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第21話

 翌日の昼に豆腐の隠れ里を出る。

 朝出る予定だったのだが村人の接待を受けてサンレイとガルルンが御馳走を食いまくったので遅くなった。


 車から降りて山道を歩くサンレイが英二の裾を引っ張る。


「腹もいっぱいだし天気もいいしハイキングにはピッタリだぞ」

「遊びに来たんじゃないからね」


 英二を挟んで隣を歩くガルルンが息巻く、


「そうがう、戦いに来たがお、ガルを操ったヤツは生かしておかないがう」

「ガルちゃん、秘伝書と連れ去られた人たちを助けるのも忘れないでね」


 犬の妖怪だからなのか姿が幼女だからなのか思考力はサンレイと同じレベルである。

 自身をガルと呼ぶこともあり英二だけでなく秀輝たちも自然と『ガルちゃん』と呼ぶようになっていた。


「そっちは任せたがう、ガルは2つ以上のことを考えると分からなくなるがお、だから敵を倒すことだけを考えるがう」


 ガルルンがニパッと可愛い笑みを見せた。

 反対側でサンレイがバカにする。


「難しいこと言っても無理だぞ、ガルルンは牙剥いて怒ってても食い物見せれば尻尾振って寄ってくるからな」

「何言ってるがお! ガルはバカじゃないがう、サンレイでも許さないがお」


 牙を剥いて怒るガルルンを無視してサンレイが着物の袂から飴玉を取り出した。

 山に来る途中のコンビニでジュースやアイスを買って食べた時に一緒に買って貰ったものだ。


「宗哉に貰った飴があんぞ、英二も食うか? 」


 英二を押し退けてガルルンがサンレイに抱き付いた。


「わふぅ~ん、飴玉欲しいがう~~ 」


 バカ犬だ……、

 人間の少女姿をしているがショートパンツに空いた穴から出た尻尾がパタパタと振れているのを見て英二だけでなくその場の全員が思った。


「がおがおゴーゴー、肉が好き♪~~、がおがおゴーゴー、魚好き♪~~、がおがおゴーゴー、カ~ブト好きぃ♪~~ 」


 飴玉を嘗めながら変な歌を歌うガルルンが先頭に立って獣道を歩いて行く、


「完全にハイキング気分だぜ」


 サンレイを挟んで後ろを歩く秀輝が呆れ声だ。


「大妖怪か何か知らんがおらとガルルンが居れば心配無いぞ」

「ガルちゃんってそんなに強いのか」


 後ろを歩くサンレイに首を回して英二が振り返る。


「バカ犬だけど本気を出したらハチマルでも怪我するくらい強いぞ、おらの電光石火を見切るくらい目はいいし鼻もいい、あれで頭が良かったら全力が出せない今の姿のおらなら負けてるぞ」

「そんなに凄いのか……とても見えないぜ」


 秀輝の声が聞こえたのか一番前を歩くガルルンが鼻を鳴らす。


「がふふん、全部聞こえてるがお、ガルは耳もいいがう、サンレイが言ってる通りがう、ガルは強いがお、できる女がう、泥船に乗ったと思って頼りにすればいいがう、それからナイスバディのいい女って言ってたことも全部聞こえてたがお、ガルに惚れるなよ」

