第111話
午前の授業が終わって昼休み、普段より早く昼食を終えたサンレイとガルルンが元気よく立ち上がる。
「宗哉、御馳走さん、サンドイッチ旨かったぞ」
「ツナサンドとカツサンド美味しかったがお」
2人が宗哉に礼を言う、宗哉はサンレイたちが摘まめるように弁当を一つ余分に持ってきているのだ。
「喜んでくれて僕も嬉しいよ、今日は早いね、何かあるのかい? 」
ゆっくりと食べていた宗哉が訊くとサンレイとガルルンがニッと可愛い笑みになる。
「1年のクラスに行くぞ」
「絵里香に会いに行くがお」
「絵里香さん? もう新入生と友達になったんだね」
驚くように言った宗哉を見てサンレイとガルルンが嬉しそうに続ける。
「そだぞ、そんで遊びに行くって約束したぞ」
「遊びじゃないがお、修業がう、ハチマルが術を教えるがお」
爽やかに微笑んでいた宗哉から笑みが消えた。
「修業? 何の事だい? 」
宗哉に構わずにサンレイが振り返る。
「そんな事より早く行くぞガルルン」
「わかったがお」
ガルルンが慌てて空の弁当箱を鞄に仕舞った。
教室を出て行こうとする2人をペットボトルのお茶を飲みながらハチマルが注意する。
「これこれ、慌てるでない、お主ら2人だけで行くのはダメじゃぞ」
「もう2年生だぞ、おら1人で何でも出来るぞ」
プクッと頬を膨らませるサンレイの横でガルルンが任せろと胸を張る。
「ガルはできる女がお、今まで1人で生きてきたから1人でも大丈夫がお」
秀輝たちと机を囲んで弁当を食べていた英二がジロッと睨む、
「ダメだからな、学校とか町中とか人が沢山居るところは単独行動禁止だからな、俺かハチマルか秀輝たちが付いてないとダメだからな」
ハイハイと言うように手を振りながらサンレイが口を開く、
「まったく英二は煩いぞ、そんなにおらを独り占めしたいのか? 」
「束縛がお、ガルが他の男に盗られるのが厭がお、英二はガルにベタ惚れがう、英二の愛確かに受け取ったがお、がふふふふっ」
ガルルンが嬉しそうに照れ笑いした。
「ちっ、違うからな! 2人とも目を離すと何をするかわからないから言ってんだ」
英二が慌てて弁解した。普段のじゃれ合いなのだが2年から新しく入った級友に誤解されないように必死だ。
お茶を飲み終わったハチマルが立ち上がる。
「儂は束縛せんのか? 英二になら束縛されてやってもよいぞ」
ハチマルが艶のある目で英二を見つめる。
秀輝と宗哉を除くクラスの男たちが一斉に英二を睨んだ。
「違うから……勘弁してくれぇ…… 」
弱り顔の英二を見てハチマルが笑い出す。
「ふふふふっ、冗談じゃ、英二はからかいでがあるのぅ」
サンレイとガルルンがハチマルの腕を引っ張る。
「早く行くがお、絵里香待ってるがお」
「そだぞ、英二は何時でもからかえるぞ」
「わかった。わかった。では行こうかの」
2人に引っ張られるようにしてハチマルが教室を出て行った。
「勘弁してくれぇ…… 」
英二は力無く呟くと一緒に机を囲んで弁当を食べていた浅井と中川を見つめる。
「お前らまで一緒になって睨むなよ、マジで怖いからな」
「ハチマルさんとガルちゃんとサンレイちゃん、一緒に住んでるだけでも羨ましいのに冗談でも束縛されたいなんて言われたら睨んで当然だ」
マジ顔の浅井の向かいで中川がうんうん頷く、
「そうだそうだ。おまけにハチマルさんの手作り弁当だと……神が許しても俺が許さん」
「手作りって、母さんが作る弁当を手伝ってくれてるだけだろ、って言うかハチマルが作った玉子焼き、2つ入ってたのお前らが食べただろが」
