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第37話

 青く光る電気の柵の中で英二と旧鼠の戦いが始まる。


「爆練 3寸玉! 」


 英二のパンチが旧鼠にぶち当たって爆発した。

 爆練ばくれんとは読んで字の如く、爆発する気を練って相手に当てる技だ。

 3寸玉とはプロボクサーが殴ったほどの威力がある爆発である。


「くぅ」


 旧鼠は少しよろけただけだ。


「ケヒヒッ、それがお前の力か? その程度で勝てるとでも思っているのか」


 赤い目を細めて笑うと旧鼠が平手を突き出し刺すように攻撃してくる。


「おおっと、やられるかよ、ガルちゃんの動きに比べたら余裕だ」


 英二が体を捻らせて避ける。

 爆発能力の訓練だけでなく敵と戦う訓練も積んでいる。

 秀輝と一緒に体を鍛えて基礎体力も付いていた。

 今の英二は旧鼠レベルなら対等以上に戦えるようになっていた。


「がふふん、ガルの教え方がいいがお、英二頑張るがお」

「油断すんな英二、相手をみくびるな、常に自分より強いと思って戦うんだぞ」


 喜び応援するガルルンと違いサンレイは厳しい口調で指示を出す。


「わかったサンレイ、ガルちゃんもありがとう」


 一瞬振り返って笑顔を見せると英二は直ぐに前に向き直る。


「爆練があれば俺も戦える。もうサンレイの足手纏いにはならない、二度とサンレイを失いたくない、だから戦う」


 構える英二の体から白い光が湯気のようにゆらゆらと出ては消えていく、


「 ……気負いすぎだぞ」


 ぽつりと呟くサンレイの声は英二には聞こえない。


「ケヒヒヒッ、これでも食らえ」


 旧鼠が胸の毛を抜くと口元に持ってきて息と共に吹き付けた。

 ガルルンがバッと跳ぶ、


「焔爪! 微塵切り」


 英二の前に立つと青い炎を灯す爪を凄い速さで何度も振る。

 目の前の空間がボッと燃え上がった。

 飛んできた旧鼠の毛をガルルンが燃やしたのだ。


「危ないがお、毒毛がう、吸い込んだら痺れて動けなくなるがお」

「毒も使えるのか、ガルちゃんありがとう」


 英二の前に立つガルルンを見て旧鼠が顔を引き攣らせる。


「ぐぐっ、山犬が相手じゃ分が悪すぎる。人間が相手だと言ったのは嘘か? 」

「勘違いするながお、お前如きガルなら一瞬がう、英二の実戦経験にいいから任せてるだけがお、だから危なくなったら助けるのは当たり前がお」


 一仕事終えたというようにパンパンと手を叩くガルルンを見て旧鼠が企むようにニヤッと口元を歪める。


「ケヒヒヒヒッ、それじゃあ人間を殺せば俺を見逃すと約束しろ、こいつを食らって妖力を得ても山犬と電気の2匹相手じゃ分が悪いからな」

「がふっ、なに言ってるがお、クソ鼠を逃がすわけないがう、どっちにしろ殺すがお」


 牙を見せて威嚇するガルルンの隣りにサンレイ現われて待てと言うように手を出した。


「わかったぞ、英二を倒したら見逃してやるぞ、お前の能力は壁に入ったりするのと毒毛だけだな、鋭い爪とかはどうでもいいぞ、それ以外に何か隠してたらそん時は英二を助けるぞ、それまでおらもガルルンも一切手出ししないぞ、お前と英二の決闘だぞ」