「泥船は沈むからね、それとナイスバディとかは言ってないからね」


 本当にバカの子だ……、先を歩くガルルンを残念顔の英二が見つめる。


 暫く歩いていたが待てと言うように横に手を上げてガルルンが止まった。


「何かあったの? 」


 無言で周りの様子を伺うガルルンに直ぐ後ろを歩く英二が訊いた。


「敵だぞ」


 バッとサンレイが前に出る。


「7、8、9……全部で12匹がう、全部カエルの匂いがお」


 ガルルンが指を数えながら言った。

 計算は苦手な様子だ。


「化けガエルか、数まで分かるなんてガルちゃん本当に凄いんだな」


 英二が褒めるとガルルンが振り返る。


「がふふん、凄いがう、ガルはできる女がお、ガルに任せておけば安心がう、英二は気に入ったがおから人間でも特別に友達になってやるがお」

「あはは、ありがとう、俺もガルちゃんのことは気に入ったよ」


 優しい英二にガルルンも気がある様子だ。

 プクッと頬を膨らませたサンレイが英二の手を引っ張る。


「遊んでないでカエルを倒すんだぞ」

「へっ、俺が? 」


 自身を指差す英二を見てサンレイがニターッと意地悪顔で笑う、


「鍛えてんだろ、カエルくらい倒して見せろ」

「鍛えてるけどさ、1匹や2匹ならともかく12匹は無理だぜ」


 英二の後ろで秀輝が顔を引き攣らせる。


「オレっちが半分片付けるっすよ」

「プリンの話がついたからにはカエルの言いなりなんかにならないわ、今までこき使ってくれた分たっぷり返してやるからね」


 皿を両手に持った豆腐小僧と豆腐小娘が英二の両隣りに立った。

 一番後ろにいた宗哉が英二の隣りにやって来る。


「お前たちも行け、これでどうにか戦えそうだよ」


 宗哉の後ろにいたサーシャとララミが豆腐小僧たちと並ぶ、


「御主人様には手を出させませんデスから」

「敵のパターンは解析済みです。4匹程度なら我々だけで相手ができます」


 2人が構えるのを見てサンレイが少し考えてから口を開く、


「豆腐小僧とフー子は3匹ずつだぞ、他のカエルは手出しするなよ、そんでララミとサーシャで4匹だろ、残りの2匹を英二と秀輝と宗哉でやってみせろ、危なくなったら手を貸してやんぞ、それまで見てるからな、ガルルンも手を出すなよ」