弱り顔の英二の前で浅井と中川の顔にパァーッと笑みが広がっていく、
「うん、食べた。ハチマルさんの手作り玉子焼き美味しかった」
「旨かったよな、ハチマルさん料理も出来るし美人だしスタイルいいし、いいよなぁ~、またおかずトレードしようぜ」
「わかったから、おかずはやるから敵みたいに俺を睨むな」
溜息をつく英二がじっと見つめている宗哉に気付いた。
「宗哉、どうした? 」
「修業って何のことだい? 」
怪訝な表情で宗哉が訊くと後ろで集まって食べていた小乃子が首を伸ばす。
「あたいらにも聞かせろ」
「心配しなくていいよ」
宗哉と小乃子たちの傍に行くと英二が絵里香が霊力を持っていることを話して聞かせた。
食べ終わった小乃子が弁当箱を仕舞おうと立ち上がる。
「あたしらの仲間に入れるのかな? その1年霊能力持ってるんだろ」
秀輝が拳を反対側の手の平に叩き付けてパチンと音を鳴らす。
「おお、そういう事か、英二みたいに技が使えるなら役に立つかもな」
「それは無いよ、霊能力があるっていっても霊を見たり簡単なお祓いが出来るくらいだってハチマルが言ってたよ」
無いと手を振る英二の横に小乃子が並ぶ、
「そっか、それでも充分凄いけどな」
「だな、俺たちからしたら超能力持ってるみたいなもんだぜ」
宗哉の机の上にあるサンドイッチを秀輝がじっと見つめる。
「1つあげるよ」
「サンキュー 」
秀輝が遠慮無しに卵が挟んであるサンドイッチを手に取った。
「でもさ、今頃1年のクラスは大変だよ、サンレイちゃんとガルちゃんにハチマルさんが行くんだからね」
楽しげに言うと宗哉も残りのサンドイッチを食べ始める。
「そうだ……ハチマル1人に行かせればよかった」
不安顔の英二の背を小乃子がドンッと叩く、
「今頃お祭り騒ぎだぞ、サンレイとガルちゃん大人気だからな」
「あはははっ、違いない、でもよ、ハマグリ女房も倒したし、俺たちも2年は楽しく行けそうだな」
大笑いする秀輝を見て小乃子がニヤッと意地悪顔になる。
「ハマグリ女房倒すところ見たかったな、ガルちゃんイソギンチャクに飲み込まれたんだろ? それで英二がキレて気絶するところもな」
昼食を食べ終わった委員長が空の弁当箱を包みながら話しに入ってくる。
「何呑気に言ってんのよ、ハマグリ女房だけならともかく他の妖怪も連れてきてたのよ、私たちが人質にでもなったら大変でしょ」
後ろのガルルンの席と机をくっつけていた晴美が元に戻しながら口を開く、
「そうだよ、サザエ鬼と化けイソギンチャクはキモかったよ、あんなの見たくないよ」
思い出したのか顔を顰める晴美に小乃子が同意する。
「サザエはともかくイソギンチャクはキモかったよな」
「うん、ガルちゃんが無事で本当に良かったよ」
「ほんと男共は頼りにならんよな」
心配顔の晴美と意地悪顔の小乃子が英二を見つめる。
複雑な表情で何も言わない英二の代わりに秀輝が話を始める。
「妖怪相手に頼りもクソもあるかよ、今思うとよくあんなのと戦ったってビビるぜ、英二なんてキレて霊力が暴走して大変だったんだぜ」
「言うなよな、帰ってからハチマルに説教されたんだからな、もっと心を鍛えろってさ」
弱り顔の英二の横で宗哉がサンドイッチを食べ終わる。
「まだ終わっていないよ、HQとか言う狐面を被った坊主の正体もわかっていない、それにハマグリ女房が言っていた『あの方』とか言う大妖怪も気になる」
英二がマジ顔に変わる。
「宗哉の言う通りだ。本調子でないって言ってもハチマルを結界に閉じ込めたHQが気になる。ハマグリ女房は普通の貝に戻ったけどHQは消えたっきりだ」