「なに言ってるがお、毒は危ないがお、ガルは英二に…… 」


 サンレイに突っ掛かるガルルンを見て英二が口を開く、


「ガルちゃんも手を出さないでくれ、こいつは俺一人で倒してみせる。毒も心配無い、俺はサンレイの依り代だ。こいつくらい倒せないと恥ずかしいよ」

「そだぞ、よく言ったぞ英二、おらやハチマルが選んだ男だぞ、やってみろ英二」

「見ててくれサンレイ、ガルちゃん、秀輝も小乃子も宗哉も委員長もみんな見ててくれ」


 嬉しそうに言うサンレイに英二がしっかりと頷いてこたえた。


「わかったがお…… 」


 まだ不服顔のガルルンを連れてサンレイが後ろに下がっていった。


「ケヒヒッ、面白い、俺の能力はお前の言った通りだ。この柵のせいで床に潜ることはできんが霊力があるとはいえ人間など毒毛と爪で充分だ。約束だぞ、お前らは一切手を出すなよ、この人間が死ぬところを見てろ、ケヒヒヒヒッ」


 嬉しそうに目を細めて笑う旧鼠の前で英二が拳を構えた。



 先に英二が動いた。


「爆練 2寸玉! 」


 英二の両手から爆発する気が幾つも飛んでいく、


「ケヒヒッ、同じ手が利くか」


 旧鼠が右に跳んで避けた。

 先程まで旧鼠が居た場所で小さな爆発が幾つも起きる。


「爆練 4寸玉! 」


 英二が旧鼠の腹にパンチをぶち当てた。

 2寸玉が普通の大人が殴るくらいの力で4寸玉は人が数メートル吹っ飛ぶ威力がある。


「ゲヘッ! 」


 旧鼠が後ろに吹っ飛んで転がった。

 先の攻撃はフェイントだ。

 柵に近い左より右か後ろへ飛んで逃げると予測して動いた。


「チィッ、もう少しか…… 」


 英二が呟いた。


「成る程な、考えて戦ってるぞ、英二は冷静だぞ、おら安心したぞ」

「何がう? 作戦がお? ガルなら倒れた相手にもう一発入れて仕留めるがお」


 楽しそうに微笑むサンレイの隣でガルルンが首を傾げた。

 旧鼠がバッと起き上がる。


「ケケッ、よくもやってくれたな、直ぐに殺して食ってやる」


 胸の毛を抜くとフッと吹き飛ばす。

 毒毛が飛んでくるのに英二は避けない。


「危ないがお」


 飛び出そうとするガルルンをサンレイが押さえる。


「爆練 空砲! 」


 破裂音がして英二を中心に風が起きた。

 サンレイが雷光で体を光らせる。


「バカ英二、おらたちのとこにも毒毛が飛んできただろ」


 ガルルンを庇うように前に出たサンレイの雷光に当たって毒毛が焼け落ちていく、電気の柵の彼方此方でも毒毛が燃え落ちていくのが見えた。


「わふふ~~ん、風で飛ばしたがお、毒毛を飛ばして電気の柵で焼いたがう、英二は凄いがお、これが作戦がお」

「空砲は風を起こす爆発だぞ、これで毒毛は無効だぞ」


 嬉しそうに鼻を鳴らすガルルンの前でサンレイもニヤッと楽しげだ。


「クケケ……俺の毒毛が…… 」


 旧鼠の顔に焦りが浮かぶ、床に潜る術と毒毛を防がれたら後は只のデカい鼠だ。


「お前は許さない、大切な仲間の小乃子を食おうとした。小乃子を助けようとしたあはんを……俺を助けてくれたあはんを傷付けた。ふんばり入道も俺を食おうと襲ってきた。でも理由があって勘違いだとわかると直ぐに謝ってくれた。だがお前だけは許さない、どんな理由があっても本当に人間を食っているお前だけはここで倒す」


