第109話
4月になり英二たちは高校2年生に進級した。
サンレイとガルルンの後ろを英二とハチマルが並んで登校している。
始業式は昨日終わっており今日から本格的な授業が始まるのだ。
「もう2年生か早いものじゃの」
感慨深げにハチマルが言うと前を歩いていたサンレイが振り返った。
「早いも何もハチマルは半年ほど寝てたぞ」
「そうがお、学校来てないがう、よく2年生になれたがお」
同じように振り返ったガルルンに同意するようにサンレイが続ける。
「そだぞ、本当ならダブってるぞ、おらたちを先輩って呼ぶことになってんぞ」
「そうがお、出席日数足りてないがお、術を使って2年になったがお」
「ズルしたぞ、おらたちは真面目に授業受けて2年生になったぞ、ズルに術を使うくらいならおらをナイスバディでいられるようにするんだぞ」
どさくさ紛れにねだるサンレイを見て英二が顔の前で手を振った。
「いやいやいやいや、学校に遊びに来てるサンレイとガルちゃんも本当なら進級できないんだからね」
英二の隣でハチマルが胸を張る。
「儂は優秀じゃからの、出席日数が足りんくらい大目に見て貰えるのじゃ」
ハチマルの爆乳がブルンと揺れるのを見て英二がゴクッと唾を飲み込んだ。
「おっぱいか? 2年になれたのもおっぱいの力だぞ」
じとーっと睨むサンレイに気付いて英二が慌てて口を開く、
「違うから……ハチマルの術だろ、サンレイとガルちゃんもハチマルの術で2年になれたんだろ」
「何言ってんだ。おらはハチマルが居なくても実力で2年になってんぞ、なんたって成績優秀だからな」
英二がまた顔の前でブンブンと手を振った。
「いやいやいや、授業中に漫画読んでゲームしてテストは裏に落書き描いて出す人の何が優秀なんだ? 」
自信満々と言った笑みをしてサンレイが即答する。
「体育だぞ、体育の成績が他の授業をカバーするくらいに優れてんだぞ」
「いや……確かに体育はサンレイもガルちゃんも学年どころか学校のトップレベルだけど、うちの学校はそう言う学校じゃないからね」
弱り顔の英二の腕をガルルンが引っ張る。
「がふふん、ガルは体育だけじゃなくて絵も旨いって先生に褒められてるがお、芸術家としての才能を認められて2年になれたがう、ガルはできる女がお」
自慢気に鼻を鳴らすガルルンを見てサンレイがニヘッと悪い笑みをする。
「当り前だぞ、ガルルンは生徒として登録されてないぞ、だから2年生になったんじゃなくて一緒のクラスに付いてきただけだぞ」
「がわわ~~ん、ガルは生徒じゃなかったがお? 」
大きく口を開いて驚くガルルンにサンレイが意地悪顔で続ける。
「そだぞ、ガルルンは授業中に迷い込んできた野良犬でかわいそうだからクラスで飼ってやることにしたっていう設定だぞ、クラスのペットだぞ」
「ガルは……ガルはペット扱いだったがお、生徒じゃなくてペットだったがう…… 」
オロオロ焦り始めたガルルンを見てサンレイがニタリと笑う、
「そだぞ、小学校のクラスで飼うメダカや金魚と一緒だぞ、本当だったら飼育部が飼ってるウサギとアヒルと一緒に檻の中だぞ」
「がわわ~~ん、飼われるのはいいがお、でもカリカリのドッグフードだけの生活は厭がお、チーカマやサラミの食べられる生活がいいがお」
犬みたいに飼われるのはいいのか……、残念な子を見るような英二の前でサンレイが悪い顔で続ける。
「飼育係は委員長と小乃子と晴美ちゃんだぞ、だから毎日傍で世話してくれるんだぞ」
「がわわわぁ~~ん、だから晴美はガルに優しくしてくれるがお、友達じゃなかったがお、ペットだったがお」
泣き出しそうなガルルンにサンレイが駄目押しをする。