秀輝がちらっと英二を見る。
「妖怪じゃなくて人間なんだろ? HQってクソ坊主」
「人間が何で妖怪と一緒に高野くんを襲うんだろう…… 」
晴美が考えるようにして呟いた。
委員長が空の弁当箱を持って立ち上がる。
「人間も妖怪も関係ないわよ、良い人もいれば悪い人もいるってだけよ」
「だな、ガルちゃんや豆腐小僧みたいに助けてくれる妖怪もいるからな」
秀輝の横にいる英二を小乃子が見つめる。
「まだ英二は狙われてるって事か…… 」
「そうね、でもハチマルが復活したしどうにかなるでしょ」
英二のことを心配している小乃子を安心させようとして委員長が態と戯けるようにして言うと宗哉も乗ってくれる。
「そうだね、ハチマルさんが本調子に戻るまでは敵が来ないことを祈るしかないな」
「俺のために…… 」
申し訳なさそうな英二の肩を秀輝がガシッと掴む、
「おっと、その先言ったら怒るぜ」
宗哉が爽やかな笑みを湛えながら口を開く、
「そうだよ、僕たちは好きでここにいる。迷惑なんて思っていないんだよ」
晴美が英二と宗哉を見つめる。
「うん、本当言うと怖いけどガルちゃんやサンレイちゃんと一緒に居たいから……みんなと一緒に居たいから」
「怖いもの見たさってヤツだ。危なくなったらサンレイたちが守ってくれるだろ……それに英二も守ってくれるって信じてるからな」
戯けて言う小乃子に英二がマジ顔を向ける。
「ああ、守ってやる。新しい技を特訓してるんだ。それが使えるようになれば…… 」
拳を強く握り締めて英二が呟いた。
英二たちがハマグリ女房やHQの話をしている頃、サンレイたちは絵里香の居る1年3組へと来ていた。
「うわっ! なんだ? 小学生か? 」
突然入ってきたサンレイを見てドアの近くに居た男子が驚きの声を上げる。
サンレイはちびっ子高校生として有名だが新入生全員が知っているわけではない、ドアの傍に居た男子も知らなかったのだろうマジで訝しんでいた。
「あっ、サンレイちゃんだ」
女子の一人が言うと教室内の全員がサンレイたちに注目する。
「マジだ。サンレイちゃんだ。可愛い~~ 」
「ちびっ子先輩だぁ~~、サンレイ先輩、チョコ食べますか? 」
「ガルルンちゃんも可愛いよ」
「うん、犬っぽいよね、ガルルン先輩」
サンレイとガルルンがたちまち女子たちに囲まれた。
少し遅れてハチマルが教室へ入ってくる。
「うおっ!! 」
サンレイに驚いた男子がハチマルの爆乳を見てまた驚いている。
「凄ぇ…… 」
目の前を歩いて行くハチマルに男子たちの視線が釘付けだ。
サンレイとガルルンを囲んでいた女子たちがさっと割れて道が出来る。
「ハチマル先輩だよ、格好良いよね、スタイル抜群で頭も良くて運動も出来て完璧だよね」
「うん完璧だ。特にあの胸は反則だよ」
「サンレイちゃんのお姉さんなんだよね」
「マジ? 知らなかったよ」
「いいなぁ~、私もあんなお姉さんが欲しい」
新入生たちの憧れるような眼差しにハチマルが微笑みを返す。
「騒がせて済まんの、島名絵里香はおるか? 」
「島名さん? 」
ハチマルに訊かれて女子たちが絵里香を探すが教室には居ない。
「絵里香いないがお」
鼻をヒクヒクさせるガルルンを見て女子たちが犬みたいとまた騒ぎ出す。
「ガルルン先輩可愛いぃ~~ 」
「犬みたいだよね」
囲む女子の1人がガルルンの頭に手を伸ばす。
「ボサボサだ……日本の犬って感じの毛だよ」
1人が頭を撫で始めると周りから幾つも手が伸びてくる。
「ほんとだ。家で飼ってる豆柴と同じ感触だよ」
「私も触らせてぇ~ 」