 大声で言うと英二が構えた。

 怒ってはいるが冷静だ。


「仲間か……まあ今はまだそれでいいか」


 柵の外で見ていた小乃子がぽつりと呟いた。

 秀輝たちは英二の戦いを一つも見逃すまいと黙って真剣に見守っている。


「思った以上にしっかりしてるぞ、少し安心したぞ」


 安堵を浮かべたサンレイが優しい眼差しで英二を見つめた。

 今度は旧鼠が先に動く、


「ケヒヒッ、毒毛がダメなら直接毒を入れてやる」


 爪を立てて突っ込んでくる旧鼠に英二が右腕を向けた。


「爆練 4寸玉! 」

「ケヒッ、利くか」


 旧鼠が左に避ける。

 英二が左腕をスッと上げる。


「爆練 4寸玉! 」


 爆発する気が旧鼠にぶち当たる。


「ゲヒッ」


 吹っ飛んでいく旧鼠に向かって英二が両手を構えた。


「爆練 4寸玉 連打! 」


 英二の両手から爆発する気が連続で飛び出し空を舞う旧鼠にぶち当たっていく、


「ヒギッ、ゲヒッ! 」


 呻きながら飛んでいく旧鼠が電気の柵に当たって止まる。


「ヒギャギャァアァ~~ 」


 バチバチを青い炎に包まれて旧鼠が叫びを上げた。


「英二の作戦勝ちだぞ、おらの電気柵も武器に使うなんて中々やるぞ」

「これが作戦がお、さっきも柵に当てて感電させようとしたがお、それで英二はもう少しって言ってたがう、流石英二がお、ガルが選んだ男だけあるがお」


 嬉しそうな2人の前で焦げた旧鼠が床に落ちて転がった。


「英二止めだぞ、爆突だぞ」

「毒毛は全部焼けたがお、後は爪と牙に気を付けるがう」


 2人に頷くと英二が倒れた旧鼠に近付いていく、


「ひぃぃ~ たっ助けてくれ、俺が悪かった…… 」


 倒れたまま顔を引き攣らす旧鼠に英二が腕を向ける。


「爆練 4寸玉! 」


 爆発する気が旧鼠にぶち当たる。


「ゲヒッ、ゲゲヒィ~~ 」


 苦しげに呻くと旧鼠はガクッと頭を落として動かなくなった。

 サンレイとガルルンが近付いてくる。


「爆突で殺せって言ったぞ、そんなヤツ生かしても碌な事しないぞ」

「そうだけど……でも殺すのはできないよ」


 睨むサンレイの向かいで英二が目を伏せた。

 爆突とは爆発する方向を制御して一点集中で貫く技だ。


「止めはガルがしてやるがお、英二は優しいがう、でも情けを掛けたらダメなヤツもいるがお、このクソ鼠がそうがう」


 ガルルンが旧鼠の前に出ると爪に青い炎を灯らせる。

 目を開けた旧鼠が横に転がるようにしてサンレイの前に出ると土下座をした。


「助けてくれ、俺の負けだ。もうこの人間には何もしない他の人間もだ。人間を食うのも止めるだから助けてくれ」

「小乃子や晴美ちゃんに酷い事したクソ鼠を許すはずがないぞ」


 険しい顔で言うサンレイの体から青い雷光がバチバチと音を上げて吹き出してくる。


「ひぃーっ」


 サンレイがダメとわかると英二に向かって懇願を始める。


「助けてくれ……もうしない約束する」

「本当にもう人間を食わないんだな? 」


 脈ありとみたのか英二の前に旧鼠が這いずってくる。


「約束する。二度と人間は襲わない、山奥へ行って二度と町には出てこない、だから助けてくれ頼む……死にたくない………… 」

「わかった。サンレイ俺からも頼むよ、今回は助けてやってくれないか」


 英二がサンレイに振り向く、


「ケヒヒヒヒッ」


 隙を付いて旧鼠が英二に飛び掛かる。


「がおがおパ~ンチ! 」


 英二に辿り着く前にガルルンのパンチが旧鼠にぶち当たった。


「ケヒィ~~ 」


 叫びながら旧鼠が吹っ飛んでいく、


「あいつ……クソッ!! 」


 悔しげに吐き出す英二の傍にガルルンがトンッとやってくる。


