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道筋・0
残酷な描写があります。一応読み飛ばしても大丈夫なようにしてます。苦手な方はご注意を。
「ごほっ……がはっ!」
ぼたぼたと口から吐き出されたモノが、絨毯をどす黒く染め上げる。
まるで、体中を炎が暴れ回ってるようだ。内臓を焼き尽くすかのように、炎は容赦というものを知らない。
「ひっ、」
幼い悲鳴と、バタバタと遠ざかっていく足音を聞く。
杯を運んだのは、確か彼だった。では杯の毒も、彼が入れたのだろうか。
(どうでも、いいか……)
彼が自分達を殺そうとしたのか、それとも別の人間だったのかなどどうでもいい。誰であれ、自分達を殺してくれたことに感謝するのは変わらないのだから。
(やっと、だ)
長かった。ずっと、この日を待ち望んでいた。
――これで、ようやく貴女の下へと行ける。
血まみれの口元を、無理やり笑みの形に歪ませて、片割れの姿を探す。すると片割れも、床に転がりながらもこちらを見ていた。
「いっしょ、に」
がらがらとした声でそう言ったのは、どちらだったのか――分からない。
だがそれも、どうでもいいことだ。
だって僕らは、一つになるのだから。