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第136話

 美鈴が英二と秀輝を抱えて飛び上がる。


「余所見してないの」


 先程まで2人がいた場所へ朧車が突っ込んでいた。


「じししっ、英二を捕まえる。じしししっ」


 奇妙な笑いを上げて朧車がぐるっと回る。

 跳ぶと言うよりジャンプするように美鈴が降り立つ、


「重すぎて2人じゃこれが精一杯よ、サンレイちゃんを気にする前に朧車をどうにかしないとダメよ」


 美鈴の疲れた声を聞いて英二が頭を下げる。


「ありがとう美鈴ちゃん」

「助かったぜ、あのまま居たらぺっちゃんこだ」


 礼を言いながら秀輝が鉄パイプを構えた。


「俺の霊刀と英二の爆突、2つ合わせてぶち込もうぜ」

「それしか無いな、でも隙があるかどうか…… 」


 険しい顔で頷く英二の手を美鈴が引っ張る。


「私に任せて、少しの間なら朧車の気を引けるわよ」

「危ないよ美鈴ちゃん」

「ああぁん、心配してくれるのね、英二先輩のためなら少しくらい危険な事でもするわよ、それに私は飛べるから大丈夫よ」


 優しい声を掛ける英二に美鈴が抱き付いた。

 朧車が前の車輪を外す。


「牛輪潰し」


 大きな車輪が2つ凄い速さで転がってくる。


「じゃあその作戦で行くわよ」


 羽を広げて美鈴が飛び上がる。

 英二が両手を車輪に向けた。


「車輪は俺が何とかする。美鈴ちゃんが朧車に向かったら俺たちも突っ込むぞ」

「了解だぜ、何時でもいいぜ」


 英二の後ろで秀輝が鉄パイプを構えた。


「爆突、6寸玉! 」


 英二が両手から爆発する気を放って2つの車輪を吹っ飛ばした。


「じししっ、同じ手が何度も通用すると思うなよ」


 奇妙な笑い声を上げて走り出す朧車に向けて美鈴が羽を鳴らす。


「羽音眩暈!! 」


 三半規管を麻痺させる音波攻撃だ。


「じしっ、じしししっ、裏切り者の蜂が」


 朧車が口を大きく開いた。


「牛火を喰らえ」

「羽音壁!! 」


 飛んでくる火の玉を音波の壁で防ぐと美鈴が背中から生える蜂の尻尾を朧車に向ける。


「妖怪にも効く毒液よ」


 大声を出しながら美鈴が毒液を飛ばす。


「じひっ、毒だと…… 」


 降り注ぐ毒を避けようと朧車がその場でぐるっと回った。


「英二先輩! 」


 美鈴の掛け声で英二と秀輝が動く、


「爆突、8寸玉! 」


 英二が朧車の横っ腹に爆発する気を両手から2つ叩き込む、


「じひぇ~~ 」


 吹っ飛んで転がった朧車に秀輝が鉄パイプを振り落とす。


「止めだ! 」


 ボンッという音と共に横に倒れた朧車が滑るように吹っ飛んでいった。


「じひぃ~、じへへぇぇ~~ 」


 悲鳴を上げる朧車を見て英二と秀輝が顔を見合わせてニッと笑う、そこへ美鈴が降りてきた。


「妖気が減ってるわ、ダメージは与えたみたいよ」


 美鈴の指差す先で朧車が起き上がる。

 その横っ腹に大きな穴が空いていた。英二と秀輝の同時攻撃で出来た穴だ。


「じじっ、じしししっ、これくらい……この程度で私が倒せると思うなよ」


 叫ぶと朧車の体が黒い妖気に包まれる。


「じししししっ、人間どもに私が負けてたまるか」


 黒い妖気が消えると朧車の横っ腹に開いた穴も塞がっていた。


「再生したのか? 」


 険しい顔の英二の横で美鈴が諦めるように声を出す。


「なま様の妖力が詰まった水晶玉と水胆の力ね、私たちじゃ無理だわ」

「もう一回出来るぜ、次は横じゃ無くてデカい顔面を叩き切ってやろうぜ」


