第15話 白の巡り・雪祭り〈後編〉
街のあちこちから、子供たちや旅人たちの賑やかな声が響く。
ミーナと陽菜乃のチーム、シルクとライムのチームも負けじと宝探しに駆け回った。
かまくらの中、雪の彫刻の間、氷の橋の下……。
あちこちを探し回るたび、見つけた箱の中身はもう空っぽ。
「あー、見つからない〜。もうだめ〜」
ミーナが疲れたようにしゃがみ込んだその時――。
「見つけたーーっ!」
遠くでライムたちの歓声が上がる。
「えっ、ライムたち見つけたの!? すごーい。あとで中身見せてもらおっと」
敵チームながら嬉しそうに笑うミーナ。
先程以上に張り切って辺りを探して廻っている。そんな様子に思わず頬をゆるめた陽菜乃が、ふと近くの木陰に小さな箱を見つける。
「あれ……これって」
両手に収まるほどの小箱。そっと開けてみると――
「うわぁ、きれい……」
中には、ガラス細工の小さなランタンが入っていた。
雪の光を受けて、透きとおる灯がきらりと反射する。
「あっ、陽菜ちゃんも見つけたんだねっ!」
気付いたミーナが駆け寄ってくる。彼女の手にも、一つの箱がしっかりと握られていた。
その後も二人は探し続けたが、新たに見つかったのは、陽菜乃が見つけた封筒一つだけだった。
リンゴーン……
終わりの鐘が街中に響き渡る。
「あー、終わっちゃったねぇ」
広場に戻ると、参加者たちが次々と帰ってくる。
みんな、宝物を抱えて満足そうな笑顔だ。
「今回は引き分けだな!」
ライムは満足げに言い、互いの宝物を見せ合う。
「おや、それは“祈りの灯”だね」
陽菜乃が見つけたランタンを見たレオンが、穏やかに声をかけてきた。
「その灯には、願いごとをひとつだけ閉じ込めておけるんだよ」
「そうなんですね……じゃあ、みんなの幸せを」
陽菜乃はそう言って、胸の前でそっとランタンを抱きしめた。
――日が沈みはじめた頃。
雪の街に、オレンジ色の灯りがぽつり、ぽつりとともり始める。
ステージの上で司会者が合図を送ると、会場中のキャンドルにも次々と火が灯った。
やがて灯りはひとつの波のように広がり、雪の地面をオレンジと金の光で染め上げる。
「うわぁ……すごくきれい」
陽菜乃が息を呑む。
その光は、寒い夜でも人と人とをやさしく繋いでいるようだった。
「寒いけど……とってもあったかいね」
「うん。本当だね」
祭りが終わりに近づき、人々はそれぞれの帰路につく。
ミーナと陽菜乃も並んで「ポプリ」へ向かう。
ひんやりとした風が頬をなで、ふわりと雪が舞い上がった。
「なんだか、あっという間だったね。次はどんな景色が見られるのかな」
「次は“芽吹きの巡り”だよ。花がいっぱい咲いて、あったかい風が吹くの」
「そっかぁ……それまでにこれ、使わなきゃ」
ふふっと笑う陽菜乃の手には、宝探しで見つけた封筒。
「それ、うちのコーヒー無料券だねっ!」
ミーナは「待ってるね!」と笑いながら、陽菜乃の手を取る。
雪の道には、二人の足跡が並んで続いていった。