「そだぞ、晴美ちゃんはガルルンのことを小汚い野良犬としか思ってないぞ、バカ犬だからかわいそうになって世話してるだけだぞ」
調子に乗りまくるサンレイを英二が怒鳴りつける。
「違うからな! ガルちゃんも生徒だからな、嘘をつくにも程度があるだろ」
英二がサンレイの頬を摘まんで引っ張った。
「でひゅひゅひゅひゅ、止めろよ、ほっぺ伸びるぞ、擽ったいぞ」
クネクネと体を捻って喜ぶサンレイの隣でガルルンが英二を見上げる。
「ほんとがお? サンレイの嘘がお、ガルは生徒がお」
サンレイの頬を引っ張りながら英二が頷いた。
「ガルちゃんは生徒だよ、ちゃんと生徒名簿に載ってるから心配しなくていいよ、ガルちゃんは和泉高校の2年生だよ、委員長も小乃子も篠崎さんだってガルちゃんの友達だよ、篠崎さんなんて人に話し掛けるの苦手だったのにガルちゃんが友達になってくれて前より話し掛けられるようになったって、ガルちゃんと友達になれて良かったって言ってたよ」
「わふふ~~ん、晴美はガルの親友がお、小乃子といいんちゅも友達がお、英二と暮らせるようになって本当に良かったがお」
ガルルンに抱き付かれて英二がサンレイの頬から手を離す。
「おおぅ……ガルちゃん…… 」
意外に大きなおっぱいが当たって思わず声が出た。
犬好きの英二は子犬と女の子が混じったような匂いのガルルンに抱き付かれるのは気持ち良くて好きだ。
「まったく、ガルルンには甘いんだぞ、駄犬はちゃんと躾けないとダメだぞ」
プクッと頬を膨らませるサンレイを見てハチマルが笑い出す。
「ふふふふっ、楽しいのぅ、お主らとまた一緒に暮らせる。それだけで幸せなんじゃな」
「ハチマル……そうだね、俺頑張るよ、ハチマルとサンレイとガルちゃんと、みんなとずっと一緒に暮らせるように頑張るから修業よろしく頼むよ」
嬉しそうに言う英二の隣でハチマルが笑顔でこたえる。
「任せておけ、サンレイとガルルンの御陰で基礎は充分出来ておるからの、儂が教授すれば2ヶ月程で出来るようになる。4ヶ月もすれば自由に使いこなせるようになるじゃろう」
「この技が使えるようになれば秀輝たちに危ない真似させなくて済むからな、止めろと言っても秀輝は俺やサンレイのためなら無茶するからさ、技が使えれば少なくとも石や木刀で殴り掛かるなんて真似させなくて済む、だから頑張るよ」
「そうじゃな、宗哉はともかく秀輝は無茶をしおるからの、無理に止めるより好きにさせた方がよいかも知れんのぅ」
英二は爆発能力以外の修業を始めていた。
呼子との戦いで偶然使うことの出来た物に霊気を送り込み一時的に武器とする技だ。霊力を集中して爆発させるだけの爆発能力と違い霊気を操る技である。
サンレイでも使えない高等術なのだが英二には才能があるらしい、術に長けたハチマルは当然使うことが出来る。そのハチマルから習っているのだ。
ガルルンがニパッと可愛い笑みで口を開く、
「ガルも手伝うがお、練習相手になってやるがお」
「ありがとうガルちゃん、俺頑張るよ」
「ガルルンから1本取れるようになれば一先ず免許皆伝じゃな」
ハチマルの隣で英二が頭を掻く、
「ガルちゃんから1本取るのは大変だな、ガルちゃん素早いからなぁ」
「がふふん、ガルはできる女がお、訓練は手加減しないがう、英二のためがお」
得意気に鼻を鳴らすガルルンを見てハチマルと英二が楽しそうに笑った。
話しを聞いていたサンレイがプクッと頬を膨らませる。
「難しい術を使うなんて英二の癖に生意気だぞ、英二は爆弾魔で充分だぞ、爆発能力を高めてビルくらい吹っ飛ばせるくらいの立派な爆弾魔になるといいぞ」
弱り顔の英二がサンレイを叱る。