 鉄パイプを握り直す秀輝を見て英二と美鈴が頷いた。



 美鈴が羽を広げて飛び上がる。


「ボロ車、お前なんかに負けないわよ」


 挑発するように飛ぶ美鈴に朧車が口を開く、

「ボロ車だと、死にたいのかクソ蜂が! 焼き殺してやる。牛火! 」


 大きく開いた口から火の玉を幾つも飛ばす。


「遅い遅い、そんなものなんか当たらないわよ」


 余裕で避けていくその下で英二が両手を構える。


「爆突、8寸玉! 」


 爆発する気を放つ英二の前を秀輝が走って突っ込む、


「じししししっ」


 奇妙な声で笑いながら朧車がジャンプした。


「なに!? 飛べるのかよ」


 秀輝が慌てて足を止める。

 その両脇を英二の放った気が通って向こうの壁に当たって大きな音を上げて爆発した。


「同じ手なぞ効くか」


 朧車がジロッと秀輝を睨み付ける。


「牛火を喰らえ」


 上から火の玉が秀輝に迫る。


「秀輝先輩」


 飛んできた美鈴が羽を鳴らす。


「羽音壁!! 」


 音波の壁に当たって火の玉が弾けて消えていった。


「じしししっ、掛かったな」


 朧車が車輪を全て外す。


「牛輪潰し」


 6つの大きな車輪が美鈴と秀輝に飛んでいく、


「飛ばせるのかよ」


 英二が慌てて両手を向ける。


「爆練、6寸玉! 」


 爆発する気を連続で飛ばして車輪を止めるが2つの車輪が爆発を抜けて二人に迫る。


「くそったれが! 」


 美鈴を突き飛ばすと秀輝が鉄パイプを構える。

 バンッという音と共に車輪の1つを吹き飛ばすが最後の1つが秀輝に向かって行く、


「秀輝先輩! 」


 突き飛ばされて転がった美鈴が叫ぶ、秀輝が身を挺して助けてくれたのだ。


「秀輝!! くそっダメだ!! 」


 英二が両手を構えるが大きな爆発を幾つも飛ばした後で霊力がまだ溜まらない。


「焔爪がお! 」


 秀輝に当たったと思った瞬間、車輪が真っ二つに割れて炎に包まれた。



『ガルちゃん! ガルルン先輩、ガルちゃん』


 英二と美鈴と秀輝が同時に叫んだ。


「待たせたがお、ガルが来たからには安心がお」


 秀輝の前に立ってガルルンがニッと可愛い笑みを見せた。


「ガルちゃん! 助かったぜ」


 恐怖に引き攣った顔を無理に曲げて秀輝が笑った。

 倒れていた美鈴がサッと起き上がる。


「ガルルン先輩、間に合ってくれたのね」

「がふふん、ガルはできる女がお、ガルが来たから安心がお」


 得意気に鼻を鳴らすガルルンを見て英二がほっと息をついた。


「よかったガルちゃん……ハチマルは? 一緒に来たんだろ」


 英二の言葉で秀輝と美鈴も辺りを見回すがハチマルは居ない。


「あの時の山犬か……丁度いいお前も殺してやろうと思っていたところだ」


 降りてきた朧車に飛ばした車輪が戻っていく、ガルルンに切られた車輪も元通りになっている。


「がひひっ、寝言は寝て言うがお、ボロ車にガルがやられるわけないがお」


 バカにしたように笑うガルルンの後ろに英二が駆けてくる。


「ガルちゃん気を付けろ、水胆を使って強くなってるよ」

「がひひひっ、デカくなっただけがお、ボロ車はボロ車がお」


 心配する英二の前でガルルンが姿を変えていく、口元が前に突き出して手足だけでなく頬まで毛が覆っている。

 普段の人間80%狼20%といった姿から人間60%狼40%くらいの獣人姿に変っている。

 ガルルン曰く40%くらい本気という姿だ。


「チビの神はともかく山犬如きが偉そうにほざくな! 」


 朧車が突っ込んでくる。