「言ったがお、クソ鼠は処分しないとダメがうって、ガルとサンレイの忠告利かなくて誰の言葉を信用するがお、強いヤツだったら英二死んでるがお」

「ごめん俺が間違ってた。ガルちゃんありがとう」


 怖い顔で睨むガルルンに英二が本心から謝った。

 珍しく英二を叱るガルルンを見てサンレイが溜息をついた。


「英二は妖怪のことはまだまだ知らないからな、おらやガルルンの言うことには黙って従っとけ、そんで次からの訓練はもっと厳しくやるぞ」

「ごめん、わかったよ、次からはちゃんとやるから、本当にごめんな」


 頭を下げる英二を見てもう一度溜息をつくとサンレイは倒れている旧鼠に腕を向けた。


絞雷こうらい 閃光花火せんこうはなび! 」


 サンレイの腕から伸びた電気の帯が旧鼠をクルクル包み込むとバチバチと雷光をあげる玉になる。


「ヒゲェ~、何だ!? 出られねぇ~、ヒィイィーーッ 」


 電気の球の中で旧鼠がもがく、玉が徐々に縮んでいった。


「助けて……助け…………ヒゲギェ~~ 」


 バレーボールほどの大きさまでは旧鼠の呻きが聞こえていたが直ぐに聞こえなくなり、更に小さく縮みハンドボールほどの大きさになった瞬間にポンッと弾けて消えた。

 中にいた旧鼠は何処にもいない、玉と共に消えていた。


「ハイ、終わったぞ」


 サンレイがパンパンと手を叩いた。


「旧鼠は死んだのか? 」

「そだぞ、死んだと言うより消滅したんだぞ、二度と蘇らないようにおらの霊気で包み込んで圧縮して潰して欠片も残らないように消滅してやったぞ、妖怪には明確な死はないんだぞ、死んだと思っても僅かな破片が残ってたら復活するヤツなんてざらにいるぞ、ガルルンだって再生力が強いから半分に切っても元に戻れるぞ、おらは神だから別格だぞ」

「がふふん、ガルはできる女がお、そこらの雑魚妖怪なんて敵じゃないがお」


 英二の前でサンレイとガルルンが自慢気に胸を張った。


「終わったんならこれ消してよね」


 電気の柵の外で委員長が大声だ。


「おおぅ、忘れてたぞ」


 サンレイが片手を床に付けると電気の柵が吸い込まれるように消えていった。

 秀輝たちが駆け寄ってくる。


「凄かったぜ英二、前に見せて貰った爆発とは比べものにならないぜ」

「本当に凄いよ英二くん、最後はサンレイちゃんが処分したけど戦いは英二くんが完勝してたからね」


 秀輝と宗哉に褒められて英二が照れまくる。


「そんな事ないよ、まだまだだってサンレイも言ってただろ、でもこれでサンレイやガルちゃんと一緒に戦えるから俺は嬉しいよ」


 小乃子がニヤッと意地悪顔だ。


「ほんとだな、もう妖怪並みの力だったな、人間辞めて妖怪になれるぞ」

「そだぞ、英二は爆発妖怪になれるぞ」

「爆弾魔っていう魔族になってるがお」


 小乃子と並んでサンレイとガルルンが悪い顔で英二を見つめた。


「爆弾魔じゃないからな、爆破使いって呼んでくれ」

「それじゃあ、ボンバー英二だな」

「レスラーみたいに呼ぶな、ほんとに怒るぞ小乃子」


 弱り顔の英二を見てその場の全員が声に出して笑い出す。



 その時、羽音と共に声が聞こえて英二たちが空を見上げる。


「あん、あはん、あっはぁ~~ん」


 妖怪あはんが翼を羽ばたかせて飛んでいった。


「烏の妖怪がお、優しい烏がう」

「あいつはいいヤツだぞ、何処かでまた人間を助けるぞ、あっはぁ~んって鳴いてな」


 サンレイとガルルンの頭を英二が撫でる。


「みんなを守ってくれたんだね、化けイチョウを操っていた悪霊や旧鼠みたいに悪い妖怪だけじゃなくガルちゃんや豆腐小僧やあはんみたいに良い妖怪も沢山いるってわかったら妖怪たちに親近感が湧いてくるよ」

