物姿は綺麗だな」

「にゅははははっ、褒めても何も出ないぞ」


 照れまくるサンレイの横でガルルンが鼻をヒクヒクさせる。


「小乃子といいんちゅが来るがお、向こうから晴美も来たがお」


 英二のスマホが着信の音を鳴らす。


「宗哉も直ぐに来るよ、向こうのスーパーの信号で止まってるってさ」


 思い出したように英二が付け足す。


「小乃子たちも着物着てくるって言ってたぞ」

「マジかよ、俺たちはこれでいいよな」


 秀輝が自分の着ているジャンパーを摘まんで言った。


「いいんじゃないか? 参拝の時に人が多かったら俺と秀輝と宗哉が前を歩いて壁を作ろう、小乃子たちの着物が汚れないようにさ」


 こたえる英二も普段着だ。


「そうだな、込むのは参拝の時だけだし、後はゆっくり屋台回ろうぜ」


 屋台と聞いてサンレイが振り向く、


「おら、たこ焼きとウインナーが食いたいぞ、外ればかりのくじ引きも引くぞ」

「ガルも食べたいがお、具の入ってない焼きそばも屋台で食べると美味しいがお」


 おねだりする2人を見て秀輝が任せろと力瘤を見せる。


「何でも奢ってやるぜ、俺で足りなきゃ宗哉もいるしな」

「あんまり甘やかせるなよ……まぁ、2人の分は秀輝に任せるよ、俺は小乃子や委員長に篠崎さんの分を持つからな、着物貰ったし2人の面倒見てもらってるからな、2日のバイトの間も面倒見てもらうからさ」