「牛火を喰らえ! 」


 途中で火を吐きながら突っ込んでくるがガルルンは避けない。


「英二、秀輝、ガルの後ろから離れるながお、毛火矢! 」


 振り向かずに言うとガルルンが火の付いた毛を矢のように飛ばす。

 細い毛が当たると大きな火の玉がバッと四散して落ちていく、


「私の牛火を……轢き殺してやるわ」


 正面から突っ込んできた朧車の左右のショベルとドリルがガルルンに襲い掛かる。


「焔爪! 」


 朧車のショベルとドリルをガルルンが炎の灯った左右の手で叩き切った。


「死ねぇ~~ 」


 両腕を広げたガルルンに朧車が体当たりする。


「火打ち頭突き! 」


 ガツンッと火花が散って朧車が吹っ飛んでいく、ガルルンが頭突きを喰らわせたのだ。


「じひぃ~、じひひぃ~~ 」


 悲鳴を上げて朧車が転がった。


「頭突きのガチンコ勝負ならガルは負けないがお、でも一寸痛かったがお」


 額を擦りながらガルルンが振り返る。


「頭突きって……確かに朧車はデカい顔で突っ込んできたけどさ」

「ガルちゃん凄いぜ、デカい火の玉を小さな毛火矢で消すんだからな」

「ガルルン先輩凄いです。尊敬します」


 呆れる英二の後ろで秀輝と美鈴が大袈裟に驚く、


「がふふん、ガルは火山犬がお、火を使う術ならそこらの妖怪には負けないがお」


 ドヤ顔で鼻を鳴らすガルルンの頭を英二が撫でる。


「それでハチマルは何処に居るんだ? 」

「ハチマルは結界を張ってるがお、なまざらしとクソ坊主を逃がさないって言ってたがう、終わったら直ぐにくるがお」


 嬉しそうに尻尾をブンブン振りながらガルルンがこたえた。


「結界か……それじゃあ、ハチマルが来るまでに朧車ぐらいは倒さなきゃな」


 英二が秀輝に手を伸ばす。


「秀輝貸せ! もう一度霊力を入れてやる」

「頼むぜ」


 秀輝から鉄パイプを受け取ると英二が気を集中する。

 ボンッと鳴って鉄パイプが英二の手から転がり落ちた。失敗だ。


「失敗したがお、落ち着くがう、ガルが居るからボロ車は何も出来ないがお」

「ありがとうガルちゃん、もう一度だ」


 落ち着けと自分に言い聞かせながら英二が鉄パイプを拾う、


「魂宿り! 」


 英二の体が白く光る。その光が両手から鉄パイプへと吸い込まれていった。


「よし、旨くいった。6回程使えるよ」


 英二から鉄パイプを受け取ると秀輝が試すように上下に振る。


「サンキュー、これでガルちゃんの援護が出来るぜ」


 英二がガルルンに向き直る。


「ガルちゃんは秀輝と一緒に朧車を頼むよ、俺はサンレイの援護に行くからさ」

「了解がお、ボロ車なんてガル一人で充分がお」


 相手を舐めて掛かるガルルンから目を離して英二が秀輝を見つめる。


「任せろ、ガルちゃんの援護はしっかりするぜ」


 英二が任せたというように頷いた。

 ガルルンは確かに強いが何処か抜けた所があって1人で戦わせるのは不安なのだ。


 英二の後ろから美鈴が抱き付く、


「それじゃあ私は英二先輩と一緒に行くね」


 英二が首を回して振り返る。


「美鈴ちゃんは秀輝を守ってやってくれ、ガルちゃんも秀輝も無茶するからさ、冷静な美鈴ちゃんが居てくれれば安心だよ」


 英二の背から美鈴が離れる。


「私は英二先輩の手伝いがしたいんだけどな……でもさっき秀輝先輩に助けられたし、わかったわ、サンレイちゃんが居るなら英二先輩は安心だからね」

「ありがとう、任せるよ」


 おっぱい無いし蜂姿じゃ抱き付かれても少しも気持ち良くないな……、余裕が出来たのか英二が笑いながら走って行った。