「可愛いぃ~~、ガルルン先輩ってマジで犬みたいだ」
キャーキャー言いながら騒ぐ女子たちの手をガルルンが払い除ける。
「止めるがお! 気安くガルの頭撫でるながお、撫でていいのは友達だけがお」
怒るガルルンから女子たちが手を引いた。
気まずい空気が流れる中、貰ったチョコレートをモチュモチュ食べていたサンレイが口を開く、
「ガルルンはバカ犬だからな、餌をあげれば直ぐに懐くぞ、食べかけのお菓子でもあげれば撫で放題だぞ」
サンレイにチョコをあげた女子が持っていた残りのチョコをガルルンに差し出す。
「ガルルン先輩もチョコ食べますか? 」
「わふふ~~ん、チョコ食べるがお」
受け取ったチョコを直ぐに開けて食べ始めるガルルンの横でサンレイがチョコを食べ終わる。
「今なら頭撫でても怒らないぞ」
チョコをあげた女子がガルルンの頭に手を伸ばす。
「犬みたいな毛並みだ。日本犬のごわごわした感じだね」
チョコに夢中なのか撫でても怒らないガルルンを見て周りの女子たちがまた手を伸ばして撫で始める。
後ろにいた女子がサンレイを抱きかかえる。
「私はこっち、サンレイちゃん可愛い~ 」
「ほんとだよね、ちっこくて私でも持って歩けるよ」
「このまま1年3組に居てくれないかな」
女子が代わる代わるサンレイを抱っこしていく、
「止めろよぉ~~、おらぬいぐるみじゃ無いぞ」
サンレイは嫌がってはいない、寧ろ喜んでいた。
「おらだって、ちっちゃくて可愛いぃ~~ 」
「ちびっ子とか言うな、先輩なんだぞ、偉いんだぞ」
小さいと言われて頬をプクッと膨らませるサンレイを見て女子たちが更に騒ぎ出す。
「サンレイちゃん、グミ食べる? 」
「ガルルン先輩、飴あげる」
愛玩動物をかわいがるように触られてもお菓子を貰ったサンレイとガルルンは怒りもしない、そこへ絵里香が教室へと戻ってくる。
「なっ……何してるんですか」
女子に揉みくちゃにされているサンレイとガルルンを見て絵里香が驚いて声を掛けた。
「おっす、来たぞ絵里香ぁ~~ 」
「お昼食べ終わったがお? ガルたちと一緒に屋上で日向ぼっこするがお」
サンレイとガルルンの大声で教室にいた全員が絵里香に注目する。
「えっ? うん、お昼は終わったけど…… 」
戸惑う絵里香にハチマルがニッコリと微笑みかける。
「そうか、なら少し付き合うのじゃ、ゆっくり話でもするのじゃ」
「あっ、ハイ……ここで話すんですか? 」
霊能力を持っていることを知られたくないのだろう、聞き返す絵里香にハチマルが微笑みながら続ける。
「安心せい絵里香、どこか落ち着ける場所で儂らだけで話すとしよう」
「ありがとう、ハチマル先輩」
一緒にトイレに行っていた中学からの友人が絵里香の腕を引っ張る。
「絵里香、ハチマル先輩に私も紹介して」
「えっ? うん、わかった」
友人に睨まれて絵里香が苦笑いしながら続ける。
「中学からの友達の奈美です」
紹介された奈美が姿勢を正して頭を下げる。
「坂下奈美です。絵里香とは中学の時にずっと同じクラスで仲良しです」
「そうか、絵里香の友なら儂とも友達じゃ、よろしく頼むの」
友達と言われて奈美の顔がパーッと明るくなる。
「此方こそよろしくお願いします。ハチマル先輩」
浮かれた奈美が絵里香の背をバンバン叩く、
「それにしてもいつの間にサンレイちゃんとガルちゃんと仲良くなったのよ」
浮かれまくっているのかサンレイはともかくガルルンの事も先輩で無くちゃん付けだ。
「えへへっ、ちょっとね」
言い辛そうな絵里香の代わりにサンレイとガルルンが話を始める。