 正月くらいはいいか、秀輝はいつも甘やかせてるけどな……、正月早々叱るのも厭だと英二はキツく言うのは止めた。

 そうこうしている間に小乃子たちがやって来た。


「こんばんは、ガルちゃん可愛い~ 」


 黄色い声をあげる委員長の隣で小乃子が手を上げて挨拶だ。


「サンレイ、来たぞ~~ 」

「こんばんは、小さいかなと思ったんだけど着れたんだね」


 晴美がガルルンを見て安心したように言った。


「晴美、ありがとうがお、ぴったりがお、母ちゃんが着せてくれたがう、綺麗な着物をありがとうがお」


 ガルルンが嬉しそうにペコッと頭を下げた。


「可愛い~~、犬耳のぬいぐるみが着物着てるみたいだよ」


 委員長はガルルンの着物姿にメロメロだ。

 サンレイが幻視の術を使っているので他の人には普通の人間にしか見えないが英二たちには犬耳に尻尾や手足に毛を生やした半獣姿のガルルンが見えている。

 秀輝が着物姿の女子たちを見回す。


「委員長も小乃子も篠崎さんも綺麗だぜ、なんつうか……正月って感じだな」


 英二が小乃子を見つめる。

 サンレイと出会う前までは小乃子のことは暴力的な女と認識していて苦手だったが今は素直に可愛いと思っていた。


「うん、小乃子の着物なんて小学生の時に見ただけだけど似合ってるよ、馬子にも衣装って本当にあるんだな」

「マジだぜ、黙ってたらどこぞのお嬢さんみたいだぜ」


 英二と並んで秀輝が感心するように付け足した。


「なんだってぇ~~、普段のあたしがダメみたいじゃないか」


 小乃子が声色を作って怒る振りだ。

 英二に似合っていると言われて嬉しそうに目元が笑っている。


「うん、普段の小乃子は虎って感じで怖いけど今の小乃子は猫って感じだからな」

「猫を被るってヤツだな、委員長も大人しそうに見えるしな」


 にやけながら頷く2人に小乃子だけでなく委員長の芽次間菜子がサッと振り向く、


「誰が虎か! いや、虎でいい、虎の怖さを教えてやる」


 怒鳴った小乃子が引っ掻く振りをするように両手を構える。


「あんたたちが真面目にしないから注意するんでしょ」


 ガルルンを抱きながら委員長が怖い目で睨んでくる。

 騒ぐ英二たちを余所にサンレイが晴美に話し掛ける。


「晴美ちゃん似合ってるぞ、でも新品じゃないな、どしたんだ? 」


 晴美が照れながら口を開く、


「うん、親戚の姉さんに貰ったの、振り袖なんて滅多に着ないからこれで充分だよ、それで私が着てたのをガルちゃんにあげたのよ」

「ありがとうがお、大事にするがお」


 委員長に抱き付かれたままでガルルンが首を横にして礼を言った。


「うん、ガルちゃんに喜んで貰って私も嬉しいよ」

「何かお礼をしたいがお、でもガルは何も持ってないがお」


 ガルルンの悩むような顔を見て晴美が慌てて手を振った。


「お礼なんていいよ、ガルちゃんは友達だよ、サンレイちゃんとガルちゃんがずっと友達でいてくれればいいよ」


 ガルルンの顔がパッと明るくなる。


「わかったがお、晴美はずっと友達がお」


 サンレイが優しい顔で晴美を見上げる。


「なんか困った事あったら何でも言うんだぞ、おらは悪霊を払ったり……知り合いの豆腐小僧に頼めば病気を治したり出来るぞ、医者が見放した病気でも治せるからな、晴美ちゃんの家族や大事な人が病気になったりしたら直ぐに言うんだぞ、おらが何とかしてやるからな、おらと晴美ちゃんは友達だぞ」

「うん、ありがとう、神様と友達なんて凄く素敵だよ」


 晴美とサンレイとガルルンが顔を見合わせて楽しそうに微笑み合った。



 大型のバンと普段登校に使っている高級外車の2台で宗哉がやって来た。


「宗哉が来たぞ、屋台食べ放題だぞ」

「違うからな、初詣だからな」


 サンレイを叱りつける英二を見ながら宗哉がいつもの爽やかスマイルで降りてきた。


「英二くん、サンレイちゃん、こんばんは、みんなもこんばんは」


 英二の手を振り切ってサンレイが正面から宗哉に抱き付く、


「おう、待ってたぞ、屋台で売ってるの全部食うから頼んだぞ」

「はははっ、任せてよ、そう思って今日はカードではなく現金をたっぷり持ってきたからね、サンレイちゃんとガルちゃんだけでなく英二くんや委員長たちも支払いは僕に任せて遠慮なく楽しんでくれ」