「人を犯罪者みたいに言うな、サンレイは本当に負けず嫌いだよね」
「英二が強くなったらガルやサンレイが助けなくても戦えるようになるがお、サンレイは英二に頼りにされなくなるのが厭がお」
何気なく言ったガルルンをサンレイが怒鳴りつける。
「何言ってんだ! 英二なんていくら強くなってもダメダメだぞ、基本的にヘタレだぞ、少しくらい鍛えても結局ヘタレだぞ」
言い過ぎたと思ったのかサンレイがハッとして英二を見つめる。
「サンレイ! 」
英二がサンレイを抱き上げた。
「なっ、何すんだ」
ヘタレと言って怒られると思っていたサンレイが戸惑って焦っている。
「頼りにしてるから、サンレイの事は誰よりも頼りにしてるから、いくら強くなっても所詮人間だよ、大妖怪のガルちゃんや神様のサンレイに敵うわけ無いじゃないか、でもさ、自分の身くらいは守れる力は欲しいんだ。だからハチマルに稽古を付けて貰うんだ。それでもサンレイには迷惑掛けると思う、だからサンレイやガルちゃんやハチマルにはこれからも頼りにしてるよ」
「にゅへへへへっ、仕方ないなぁ~~、英二は本当に仕方ないなぁ~~ 」
抱き付きながら英二の後頭部をグシャグシャ掻いてサンレイが嬉しそうに続ける。
「まったく、仕方ないなぁ~~、英二はおらが居ないとダメだからな」
「うん、サンレイが居ないとダメだ。だからずっと一緒にいてくれ、ガルちゃんもハチマルもずっと一緒にいてくれ」
ガルルンが英二の背をポンポンと叩いた。
「ガルは身も心も英二のものがお、だからずっと一緒がう、ガルの心を射止めたのはカブト虫とチーカマと英二くらいがお」
抱き付きながらサンレイがガルルンに対抗する。
「おらの心も英二のものだぞ、おらの心を射止めたのはアイスと英二くらいだぞ」
「カブト虫やアイスと同じ扱いかよ」
英二が笑いながら抱き上げていたサンレイを下ろす。
隣りにいたハチマルが英二の頬に右手を当てる。
「英二は良い霊気を持っておるからの、ずっとかどうかは保証出来んが居れる間は一緒に居てやろう、儂とサンレイは英二の守り神じゃからな」
「ハチマル…… 」
手の温もりを感じて英二の顔が赤く染まっていく、
「そだぞ、守り神だからな、英二の子を早く産みたいぞ」
サンレイが反対側から英二の腕に抱き付いた。
今度はガルルンがサンレイに対抗する。
「ガルは……ガルは守り神じゃないけど英二とはずっと一緒がお、身も心も英二に捧げるがお、ガルも英二の子を産むがお」
「嬉しいけど子を産むとかはまだまだ先だからな」
可愛い2人に抱き付かれて英二が幸せそうに顔を緩めた。
サンレイが何かを思い付いたように口元をニヤッと歪める。
「英二の全てはおらのものだぞ、そんでガルルンは英二のものだぞ、ということはガルルンもおらの物って訳だぞ、お前の物は俺の物、俺の物は俺の物だぞ、だからガルルンはおらの奴隷だぞ」
ガルルンがハッとした顔で英二を見つめる。
「マジがお! 英二がサンレイのものになればガルもサンレイのものになってしまうがお、こうなったら英二がサンレイのものになる前にガルのものにするしか…… 」
「ジャイアンか!! なりませんから、俺は俺のもので誰のものでもないからな、サンレイとガルちゃんも自分たちのもので他の誰のものでもないからね」
弱り顔で叱る英二をハチマルが正面から抱き締めた。
「そうじゃぞ、英二は儂のものじゃからな」
「うおぉ…… 」
ハチマルのおっぱいに英二の顔が埋まる。
柔らかで温かくて良い匂いがして何も考えられないくらいに気持ちがいい。
「ほれ、英二も何も言わんじゃろ? 無言の承諾じゃ、英二の身も心も全て儂のものじゃぞ、じゃからサンレイもガルルンも儂のものという事じゃ」
