第11話 秋色のピクニック
山々の葉が赤や黄色に色付き始め、すっかり秋めいてきた頃。
ふとマリーが呟いた。
「すっかり涼しくなってきて、ピクニック日和ね」
「え!ピクニック?!行きたーい!」
その一言をきっかけに、次の休みの日は陽菜乃や双子のシルクとライムも誘って、秋のピクニックへ出かけることになった。
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当日の朝。
「早く行こうよー!」とはしゃぐ子どもたちを横目に、マリーと陽菜乃はお弁当作りに大忙し。
「よし!しゅっぱーつ!」
ミーナの元気な掛け声に、一行は意気揚々と目的地の公園へ向かった。
「恥ずかしいから、大声出すなよ…」
そう言いつつ、どこか嬉しそうに口元が緩むライム。
その隣で、何やら企んでいるようにニコニコしているシルク。
「二人とも、楽しそうだね」
「ミーナの母ちゃんは分かるけど、なんで陽菜乃まで一緒なんだよ」
「ライム!陽菜乃さんはミーナのお友達なんだから、そんなこと言わないで」
「そういうことだから、今日一日よろしくね、ライムくん」
「ふ、ふん。なら仕方ねえな」
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やがて公園に着くと、目の前には色鮮やかな景色が広がっていた。
「わぁー!葉っぱがいろんな色だぁ!」
「ミーナ、こっちには可愛い木の実もあるよ!」
はしゃぎながら駆け回る子どもたちを、マリーと陽菜乃は微笑ましく見守る。
「あんまり遠くに行っちゃだめよー」
「はーい!」
シートを広げ、大人たちはひと息つく。
「外で飲むコーヒーもまた格別ですね」
「えぇ、本当に。陽菜乃ちゃんもすっかりこの街に馴染んだわね」
そう話していると、両手いっぱいに葉っぱや木の実を抱えたミーナが駆け戻ってきた。
「陽菜乃さん!これプレゼント!好きなのを選んで!」
色とりどの葉っぱや木の実を見せるミーナ。
その中でも目を引いた物を受け取る。
「じゃあ、この赤い木の実をもらおうかな」
「えへへー、やっぱりそれを選ぶと思った!ミーナもお揃いにするね!」
ひとしきり遊んでから、今度はかくれんぼをすることに。
ジャンケンの結果、鬼になったのはライムだった。
「じゃあ、数えるぞー! いーち、にーい、さーん……10!」
ライムが数を数えている間に、シルクはミーナの手を引き、こっそり自分の隠れ場所へと誘導する。
「ここなら絶対見つからないよ」
「ほんと?ドキドキするね!」
やがて──
「みーつけた!……って、おい!なんで二人一緒にいるんだよ!」
シルクとミーナを見つけたライムは、悔しそうに眉をひそめる。
二人は顔を見合わせてクスクス笑った。
「シルク、最初からグルだったな?!卑怯だぞ!」
「え~、そんなことないよ~?」
むくれるライムを見て、みんなは大笑い。公園は子供たちの笑い声でいっぱいになった。
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その後はみんなでお弁当を食べたり、ポプリ特製おやつを食べたり、また葉っぱを集めたり。
笑い声に包まれた時間はあっという間に過ぎていく。
夕暮れ。紅葉は黄金色に輝き、景色全体が優しい光に包まれていた。
「今日も楽しかったね」
「うん!」と子どもたちが声を揃える。
そんな光景を眺めながら、陽菜乃はふと呟いた。
「私の住む日本には、紅葉狩りっていう風習があるんです。こうやってみんなでワイワイ楽しむ紅葉狩りも、本当にいいですね」
異世界に来ても、こうして四季を感じられる。
その幸せを胸いっぱいに味わうひとときだった。