「ガルなら一瞬で倒せるけど分かったがお、カエルなんて簡単すぎて相手にする気も起きないがう、飴玉でも嘗めて見学してるがお」


 ガルルンの差し出した手にサンレイが飴玉を置くと自分も1つ口の中へ放り込む、


「んじゃ始めんぞ、隠れてるつもりか知らんがバカガエルをおびき出せ豆腐小僧」

「わかったっす」


 豆腐小僧が持っていた皿を左右の藪へと飛ばす。


「グエェッ! グヒィ、ゲハァ、グババァ~ 」


 隠れていた化けガエルが悲鳴を上げながら跳びだしてきた。

 全部で12匹、ガルルンが感知した通りだ。

 その中に斑模様のカエルが2匹居た。

 何らかの術が使える他のカエルより少し格上の化けガエルである。


「あいつらはオレっちがやるっすよ」


 豆腐小僧が目敏く見つけると斑模様の化けガエルへと向かって行く、


「リーダーガエルは私たちでやっつけるから残りは人間でどうにかしなさい」


 もう1匹の斑ガエルの相手は豆腐小娘だ。

 獣道を挟んで右側で豆腐小僧たちと6匹の化けガエルの戦いが始まる。


「ララミ行きますデス」

「了解しました。先手必勝です」


 左にいた化けガエルにサーシャとララミが突っ込んでいく、


「ゲッゲッゲッ、人間が敵うと思って……ゲフゥ」


 イボガエルの頬にサーシャのパンチがクリーンヒットだ。

 ララミがよろけたイボガエルを掴んでその場に投げ落とすと同時に顔面に突きを入れる。


「ゲッ、ゲグヒィ~~ 」


 断末魔の呻きを上げてイボガエルが泡に包まれて小さくなっていった。


「一丁上がりです。次はどれです? 」


 手をパンパンと叩きながらララミが無表情で化けガエルを見つめる。


「あれにしますデス」


 軽くステップを踏みながらサーシャがトノサマガエルに近付く、


「嘗めるなよ、ゲヒヒッ 」


 トノサマガエルが長い舌を伸ばすがサーシャは余裕でサッと避ける。

 伸びた舌をララミが掴んで背負い投げだ。


「ゲゲッ」


 倒れたトノサマガエルが慌てて上半身を起こしたところへサーシャがジャブを浴びせ止めに右ストレートを叩き込んだ。


「ゲハァ~~ 」


 トノサマガエルが泡に包まれて小さくなっていく、


「凄い、ララミもサーシャも凄いや」


 2人の連係プレーに英二が舌を巻いた。


「感心してる場合じゃないぜ、俺たちもやるぜ」


 秀輝がスタンガン付きの警棒を構えた。

 サンレイが見ているので張り切っている。


「僕たちも連携して3人で1匹ずつやっつけよう」


 警棒を構える宗哉を見て英二が頷く、


「了解だ。俺が突っ込むから秀輝がやってくれ、止めは任せたよ宗哉」


 警棒を上段に構えた英二がアオガエルに向かって行った。

 飴玉を嘗めながら見ていたサンレイが呟く、


「あんな大振りじゃ避けられるぞ」

「喧嘩の仕方も知らないがう、はったりを噛ませなきゃダメがお」


 他人事のようにガルルンが言った。

 英二が振り下ろす警棒をアオガエルが身を引いて避けると同時に長い舌を伸ばす。


「ぐぅっ! 」


 舌に吹っ飛ばされて英二が地面に転がった。


「このやろ!! 」


 いつの間に居たのか秀輝がアオガエルの顔面に横から警棒を叩き付けた。


「ゲゲッ、ゲビビビビッ」


 殴られたショックと電撃でアオガエルがぶっ倒れる。


「止めだ」


 倒れたアオガエルに宗哉が警棒を突き立てた。


「ゲヒッ、ゲゲヒィイィ~~ 」


 手足をビクビク突っ張りながらアオガエルが泡に包まれていく、


「痛てて……わかってても痛いや」


 腕を摩りながら起き上がる英二を見て秀輝がニヤッと笑う、


「受け身を覚えててよかっただろ」

「カエルに襲われるなんて想定外だけどな」


 笑い返すと英二が体に付いた汚れをサッと払う、


「もう1匹もさっさと片付けるよ」


 言うが早いか英二がイボガエルに突っ込んでいった。

 後ろで見ていたサンレイが嬉しそうに呟く、


「中々やるな、鍛えたってのは嘘じゃないぞ」

「がふふん、作戦がう、英二が気を引いて秀輝が倒して宗哉が止めがお、人間のくせに結構やるがお」


 隣で見ていたガルルンも楽しそうだ。


 先程と同じように英二が突っ込んで秀輝と宗哉がイボガエルを倒した。

 妖力を貰って一時的に妖怪化しただけの化けガエルである。