抱き付いていたサンレイが英二から離れる。
「 ……おっぱいの力だぞ、デカ乳で英二を虜にしたんだぞ」
わなわなと声を震わせるサンレイの反対側でガルルンが顔を顰める。
「おっぱいで餌付けされたがお、ハチマルのおっぱいに勝てるのは本物の牛くらいがお」
「英二はおっぱい星人だからな、おっぱいがあれば悪魔にでも心を売るぞ」
英二が何も言い返さないのを見てサンレイとガルルンが無茶苦茶言い始める。
「そうがお、ハマグリ女房も爆乳だったら英二は向こうへ行ってたがお」
「そだぞ、委員長と小乃子と晴美ちゃんとガルルンを合わせたおっぱいの方が良かったからハマグリ女の所へは行かなかったんだぞ」
「英二の中では全ての基準がおっぱいがお」
「そだぞ、おっぱいさえ手に入ったら地球が滅びてもいいんだぞ」
「なんて恐ろしいがお……英二は鬼畜がお、おっぱいの鬼がお」
ハチマルの爆乳から英二がバッと頭を離す。
「無茶苦茶言うな! 確かにおっぱい星人だけど餌付けとかされてないからな」
「なんじゃ? 儂の乳では不服なのじゃな」
意地悪顔で言うハチマルの向かいで英二がしどろもどろになる。
「ちが……違うから……ハチマルは好きだけど……そんなんじゃないから……おっぱいは確かに好きだけど…………サンレイも好きだし、ガルちゃんも好きだから……ハチマルなら……サンレイも……いや、俺は、その……やっぱり、御免なさい、俺が悪かった。謝るから許してくれ」
言い訳が思い付かずに結局頭を下げた。
「ふふふっ、英二をからかうのは楽しいのぅ」
「がふふふ、英二は怒って怒鳴ったりしないから好きがお」
「にゅひひひっ、今日も悪戯成功だぞ」
3人の笑い声を聞いて英二が頭を上げる。
「勘弁してくれぇ~~ 」
嘆く英二の手を引いてサンレイとガルルンが歩き出す。
和泉高校の前の道で女子たちに囲まれた。
「うわぁ~~、マジでちびっ子だ」
「ちっちゃいぃ~~、可愛いぃ~~、サンレイちゃんとガルちゃんって言うんだよね」
「先輩って言わないと怒られるよ」
「マジだ。ちびっ子先輩だ」
「サンレイちゃんも可愛いけどガルルン先輩も可愛いよね」
「うん、何か犬っぽいよねガルちゃん」
真新しい制服を着た新入生たちだ。
幼女のようなサンレイと犬のような愛らしさのあるガルルンは学校のマスコットとして新入生たちの間では入学する前から有名である。
プクッと頬を膨らませたサンレイが新入生たちを見回す。
「おらちびっ子じゃないぞ、先輩だぞ」
「怒ったぁ~~、可愛いぃ~~ 」
新入生たちが沸く、幼女が拗ねたような怒り顔は逆効果だ。
隣でガルルンが八重歯のような牙を剥く、
「ガルは犬じゃないがお、ガル先輩って呼ぶがお」
「ガル先輩って本当に犬みたいだね、可愛いぃ~~ 」
一応先輩と付けているがその目付きは尊敬ではなく愛玩動物を見る眼差しだ。
「そだぞ、サンレイ先輩って呼ぶんだぞ」
膨れっ面のサンレイに一人の女子が手を差し出す。
「サンレイちゃん、お菓子あげるよ」
「おおぅ、柿ピーだぞ、サンキューな」
嬉しそうに受け取るサンレイを見て他の女子も鞄からお菓子を取り出す。
「私はガルちゃんにお菓子持ってきたよ」
「私も持ってきたぁ~、今日はチョコだよ、2年に私のお兄ちゃんがいてお菓子あげるといいって言ってたからね」
「知ってる知ってる。サンレイちゃんはアイスが好きでガルちゃんはチーカマが好きなんだよね、それでアイスは溶けちゃうから無理だけど今日はチーカマを持ってきました」
向かいにいた女子がチーカマをガルルンに差し出した。
