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はじまりは、純粋なものだった。



時の勇者と当時のハイグレード国の姫が恋に落ちた。


ただ、それだけのこと。


彼の勇者はその役目を果たし、その後も騎士団長となり国を護った英雄として語り継がれている。

彼らは、死に引き裂かれるその時まで仲睦まじい夫婦となった。


いつからだろう。我が子らがあのように歪なことをしはじめたのは。

今まではそれでもよかった。わたしの選んだ彼らは、皆純粋な強き心を持っていたから、利用しようと近付いた我が子らも、いつしか彼らを本当に好きになっていた。

だから見てみぬふりをしていた。


だが――――


「……くっ、…っふ……」


うずくまり、肩を震わせて泣く彼女。


嗚呼、夢の中でまで泣くのか。


わたしはゆっくりと彼女に近付く。その頭を撫でてあげたかった。肩を抱いて、慰めてやりたかった。

だが、彼女はそんなことを望んではいないだろう。欲しいのは――


「……約定を」


彼女の肩が、びくりと揺れる。そろりと上がった視線は、怯えに満ちていた。

そう、彼女に必要なのは慰めなどではない。



「魔竜を倒せば、貴女を元の世界に還してあげられます」

「……本当?」

「はい」


この姿では、頷いて見せても彼女には伝わらないだろうと声に出す。


ああ、彼女の瞳から流れる涙の、なんと美しいこと。


何故、我が子らはこんなことにすら気付かないのか。いや、きっといつかは気付くのだろう。そして嘆くのだ。気付けなかった自分を。


――悔やむがいい。


どろりと、黒いものが溢れ出し、空間がそれに呼応するかのように闇を濃くする。


嘆き、悔やみ、我が身を呪えばいい。


わたしが選んだ彼女を傷つけた罪、その身をもって知れ。







神が慈悲深い生き物だなどと、一体誰が決めた?

神までヤンデレ化。

初登場の時と全然性格違う感じですが内心はこんな感じ。あれは勇者向けの顔。

神からしてみればあれだけ落ち込んでいた勇者が元気に怒ったり噛みついたりしてくるのが嬉しくて仕方ないのです。

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