親友さんにごあいさつ
会長視点。
放課後、僕は2組に向かった。ホームルーム終了直後だから、たぶんまだいるはず。
「渡辺さんですか? さっきまで席で延びてましたけど……」
2組の生徒に訊ねると、そういう返事が返ってきた。
教室をのぞきこんでも、確かに彼女らしい姿はない。かわりに彼女の親友である槙原さんが近づいてきた。
「リコちゃんにごようですか?」
「ああ。さっき彼女とぶつかってね、その時に落としたものを届けに来たんだよ」
そういって右手に持ったシャーペンの芯を見せる。彼女が逃げたあと落ちてたから、間違いないだろうし。
「それならわたしが渡しておきますよ?」
「いや、直接渡すよ。話したいこともあるから」
「どのようなお話ですか?」
これは、警戒されてるというか、計られてるというか。
まあ、親友なら知ってるだろうし、はっきり言ってしまおうかな。味方にできればなお良し。
僕は回りに聴こえないように声を潜める。
「(偶然眼鏡の下を見て、一目惚れした)」
「⁉」
さすがに驚いてるね。さて、どうでるかな?
「……あとでゆっくりとリコちゃんと話をしてからですね。
とりあえず、シャーペンの芯はあずかっておきますね」
まあ、日用品はないとこまるかな。
「はい。それじゃ渡辺さんによろしく」
「ええ、一応はつたえておきますね……」
今はここまでかな。まあちょっと時間をおいて、本格的に情報を集めようかな。
僕はちょっと上機嫌になって、生徒会室に仕事に向かった。
情報は大事です。
まずは外堀を知るとこから、ですね。
徐々に追い詰めるつもりのようです。