 妖怪なまざらしと対峙していたサンレイの姿が半透明で揺らいでいた。


「サンレイ! 」


 大声を出す英二を見てサンレイが疲れた顔に笑みを浮かべる。


「大丈夫だぞ、なまちゃん相手だからな、一寸本気出しただけだぞ」


 半透明だったサンレイの姿が元に戻っていく、


「よかった…… 」


 安堵する英二の目に妖怪なまざらしが向かってくるのが見えて大声で教える。


「サンレイ後ろだ! 」

「余所見してる暇無いのだ」


 滑るように走ってくるとなまざらしが殴り掛かる。

 なまざらしの足下に水の塊がある。どういう仕組みかわからないが水の上に乗って滑って移動していた。

 殴られる寸前、サンレイがバチッと消えた。


「なまちゃん相手じゃ余裕だぞ」


 バチッと後ろに現われると蹴りを食らわす。


「閃光キィ~ック! 」

「ひげぇぇ~~ 」


 雷光を纏った蹴りが背中に当たって前のめりに倒れると顔面を擦るようになまざらしが転がっていった。


「やった。諸に決まった」


 喜ぶ英二の見つめる先でなまざらしが起き上がる。


「あちちち……顔が……鼻を擦ったのだ。イケメンのおいらの顔に傷が付くところだったのだ。世界的損失なのだ」


 床で擦った鼻を手で押さえているだけで他には何のダメージも受けていない様子だ。


「な……サンレイの蹴りを諸に食らって平気なのかよ」


 驚く英二の前でサンレイがバチッと消えた。


「なまちゃんがイケメンなら全生物の雄の99%がイケメンだぞ」


 真上に現われるとサンレイがなまざらしに右手を向ける。


「雷ド~ン! 」


 青く澄み切った空から雷が落ちてくる。

 英二たちがいる改装中の建物に落ちると天井を突き抜けて妖怪なまざらしに雷が直撃した。


「うぉう! サンレイ!! 」

「なんだ? 」

「サンレイちゃんなの? 」


 大きな爆発が起って近くに居た英二だけでなく朧車と戦っていた秀輝と美鈴も衝撃で転がった。


「じししっ、轢き殺してやる」


 チャンスと見て向かって来た朧車をガルルンが蹴り飛ばす。


「最大級の雷がお、サンレイ本気出してるがお」


 吹っ飛んで転がる朧車に目もくれずにガルルンがサンレイを見て呟いた。


「相変わらず凄い雷なのだ」


 なまざらしの呑気な声に倒れていた英二が慌てて起き上がる。


「マジかよ……あの雷で平気なのかよ」


 離れた所に居た秀輝や美鈴が倒れたほどの雷が直撃したはずなのになまざらしはその場で動かず無傷で立っていた。


「おいらは大妖怪を凌ぐ大々妖怪なのだ。雷くらい平気なのだ」


 ドヤ顔のなまざらしの向かいにサンレイが降りてくる。


「おかしいぞ、なまちゃんは強いぞ、でもおらの雷を喰らって平気でいるわけないぞ」


 険しい顔をしてサンレイが床に片手を付ける。


「放電地走り! 」


 バチバチと床を通って電気がなまざらしに絡み付く、


「なははははっ、電気など平気なのだ」


 なまざらしは青い雷光に包まれながら平然と笑っている。

 そこへサンレイが跳び蹴りを仕掛ける。


「閃光キィ~ック! 」

水柱硬円すいちゅうこうえんなのだ」


 足下から水柱が立ち昇りなまざらしを包み込んだ。

 閃光をあげる蹴りが水柱に当たるとシュバッと音を立ててサンレイが弾き飛ばされた。


「水のバリアーだぞ」


 くるっと回って着地したサンレイになまざらしが襲い掛かる。


「大潮パンチなのだ」


 バチッと雷光をあげて避けたサンレイの脇腹になまざらしの蹴りが飛んできた。