 宗哉に抱き付いていたサンレイが振り返って悪い顔でニヤッと笑う、


「ダメだからな、サンレイだけじゃなくてガルちゃんにまでねだり癖が付いたら大変だからな、食べ放題じゃなくて初詣に行くんだからな」


 宗哉から離れると弱り顔の英二の前にサンレイが立つ、


「屋台食べ放題以外に目的は無いぞ」


 英二が顔の前で手をブンブン振る。


「いやいやいや、初詣だから神様に今年も宜しくと…… 」


 話す途中で英二がハッとしてサンレイを見つめた。


「あっ!? サンレイは神様だったな」

「そだぞ、神様が神社に参って何すんだ? 神社に祀られている神がいるとしても『よう、元気か』って感じで挨拶するだけだぞ」


 とぼけ顔のサンレイの横にガルルンもやって来る。


「ガルも神なんてどうでもいいがお、ガルは大妖怪がう、そこらの小さい神社の神よりガルの方が力があるがお、神よりもたこ焼きの方がありがたいがお」


 2人の向かいで英二の顔が益々困り顔になっていく、それを見て小乃子が大笑いだ。


「あははははっ、そうだよな、神社に頼むよりサンレイに頼んだ方が効き目あるよな」

「考えたらそうよね、不治の病になっても豆腐小僧に薬効豆腐貰ってくれば治るし、悪い気とかはサンレイちゃんに祓って貰えばいいものね」


 委員長までサンレイの味方に付いたのを見て秀輝がちらっと英二の顔を窺う、


「だな、んじゃ参拝は止めて屋台回るか? 」


 英二がブンブンと頭を振った。


「いやいやいやいや、参拝はしようよ、今年も宜しくって神様に報告するのが初詣だ」


 サンレイがニヘッと悪い顔で英二を見上げる。


「んじゃ、おらに参拝しろ、アイス捧げて今年も宜しくってするんだぞ」


 秀輝がパチンと手を叩く、


「おお、それはいいな、じゃあ帰りに早速アイスを奉納するぜ、ガルちゃんにはチーカマだ。2人に今年も宜しくってするぜ」

「止めろ、年始早々甘やかすな、サンレイは悪戯の神様みたいなものだぞ、俺じゃダメだ委員長からも言ってくれ」


 弱り顔の英二が委員長に助けを求めた。


「そうね、毎年してるから参拝しないとお正月って感じがしないわね」

「んじゃ参拝してから食べ放題だぞ、そんでいいよな」


 サンレイがくるっと回って宗哉に確認をとる。

 初めから宗哉に奢って貰うつもりだ。


「了解した。参拝の後で御馳走するよ、みんなも遠慮なく何でも買ってくれ」


 爽やかスマイルでこたえる宗哉を見てサンレイとガルルンだけでなく小乃子も大喜びだ。


「委員長や宗哉の言うことは利くんだから…… 」


 楽しそうなサンレイとガルルンを見て英二が項垂れた。



 話しが一息ついたのを見て宗哉が着物姿の女子たちを褒める。


「サンレイちゃんはいつもの着物だけどそれが一番似合ってるね、凄く綺麗だよ、ガルちゃんの着物姿は初めてだけど可愛いよ、うん似合ってるよ」

「にゃへへっ、おらは水色が好きだからな、同じに見えるけどこの着物は何着も持ってるんだぞ、昔ハチマルと一緒に町で作ったんだぞ」

「がふふふっ、ガルの着物は晴美がくれたがお、晴美は優しいがう」


 自慢気に胸を張るサンレイと並んでガルルンが嬉しそうに笑顔だ。

 ガルルンの言葉で宗哉が晴美に向き直る。


「そうなのか、篠崎さんセンスいいね、今着てる着物も似合ってるよ」

「宗哉くん……ありがとう、この着物は親戚に貰ったんだよ」


 小さな声でこたえる晴美は真っ赤になっている。

 ハマグリ女房との料理対決の一件以来、佐伯くんではなく宗哉くんと呼ぶようになっていた。


 小乃子が委員長の手を引いて出てくる。


「おっと、あたしらには褒め言葉は無しか? 」

「ちょっと止めてよね、私を巻き込まないで…… 」


 迷惑そうに言いながら委員長も宗哉を窺う、

「ははははっ、小乃子さんも委員長も綺麗だよ、水着も可愛かったし美人は何を着ても似合うね、楽しい初詣になりそうだよ」


 爽やかに笑う宗哉を見て委員長の顔に安堵が広がる。


「宗哉は女には優しいからな、悪口なんて言わないよな、誰かたちと違ってな」


 小乃子が嫌みったらしく英二と秀輝に振り返る。


「へいへい、俺らは宗哉と違ってモテないからな」

「そうそう、女の扱いなんて知らないよな」


 秀輝と英二がとぼけてこたえる。

 サンレイとガルルンが左右から英二の手を引っ張った。


