表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ポプリの街角  作者: かすみ草と金木犀
16/19

第15話 白の巡り・雪祭り〈後編〉

街のあちこちから、子供たちや旅人たちの賑やかな声が響く。

ミーナと陽菜乃のチーム、シルクとライムのチームも負けじと宝探しに駆け回った。


かまくらの中、雪の彫刻の間、氷の橋の下……。

あちこちを探し回るたび、見つけた箱の中身はもう空っぽ。


「あー、見つからない〜。もうだめ〜」


ミーナが疲れたようにしゃがみ込んだその時――。


「見つけたーーっ!」


遠くでライムたちの歓声が上がる。


「えっ、ライムたち見つけたの!? すごーい。あとで中身見せてもらおっと」


敵チームながら嬉しそうに笑うミーナ。

先程以上に張り切って辺りを探して廻っている。そんな様子に思わず頬をゆるめた陽菜乃が、ふと近くの木陰に小さな箱を見つける。


「あれ……これって」


両手に収まるほどの小箱。そっと開けてみると――


「うわぁ、きれい……」


中には、ガラス細工の小さなランタンが入っていた。

雪の光を受けて、透きとおる灯がきらりと反射する。


「あっ、陽菜ちゃんも見つけたんだねっ!」


気付いたミーナが駆け寄ってくる。彼女の手にも、一つの箱がしっかりと握られていた。

その後も二人は探し続けたが、新たに見つかったのは、陽菜乃が見つけた封筒一つだけだった。


リンゴーン……

終わりの鐘が街中に響き渡る。


「あー、終わっちゃったねぇ」


広場に戻ると、参加者たちが次々と帰ってくる。

みんな、宝物を抱えて満足そうな笑顔だ。


「今回は引き分けだな!」


ライムは満足げに言い、互いの宝物を見せ合う。


「おや、それは“祈りの灯(いのりのともしび)”だね」


陽菜乃が見つけたランタンを見たレオンが、穏やかに声をかけてきた。


「その灯には、願いごとをひとつだけ閉じ込めておけるんだよ」


「そうなんですね……じゃあ、みんなの幸せを」


陽菜乃はそう言って、胸の前でそっとランタンを抱きしめた。


――日が沈みはじめた頃。

雪の街に、オレンジ色の灯りがぽつり、ぽつりとともり始める。

ステージの上で司会者が合図を送ると、会場中のキャンドルにも次々と火が灯った。

やがて灯りはひとつの波のように広がり、雪の地面をオレンジと金の光で染め上げる。


「うわぁ……すごくきれい」


陽菜乃が息を呑む。

その光は、寒い夜でも人と人とをやさしく繋いでいるようだった。


「寒いけど……とってもあったかいね」


「うん。本当だね」


祭りが終わりに近づき、人々はそれぞれの帰路につく。

ミーナと陽菜乃も並んで「ポプリ」へ向かう。

ひんやりとした風が頬をなで、ふわりと雪が舞い上がった。


「なんだか、あっという間だったね。次はどんな景色が見られるのかな」


「次は“芽吹きの巡り”だよ。花がいっぱい咲いて、あったかい風が吹くの」


「そっかぁ……それまでにこれ、使わなきゃ」


ふふっと笑う陽菜乃の手には、宝探しで見つけた封筒。


「それ、うちのコーヒー無料券だねっ!」


ミーナは「待ってるね!」と笑いながら、陽菜乃の手を取る。

雪の道には、二人の足跡が並んで続いていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