 言葉を話せるが知能はカエルだ。

 単純な作戦を見抜くこともできない、近くで戦っていたララミとサーシャも残り2匹を直ぐに倒して英二たちがイボガエルを倒す所を見ている。


「こっちも終わったっすよ」

「あんな弱いカエルに命令されてたのかと思うと腹立ってきたわよ」


 右の藪で戦っていた豆腐小僧と小娘も合流する。

 満足そうな笑みをしてサンレイが口を開いた。


「そう怒んなフー子、よくやったな英二、秀輝と宗哉もだぞ、んじゃ行くぞ、次にカエル出てきたらガルルンがパパッと倒すんだぞ」

「がふふん、100匹出てきても一瞬でのしガエルにしてやるがお」


 英二たちの戦いを見て興奮したのかガルルンがギラッと目を輝かせた。



 獣道をどんどん登っていく、途中で化けガエルの集団が2度襲ってきたがガルルンが言葉通り秒殺した。


「ガルちゃんってマジで凄いんだな」

「がふふん、できる女はパッパと仕事をこなすがお」


 英二が褒めるとガルルンが鼻を鳴らして胸を張る。


「今度はおらがやっつけてやんぞ、ガルルンが秒殺ならおらは瞬殺だぞ」

「はいはい、サンレイが強いのは知ってるから、操られてたガルちゃんを止めたのもサンレイだしね」


 対抗意識丸出しのサンレイの頭を英二がポンポン叩いた。


 鬱蒼とした山の中をまた歩き出す。

 どうにか開けているのは足下の獣道だけといった様子からかなり山奥に来たのが分かる。


「この匂いがう、臭い匂いがするがお」


 1番前を歩くガルルンが立ち止まって振り返る。


「匂い? 臭い匂いなんてするか? 」


 サンレイを挟んで3番目に歩いていた英二が後ろにいる秀輝に訊いた。


「俺もダメだ。匂いなんて何もしないぜ」

「オレっちも匂わないっすよ、山犬の鼻だから匂うっすよ」


 一番後ろを歩く豆腐小僧も感じないようである。


「匂いは分からないけど妖気は感じんぞ、カエルじゃないぞ、悪くてデカい妖気だぞ」


 英二の前でサンレイが顔を顰める。


「サンレイちゃんとガルちゃんが感じるなら敵は近いって事だね」


 言いながら宗哉が後ろから歩いてくる。


「臭い匂いで気を失って操られたって言ってたよね、これ使えないかな」


 熊撃退スプレー対策に持ってきていたガスマスクを差し出す。


「んだ? 水中眼鏡か? 」

「ガスマスクだよ、毒とかの匂いを防ぐんだよ」


 英二がサンレイにも分かるように説明した。


「3つしか無いけどサンレイちゃんとガルちゃんと豆腐小僧の3人で使ってくれ」

「ナイスアイデアだね、大妖怪相手じゃ俺たち足手纏いになるだけだし、敵に操られないように後ろにいた方がいいよね」


 宗哉と並んで笑顔を見せる英二の前でサンレイが顔を顰める。


「妖怪の術がこんなので防げるわけ無いぞ」

「そうか……何か役に立てばと思ったんだけど…… 」


 項垂れる宗哉からガスマスクを奪い取るようにサンレイが手にする。


「でも有難く貰っとくぞ、このままじゃダメだけどおらが術を掛ければ使い物になるぞ」


 サンレイが何やら口の中で呪文を唱える。

 ガスマスクに青い雷光が走って消えた。


「これでいいぞ、結界を張ったからな、妖力も防げるマスクになったぞ、おらより力が弱いヤツの術なら防げるぞ」


 言いながらガルルンと豆腐小僧にガスマスクを渡す。


「サンレイ様と一緒に戦えるなんて里で自慢できるっす」


 感激して受け取る豆腐小僧の前でサンレイがガスマスクを被る。


「おおぅ、格好いいぞ、宇宙人みたいだぞ」

「サンレイ面白いがう、ガルもやるがお、こうやって被るがお」


 ガルルンも楽しそうに被った。


「ワレワレは宇宙人がう、リメンバーパールハーバーがお」

「おらも知ってんぞ、オレオレ、俺だよ俺、宇宙人だよって騙して金取るヤツだぞ」

「ガルちゃん違うからな、サンレイのはオレオレ詐欺だからな」


 2人を見て英二が顔を顰める。


「気に入って貰えて嬉しいよ、用意した甲斐がある」


 爽やかスマイルを見せる宗哉の隣で英二が溜息をついた。


「何でも玩具にするんだから……まあいいや、ここからはガルちゃんとサンレイと豆腐小僧が先に行ってくれ、匂いがきつくなったら俺たちはそこから先には行かないで操られないように待ってるからさ、豆腐小娘さんとララミとサーシャが居れば化けガエルはどうにかなるからね」