「絵里香ちゃんの姉さんの怜那先輩には世話になったんだぞ」
「怜那先輩はガルとサンレイに優しくしてくれたがお」
「そだぞ、だから今度は先輩としておらたちが優しくしてやるぞ」
「困ったことがあれば何でも言うがお、絵里香とは友達がお」
ガルルンが差し出した手を絵里香が嬉しそうに握った。
「ありがとう、マジで嬉しいよ、サンレイちゃんとガルルン先輩に優しくされたってお姉ちゃんにも言っとくね」
クラス中が注目している。
サンレイたちと親しげな絵里香に焼き餅を焼いたのか女子の中には睨んでいる者もいた。
「いいなぁ~、サンレイちゃんとガルルン先輩と友達なんて…… 」
「ほんとだよね、ハチマル先輩と仲良くなれたら自慢できるよね」
周りを囲む女子たちの羨む声を聞いて奈美が自慢気に口を開く、
「私はもう友達だからね、名前も覚えてもらったし」
「ちょっ、止めなよ奈美」
始まったばかりの高校生生活だ。クラスの友人関係を考えて余計なことを言わないように止めようと焦る絵里香の腕をガルルンがポンポン叩いた。
「ガルに任せるがお、友達の友達は友達がう、絵里香の友達の奈美はガルとサンレイとハチマルの友達がお、クラスのみんなは絵里香と奈美の友達になるがお、だったらみんなもガルと友達がお、友達だから今から頭を撫でられてもガルは怒らないがお」
「そだな、絵里香ちゃんだけじゃなくて1年3組の女子はみんな友達だぞ」
「そうじゃな、何かあれば何時でも相談に来るとよい、儂らは2年1組じゃ」
幼女のようなサンレイだけでなくハチマルにも友達と認められて囲んでいた女子たちが大喜びだ。
「やったぁ~、サンレイちゃんと友達だ。今朝道で見掛けたけど声掛けられなかったんだよね、明日から気軽に挨拶しよう、もちろんお菓子もあげるね」
「ガルルン先輩って抱き心地も良いですね、何て言うか、子犬抱えてるみたいだ」
サンレイを抱き上げたりガルルンの頭を撫でたり隣のクラスの生徒が何事かと見に来るくらいの大騒ぎで時間が過ぎる。
「私に用があったんじゃ…… 」
今は4月初め、高校に入ったばかりの新入生だ。クラスメイトとも親しくなく絵里香はこれからの友人関係を考えると止めようにも止められない。
「仕方無いのぅ、今日は顔見せだけにしておくかの」
気を利かせてくれたハチマルに絵里香が頭を下げる。
「済みません」
「お主が謝る事ではない、これ程騒ぎになるとは思っておらなんだ」
ほっとする絵里香の耳元にハチマルが口を近付ける。
「明日はお主が儂らの2年1組へ来るのじゃ、昼飯は急いで食う必要は無いぞ、昼休みが半分過ぎたくらいが丁度よいかの」
分かったと言うように頷く絵里香から顔を離してハチマルがサンレイを囲んでいる女子たちに向き直る。
「サンレイ、ガルルン、帰るぞ」
「もう昼休み終わりがお」
女子に左右から抱き付かれ後ろから頭を撫でられながらガルルンがこたえた。
「戻るから離すんだぞ」
抱き上げられていたサンレイが女子の頭をポンポン叩いて頼んだ。
「やだ。もう離れない、サンレイちゃんみたいな年の離れた妹欲しかったんだ」
背の高い女子はサンレイを抱き締めて離さない。
「サンレイちゃんは1年3組のマスコットにしようよ」
「賛成~ 」
誰かが言うと周りの女子たちが無責任に同意する。
「また遊びに来るぞ、友達だからな、1年3組には時々遊びに来るぞ」
「約束だからね、また抱っこさせて貰うからね」
「約束だぞ、ガルルンと一緒に遊びに来るぞ」
背の高い女子がサンレイを離してくれた。
「では、またの」
サンレイとガルルンを連れてハチマルが教室を出て行った。




