第2話 佐藤天音のルーティンワーク
ピンポーン。
ピンポーン、ピンポーン、ピポピポピポ―――—
「っっっ! そんな連打しなくても!」
胸中の言葉が思わず、口に漏れてしまう湊。
ベッドから起き上がり、インターホンを鳴らした張本人を見る。
「やっぱお前か、天音か」
「やっぱって何よ。いいからほら、開けなさいよ」
「はあ」と、湊は鍵を開ける。
「ちょっと、今日は一限から授業があるから早く起きたんだけど、家にいたら寝ちゃいそうだから、少し寄らせてもらったわ」
確かに、彼女の格好は既に大学仕様に出来上がっている。
「ん、ああ」
物は多く、間取りは1LDKと少し手狭な感じは否めないが、それでも一人暮らしには丁度良く、よく天音や猫子、優作が集まったりする。
大学や出版社の近くだからと言うこともあり、湊の家は格好の溜まり場になっていた。
「で、いつ始まるんだっけ?」
「九時くらいからね」
湊の家から大学までの距離はそう遠くない。
徒歩で十分ほどだから、一時間半はいれるのか。
「ああ、そうだったな。それならまだ結構いれるな。ってもやること無いしなあ」
「それなら……」
と、天音は手に持つ鞄から何かを取り出し始める。
「レポートの文章を見て欲しいの」
彼女が取り出したのは、一台のノートパソコンだ。
「ん、それくらいなら」
湊は普段から様々な文章や物語を読んでいる。
それはライトノベルというジャンルに限らない。
時には教科書であったり、図鑑であったり……また時には、彼女のレポートだったりする。
一通り読み終え、改稿し、これなら大丈夫だろうという所で時間がきた。
「あ、時間ね。ありがとね湊。それじゃ」
「ああ、それじゃ」
二人の関係はいつも、こんなものだった。
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