「わふふ~~ん、チーカマがお、お前はガルちゃんって呼んでも構わないがお」
嬉しそうに受け取るガルルンを見て他の女子たちが一斉に口を開く、
「じゃあ私も明日チーカマ持ってくるね」
「私も持ってくるからガルちゃんって呼んでもいいよね? 」
幸せそうな笑みをしてガルルンが口を開く、
「チーカマいっぱい食べれるがお、みんなガルちゃんって呼んでいいがお、もう友達がお」
隣りにいたサンレイが近くの1年生に抱き付く、
「おらも、おらもサンレイちゃんって呼んでいいぞ、その代わりチョコとかドーナツとかグミとか甘いのが欲しいぞ」
「あぁ~~ん、可愛いぃ~~、じゃあ明日持ってくるね」
「私も持ってくるからね、サンレイちゃん」
「いやぁ~ん、サンレイちゃん可愛い、このまま家まで持って帰りたいよ」
女子たちにちやほやされてサンレイがニヘッと悪い笑みをするのを見て英二がそっと離れていく、
「まったく、ガルちゃんはともかくサンレイは計算尽くだ。本当にゲスいよな」
女子たちから抜け出て愚痴の一つでも言おうとハチマルを探すがいない、
「あれ? ハチマルは…… 」
英二の目に新入生たちに近付くハチマルが映った。
「チョコやドーナツもいいが儂は饅頭とか最中とか餡系が好きじゃのぅ」
「はっ、ハチマル先輩だ」
一人の女子が言うとサンレイとガルルンを囲む女子全員が振り向いた。
「ハチマル先輩、おはようございます」
「おはようございます。先輩」
サンレイやガルルンに対する態度から一変して女子たちが頭を下げた。
「よいよい、そんなに畏まって頭を下げんでもよい、今日から同じ学校で学ぶ仲間じゃ、困ったことがあれば何でも相談に来るといい、儂はこう見えても顔が利くからの、可愛い後輩のためなら何でもしてやるぞ」
偉そうに胸を張るハチマルを新入生たちがガン見だ。
「格好良い……美人でスタイル良くて完璧だよね」
「胸が凄いよね、あれでスポーツ抜群なんだよね」
「頭も良いんだよ、テストじゃクラストップグループらしいよ」
「文武両道だね、あんなお姉さんがいたらいいなぁ」
「そこらの男なんかより全然いいよね」
「うん、お姉様って感じだよね」
サンレイやガルルンに向ける目と違って憧れや尊敬の眼差しだ。
女子の一人が振り返る。
「サンレイちゃんのお姉さんなんだよね、美人姉妹だよね」
「そだぞ、ハチマルは姉さんだぞ、おらと同じでアイスが好きだぞ、辛いお菓子も好きだけど甘いのは饅頭とか最中とか羊羹とか餡子が好きだぞ」
ハチマルが褒められるのは嬉しいのかサンレイが自分の事のように胸を張って言った。
そこへ3年生たちがやって来る。
「1年どもどけ、次は私たちの番だ」
新入生がサッと割れる中を3年の女子たちが入ってくる。
「ハチマルちゃん、貰い物ですけど最中です。私は餡子は苦手なので全部あげます」
一人が箱ごと最中を差し出す。
それを合図に3年の女子たちがプレゼント責めだ。
「サンレイちゃん、新製品のグミ買ってきたよ」
「ガルちゃん、今日はサラミ持ってきたよ」
「ハチマルちゃん、饅頭食べて」
サンレイとガルルンとハチマルの鞄があっと言う間に膨れていく、お菓子をくれる女子は毎日代わるが1日辺り20人ほどいるので毎日のおやつには困らない、同じ学年の2年生は休み時間に教室へ持ってきてくれるのが恒例となっていた。
「先輩何時も済みません」
3年の先輩に英二がペコペコ頭を下げる。
ハチマルとガルルンはともかくサンレイが失礼な事をしないか毎日ハラハラものである。
3年生や新入生の女子たちに囲まれながらサンレイとガルルンとハチマルが校内へと入っていく、それを英二が疲れた様子で追って行った。




