表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

あいつは何かと苦労している。

とまぁそんなこんなであいつの話は終わり。

これ以上あいつの噂をすると


「おっはよー!!おっ、今日も朝から御苦労だねぇマッシュボーイ!!」


いつものパターン…。

前にも言ったと思うけれど、あいつ朝6時から活動を開始する。

朝一番にやるのはこの挨拶。本殿の扉を思いきりあけて身を乗り出して叫んでくるから、とてもびっくりするし、ただでさえ壊れそうな扉がさらに悪化しそうである…。そもそも本殿で寝るってどういう神経してんだ…。


「あのさ…、マッシュボーイって何…?」

「イカしたネーミングじゃないか?お前の特徴をとらえたいいあだ名だよ!」

「大したあだ名じゃないだろ…もっとましなのなかったのか?」

「えー、だって俺、お前の名前しらねぇし…。」


あ、そだった。また忘れるところだった。


「聞きたかったらまずお前から言えよなー。」

「なんだよその喧嘩っぽいパターン…えっと、俺は九助、町田九助。」

「ふーん…。僕は高橋一郎。」

「ほぅほぅ、イッチー…うーん…よろしくな一郎!」


あ、あだ名諦めた。

まぁ昔からあだ名なんて、そうそうつけられなかったしな。


「というかまずそこから降りろよ…。」

「ん?」

「お前ここどこかわかってんだろうな…。」

「神社。本殿。」

「そうだ。」

「よしっ。」

「よしっじゃねーよっ!!」


僕は九助を本殿から引きずりおろした。


「おっとあぶね―なぁ…」

「あぶね―じゃねーだろこのチンピラヤローが!!」

「チンピラってひどい…」

「え、あ、えとごめん。」

「俺様の華麗な受け身で、けがはなかったから許そう!」

「え、あ、確かにきれいな受け身だったな。柔道でもやってた?」

「いや、体がなぜか覚えてた。」

「は?」


なんかの時代劇でよく見るような受け身だったなぁ…。

それを習ってもいないのに、体が覚えてたってどういうことだよ。


「んーとね、俺いちお東京から出てきた人間なのね。」

「どうしていきなりそんな話をしだしたんだよ…。」

「いや、ここから説明しねぇと理解しがたいと思ってよ。」

「はぁ…。」


とりあえずかなり複雑らしいな。長話は嫌いなんだが。


「で、ここに来た理由ってのが、記憶探しって言うのかね。」

「なんだそれ…?」

「なんかねー…ここの神社も昔来たとかじゃないんだけれども、いろいろ覚えてってさぁ…。見知らぬ記憶?っていうの?」

「夢でも見ていたんじゃないか?」

「だとしても、ここの情景が俺の頭にそのままインプットされてるんだぜ!?俺も驚きだよ!!」

「ふーん…。とりあえず、その見知らぬ記憶のせいで、さっきの自称:華麗な受け身 ができたわけか。」

「自称って…ま、そういうことだな。」


んー…話をまとめると

その1、あいつがなんかおしゃれなのは都会ものだったから

その2、よくわからないがあいつは見知らぬ記憶を持っている

その3、あいつがここに来た理由は記憶探しのため。

その4、あいつがここに住みついている理由は――――――


あ、そうだ。なんでここに住みついてんだよ。


「九助、お前なんでここに住み着いてんだよ。家とかあんだろ?」

「え、ないよ?」

「は?」

「だから、な・い・yグフッ」


一発腹に蹴りを入れておいた。

痛みにもがいて九助は下にうずくまった。


「家がないからここに住み着いてんのか…?」

「ゲホッ…まぁそんなに怒るなって…俺だって気付いたらここにいたわけなんだよ…。つまり記憶に流されるがままに来ちまったわけみたいでな…。」

「もといた家は…?」

「ダチとシェアしてたというかほぼ居候で。」

「ハァ…」


なんなんだよ…。こういう大人にならないように気をつけよう…。


「でもわかってるぜ…?ずっとここにはいられねぇのも……。」


そりゃわかってねぇと…なんか、え、すごいさびしい顔してやがる。

なんか…えっ…ごめん…。急にかわいそうになってきた…。


「……あのさ、ここに知り合いとかいないのか?」 

「いない。」

「うーん…。あ、今まで飯とかどうしてたんだよ。」

「ここらへん木ばっかりだろ?それなりに実っているもん食ってた。」

「お前よく死ななかったな…!そんなんじゃ腹減るだろ!」

「へへっ、ここの神様に世話になってんだ。このくらいは…。」


うわぁ…苦労人臭が…。過酷すぎんだろおい…おいおいおいおい!!


「ん~あーもう!仕方ねぇ奴だな!俺の家にこい!もう!」

「!?」

「これ以上イライラさせんな!難しい話とかメソメソするもん嫌いなんだよ!というかこれ以上命にかかわることすんな馬鹿野郎!!」

「一郎………。」


九助は放心状態でこちらを見上げていた。


「とりあえず俺の家に来ること!そのかわりどっかで働け!ここじゃ小遣い程度しか金はいらないから、家の近くにコンビニとか商店街とかあるし、ここで働くにしても、もう1つ金たまるとこで働くこと!いいな!?」

「……………あ、ありがとう…!一郎ぉぉぉぉぉ!!!!」


痛い痛い痛い痛い痛い!!!九助が感動のあまりかだきついてきた。

なんだかんだで、とりあえず神社に住むこともなくなったし、これにて一件落着っと。




あ、勢いにかまけすぎた。


落ち着くわけねーだろ。問題児家に連れ込んじゃったよ。

これからどうしよう………。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