「了解だぞ、初めから英二たちを連れて行く気は無かったぞ、ガルルンも操られたら手間だから置いていこうと思ってたぞ、でもマスクがあれば大丈夫だぞ」


 ガスマスクを被っているので口元は見えないがサンレイの目から意地悪顔で笑っているのが分かった。

 ガルルンを先頭にサンレイと豆腐小僧が続いて歩き出す。


「臭っ! 何だこの匂い? 」

「マジで臭いな、でもどっかで嗅いだことのある匂いだぜ」


 英二と秀輝の話を聞いてサンレイが立ち止まる。


「ガルルン止まれ、英二たちはここまでだぞ」

「匂うがお? これ付けてるからガルはほとんど匂わないがう」


 言いながらガルルンがマスクを口からずらす。


「がふっ! 臭いがお、この匂いがう」


 咳をして慌ててマスクを被った。

 人間の何十倍もの嗅覚を持つガルルンが急に匂いを嗅いで咽せた様子だ。

 後ろから宗哉が歩いてくる。


「銀杏の木の実だ。ギンナンだよ、食べたことあるだろ、茶碗蒸しとかに入ってる緑の丸い実だよ」

「そうだぜ、銀杏だ。小学校へ行く道に生えてただろ英二」

「ああ、あれか、秋になると物凄い匂いしてたな」


 秀輝と顔を見合わせた後で英二が豆腐小娘に向き直る。


「豆腐小娘さんが作ってたのも銀杏の入った豆腐だったよね」

「そうよ、銀杏豆腐、私の作った妖怪豆腐に銀杏の実を磨り潰して混ぜたのよ、その山犬が生気が吸い出しやすくなるって言ってたわ」

「ガルが? ガルはそんな事知らないがお」


 指差されてガルルンが首を傾げる。


「ガルちゃんは操られてたから何も覚えてないんだよ」

「ギンナンを使う妖怪か……ガルちゃんもイチョウ様とか名乗ってたしな」


 英二の隣で秀輝が思い出すように言った。


「ふ~ん、そういう事か」


 ガスマスクのレンズ越しにサンレイの目がキラッと光った。


「何か分かったのか? 」


 英二を見てサンレイが得意気に話し始める。


「敵の正体が分かったぞ、たぶん木の妖怪だぞ、何百年も生きた木が妖怪になったヤツだぞ、人間が入らない山奥にはよくいるんだぞ、動けるヤツも居るけど殆どは動けないぞ、木だからな、んだから化けガエルみたいに手下を使って悪さするんだぞ、ガルルンを操ったのも自分が動けないからだぞ」

「銀杏の木の妖怪って事か」

「そだぞ、強い妖気だけどおらの敵じゃないぞ、だから英二たちはここで待ってろ」

「わかった。ガスマスクも無いしサンレイの足手纏いにはなりたくないからな」


 頷く英二を見てサンレイがニヤッと笑う、


「退屈しなくて済むぞ、カエルがやって来る気配を感じるぞ」

「化けガエルか、何匹居るんだ。まったく」


 英二の後ろで警棒を握り締めた秀輝が愚痴る。


「敵を倒したら匂いが無くなるはずだからそれまで動くなよ、カエルの相手をしてろ、フー子頼んだぞ」


 豆腐小娘が前に出てきた。


「わかったわ、サンレイ様に頼まれたら嫌いな人間でも守ってやるわよ」

「10匹くらいだぞ、フー子とララミとサーシャでやれんだろ、英二たちはララミとサーシャが倒したカエルに電気流してやればいいんだぞ」

「了解した。気を付けてねサンレイ、ガルちゃんも無理しちゃダメだよ、豆腐小僧もだよ、こっちは心配無いからね」


 心配を掛けまいとして英二が笑顔でこたえた。


「がふふん、ガルはできる女だから心配無用がお」


 ガルルンが余裕に鼻を鳴らす。


「フー子頼んだっすよ」

「フー子って呼ぶなバカ兄貴、気を付けて行けよ、サンレイ様頼みます」


 怒鳴る豆腐小娘の目が心配そうだ。


「任せろ、んじゃパッパと片付けてくるからな」


 サンレイを先頭にガルルンと豆腐小僧が獣道を進んで消えていった。

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