「親近感より英二の愛が欲しいがお、ガルはいつでも準備オッケーがお」

「にひひひひっ、なに言ってんだ? 英二の愛はおらのものに決まってるぞ、だっておらの依り代だからな、もう結婚してるのと同じだぞ」


 英二がブンブンと顔の前で手を振る。


「いや、してませんから、アイスねだる駄々っ子なんて嫁にしたら大変だからな」

「んだと! 英二はおらが嫌いなんだな」

「嫌いじゃないよ、でも嫁とかはまだ決められないからな、サンレイがアイスいらないって言うのなら考えてもいいけどさ」


 怒るサンレイの前で英二が意地悪顔だ。


「アイスを止めるくらいなら神を止めてんぞ、んじゃアイスでも食って帰るぞ、宗哉に奢って貰うんだぞ」


 ニパッと可愛い笑みを見せるサンレイの前で英二が顔を顰める。


「あはははっ、了解だ。みんなでファミレスにでも行こうよ」


 英二が怒る前に宗哉が爽やかに笑いながら了承した。


「そうね、今回の事件についての反省会もしなくちゃね」


 委員長の言葉を聞いてその場の全員が嫌な顔をする中、ガルルン一人が楽しそうに英二の腕を引っ張った。


「反省会? 誕生日会の親戚がお? 」


 子犬のように首を傾げるガルルンを英二が抱き上げる。


「そうだ!! ガルちゃんが仲間になったお祝いしてなかったよな、サンレイが目を覚ましたお祝いもしなくちゃいけないし、その計画をファミレスで考えようよ」

「おう、いいねぇ、英二にしちゃ上出来だよ」


 煽てる小乃子の傍で秀輝が宗哉に視線を送る。


「大賛成だぜ、宗哉がいるから派手にやろうぜ」

「任せてよ、サンレイちゃんとガルちゃんのお祝いなら全面協力するよ」


 快諾する宗哉の前でサンレイとガルルンが手を上げて大喜びだ。


「ほんとか! おらのお祝いならアイスいっぱい食えるんだな」

「わふふ~~ん、ガルもお肉とチーカマ食べ放題したいがお」

「僕に任せてよ、アイスでも肉でも何でも用意するからさ」

「んじゃ、レストラン行ってアイス食いながら計画練るぞ」

「わふふ~~ん、ガルはステーキ食べるがお」


 サンレイとガルルンを先頭に英二たちが屋上から出ていく、


「ちょっ、ちょっと待ちなさい、反省会もしますからね」


 楽しげに笑いながら出て行くみんなを委員長が慌てて追っていく。



 その日の深夜、サンレイとハチマルの部屋にガルルンが入っていく、英二は自分の部屋で寝入って気付かない。


「話しって何がお? 」

「英二の事だぞ」

「英二の? 英二は起こさなくてもいいがお」


 不思議そうに首を傾げるガルルンの前でサンレイが唇に指を立てた。


「内緒だぞ、ふんばり入道も旧鼠も英二の霊力に惹かれてやって来たんだぞ、英二の霊力が大きくなって近くの妖怪が反応したんだぞ」

「がう? 英二が妖怪を呼ぶって事がお? 」

「好きで呼んでんじゃないぞ、でも結果的にそうなるんだぞ」

「ふんばり入道やクソ鼠みたいな事がまた起きるってことがお、大変がう」

「そだぞ、弱いヤツやヘンタイ妖怪だけならいいぞ、でも強いヤツが襲ってきたら……だから英二を守るためにガルルンも力を貸して欲しいんだぞ、ハチマルも居ないし、今のおらは全ての力が使えないんだぞ」


 ガルルンがからかうようにサンレイの頭をポンポン叩く、


「がふふん、今のちびっ子サンレイなら隙をつけばガルでも勝てそうがう、それでガルに手を貸して欲しいがお」


 普段なら怒るサンレイが逆に頭を下げた。


「そだぞ、英二を守るためならおらどんな事でもするぞ、だから頼むぞ」

「サンレイ……がふふん、ガルに任せるがお、英二は好きがう、頼まれなくとも守ってやるがお、ガルはできる女がお」

「恩に着るぞ」


 快諾したガルルンを見てサンレイが安心してニコッと微笑んだ。

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