「渦潮キックなのだ」

「がはっ! 」


 短い悲鳴を上げてサンレイが脇腹を押さえて蹲る。


「サンレイ! 爆突、6寸玉! 」


 慌てて爆発する気を放ちながら英二がサンレイに駆け寄った。


「サンレイ大丈夫か? 」


 サンレイを抱えると走ってなまざらしと距離を置く、


「いい爆発なのだ。だけどおいらには効かないのだ」


 英二がサッと見るとなまざらしが水の柱に包まれていた。

 先程サンレイの攻撃を防いだ水柱硬円という防御技だ。


「痛てて……なまちゃん前より強くなってるぞ」


 立ち上がるサンレイの腕を英二が掴む、


「俺も戦うよ」

「ダメだぞ、英二の敵う相手じゃないぞ」


 英二の腕を払うとサンレイがバチッと消えた。



 なまざらしの右にバチッとサンレイが姿を現わす。


「閃光キィ~ック! 」

「大潮パンチなのだ」


 サンレイの雷光を纏った蹴りをなまざらしの水に包まれたパンチが弾き返す。

 くるっと体を捻ってサンレイがパンチを繰り出す。


「雷パァ~ンチ! 」


 なまざらしがぐるんと回って蹴りで受ける。


「渦潮キックなのだ」


 ドリルのように水が回る蹴りにサンレイが弾き飛ばされていった。

 ばっと着地したサンレイが両手をなまざらしに突き出す。


「雷ド~ン! 」


 両手から吹き出す閃光が流れるようになまざらしにぶち当たる。


「なははははっ、無駄なのだ。電気は効かないのだ」


 大笑いするなまざらしは無傷だ。

 水胆を使って強化した朧車でさえ吹き飛ばすサンレイの雷ド~ンを受けても平然と立っている。


「サンレイが……本気のサンレイが押されている。なまざらしってそんなに強いのかよ」


 険しい顔で呟く英二の目に奇妙な光景が映る。


「アレはなんだ? 光ったような気がしたが…… 」


 なまざらしの足下に雷が吸い込まれていったのを見て英二が目を凝らす。


「なんだ? ロープか? 」


 先程なまざらしが立っていた場所にロープのようなものがあるのが見えた。

 戦っている2人に注意しながら近付くと英二がロープのようなものを拾い上げた。


「電線? もしかしてアースか? 」


 英二が辺りを見回す。

 いつの間にかホールの彼方此方にロープのようなものが張り巡らされていた。

 2つ程調べて英二が結論を出す。


「間違いないアースだ。これで電気を逃がしてたんだな」


 英二は電線を持ち上げるともう片方の手を平手で構えた。


「爆刀、鉈! 」


 ボンッという音を鳴らして太い電線を叩き切った。

 同じようにしてサンレイが戦っている周りの電線を切っていく、10本程切った時点で英二が大声を出す。


「サンレイ! 電線だ。電線を使ってサンレイの電気を逃がしてたんだ。だから効かなかったんだ。こっち側の電線は全部切ったからこの辺りで戦え」


 サンレイがバチッと瞬間移動でやってきた。


「その電線でおらの電気が効かなかったんだな」


 英二が手に持つ切れた電線を見てサンレイがニヘッと不気味に笑う、


「サンキューだぞ英二、仕掛けがわかったら勝てるぞ」


 悪い笑みを見て英二がほっと息をついた。サンレイが自信のあるときの表情だ。


「この辺りの電線は全部切ったからここで戦え、向こう側の電線も直ぐに切ってくるからな、無理するなよサンレイ」

「わかったぞ、やっぱり英二は一番の相棒だぞ」


 不気味な笑みから一転、可愛い笑みを見せるとサンレイがバチッと消えた。


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