「心配すんな、女の扱い方はおらが教えてやるぞ、先ずは屋台食べ放題だぞ、あとはアイスがあれば女は一コロだぞ」

「ガルも教えてやるがお、たこ焼きと焼きそばがお、あとはチーカマがあればガルは一コロがお」

「いやいや、屋台食い放題してアイスをねだる女の扱い方は知らなくて結構だからな、ガルちゃんは女じゃなくてガルが一コロって言ってるよね」


 顔を顰める英二と違い秀輝が笑顔で口を開く、


「俺なんか教えて貰わなくてもサンレイちゃんとガルちゃんに一コロだからな」


 英二からサンレイとガルルンがバッと離れた。


「全く英二は……そんなんだから女心を掴めないんだぞ、秀輝を見習え」

「秀輝と宗哉はガルの心を鷲掴みがお、早くたこ焼き食べに行くがお」


 2人に両手を握られて秀輝が嬉しそうに頬を緩める。


「おう、早く行こうぜ、さっさと参拝済ませて屋台巡りだ」

「ははははっ、それじゃあ車に乗ってくれ、バンの方だよ、後ろの車にはサーシャとララミが乗ってるからね」


 宗哉に促されて英二たちが車へと乗り込んだ。




 車で30分程走って大きな神社へと着いた。

 午前0時前だが駐車場の7割が埋まっている。結構大勢が来ている様子だ。

 車を降りるとサンレイが駐車場から見える神社の森を見つめる。


「ここか……ふ~ん、それなりの力持ってるな」

「がふふん、この程度の神ならガルが勝てるがお」


 得意気に鼻を鳴らすガルルンの頭を英二が撫でる。


「勝負しに来たんじゃないからな、暴れたりしたらダメだよ」


 参道に続く道の両側に並ぶ屋台をサンレイが指差す。


「わかってんぞ、屋台食い放題に来たんだぞ」

「違うからな! 初詣に来たんだ」


 怒鳴る英二の前に委員長が手を横にして止める。


「まぁまぁ、私に任せて」


 委員長がサンレイと手を繋ぐ、


「大きい神社だけどサンレイちゃんより力が無いみたいじゃない、だったらサンレイちゃんが来たぞって教えてやればいいのよ、だからお参りしようよ」

「おおぅ、そうだぞ、デカいくせにおらより下だぞ、んじゃ挨拶してやるか」

「がふふん、ガルも挨拶くらいしてやるがお、神社の森にいるカブト虫はガルが全部貰うって言ってやるがお」


 2人が行く気になったのはいいがバカな事をしないか英二は不安顔だ。

 後ろから付いてきていた高級外車からメイロイドのサーシャとララミが降りてくる。


「サンレイ様、こんばんはデス」

「サンレイ様、久し振りです。どうせ休みだと言って食っちゃ寝してたですね」


 金髪巨乳のサーシャが手を上げて挨拶する隣で赤髪ロリタイプのララミがペコッと頭を下げる。ララミは相変わらず口が悪い。


「おう、サーシャとララミも元気そうだな」


 にぱっと笑顔で返すサンレイを見てサーシャとララミが自然な笑みを見せた。


「人混みを歩くからね、サーシャとララミには後ろを歩いて貰って警護して貰うよ、ララミには折り畳み椅子も運んで貰おう、3つしかないけどどうにかなるだろう」


 宗哉が爽やかに言うと英二が安心顔で頷いた。


「俺と秀輝と宗哉が前を歩いてサーシャとララミが後ろに付いてくれればスリとか痴漢が出ても安心だな」

「じゃあ行こうか、今から行けば丁度新年を向かえた頃にお参りできるよ」


 歩き出す宗哉を追って英二と秀輝が左右に並ぶ、


「デカい神社だけどサンレイちゃんより力が無いなら頼み事しても無駄だな」


 呟く秀輝を英二が手を伸ばして叩いた。


「止めろ、サンレイが調子に乗るだろが」

「はははっ、初詣なんて新年を迎えるイベントみたいなものだからね」


 楽しそうに笑う宗哉を挟むように英二と秀輝が左右について歩いて行く、


「さっさと挨拶済ませて屋台でたこ焼き食べるぞ」


 委員長の手を引っ張ってサンレイが歩き出す。

 ガルルンが晴美と手を繋ぐ、


「晴美はガルと一緒がお」

「あたしも仲間に入れてくれ」


 慌てて追い付くと小乃子がサンレイと手を繋いだ。

 最後尾をメイロイドのサーシャとララミが無言で続く、


「たこ焼きだろ、トウモロコシだろ、焼きそばに人形焼きに外ればっかりのクジも引くぞ」


 委員長と小乃子に挟まれてサンレイが楽しそうに満面の笑みだ。

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