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放課後に現れる謎の美少女の正体が、隣の地味な少女だった

作者: 穏水

 少し気温が高くなってきたこの季節、俺は教室の窓を全開にし席を立った。


 時は昼休み。積極的に窓を開けようとしない人はどうなのだろうかと、変なことを考えながら窓を開ける。爽やかで、気持ちの良い風が俺を吹き付ける。これで弁当も食べやすくなるだろう。

 俺はそのまま自分の席に向かおうと思ったのだが、足を止めた。なぜなら、すぐ隣で何やら女子達が言い合いをしていたので、別に口をはさみたいわけではないが、見過ごすわけにもいかないと思ったからだ。


涼楓(りょうか)、また今日も一人なの? ぼっちは辛いねえ。あはは、学校にくる意味ないんじゃない?」

「そうだよお、私達みたいに彼氏も出来ないみたいだしね。生きててつらそー」

「いっそ今から早退して家で昼食食べた方がいいっしょ」


 見ている感じからして、言い合いというよりかは、圧倒的な虐めだろう。

 対象となっているのは、夜祢(よね)涼楓(りょうか)。俺から見ても、結構地味で暗そうな子だ。前髪が目にかかるくらいには長い髪。そしてその裏から見える眼鏡や、肌を隠すようにきっちりとした制服の着こなし。

 対して、虐める本人たちはクラスでもひときわ目立っている陽キャ女子集団だ。彼女たちとは普通に話したら面白いのだが、なぜこうも人をけなしたくなるのだろう。


「わ、わたしは……別に良いんです。一人で行動するのが、好きなので……」

「ほら出た。典型的な陰キャセリフ」

「あれでしょ? 友達いないから、一人でしか行動できないんでしょ」

「い、いえ……そういうわけでは……」

「なんだか惨めだねー」


 涼楓の言葉に悪く返す女子達。俺はそろそろ黙っていられなくなった。涼楓を取り囲む女子達に割って入って、口をはさむ。


「おまえらそろそろやめとけ。先生にチクられたら面倒だろう。俺も静かなとこで食べたいんだ」


 急に割って入った俺に奇怪な視線を送る女子達。嫌そうな顔をする皆だが、俺は特に気にせず言い放った。


改斗(かいと)じゃんー。なに? あんたもこの子の味方するわけ?」

「いや普通に弁当食べてる時に横で喧嘩されてたらだるいだろ?」

「別に喧嘩してないし。ただ一人でいたから、喋ってあげてただけだよ。なに? もしかして勘違いしてた?」


 こいつの返し怠いな。しょうがない、俺流とっておきの返しで黙らせるしかない。


「あーいいよいいよそういうの。ほら、お前らこの学校の中でもトップ層くらいに可愛いんだからさ、そういうの似合わないぞ」

「え……。あ、そう……」

「どうした? とりあえず俺飯食うわ。お前らは飯食わねえの?」

「あ、今から食べるところ……。ほ、ほら、みんなも一緒に行こう?」

「うん……!」

「な、なにあいつ……」


 一人の女子が先導して、皆片手に弁当を持ち教室を出て行った。気に食わない奴もいるらしいが、そんなのは気にしたら負けだ。

 俺は言った通り、すぐ隣の席に座った。そのまま弁当を開けようとした時、隣から声をかけられる。


「……あ、あの!」

「ん? なんかようか?」

「さ、さっきはありがとうございます……」

「良いよ別に。俺が嫌だったんだ。まあ、またなんかあったら俺に言えよ」

「う、うん……」


 彼女の頬が少しだけ赤くなっていたような気がした。

 涼楓はすぐに顔を逸らす。あまり人と話すことに慣れていないのだろう。

 やっと飯を食べれると安堵しながら、箸を握るとまた声をかけられた。今度は聞き慣れた声だ。


「よ、一緒に食おうぜ」

(かける)か」


 俺に声をかけたのは、幼馴染である翔だ。昼はよく一緒にいるし、居心地のいい友の一人だ。


「改斗もよく言うよなー」

「いやだから、何回も言うけど俺が嫌なんだよ。別に自分がどう思われても特に関係ないし」

「そんなこと言うやつは改斗しかいないぞ?」

「みんな消極的すぎんだよ」

「それにしてもあんなセリフ言うやつはいないな。僕はまだしも、そこらの男子じゃキモがられるわ。顔が良いやつはそれだけで人生勝ち組だよな」


 恐らく俺のとっておきの返しのことだろう。まあ確かに少し賭けに出ては見たが、すんなり受け入れてくれて良かった。


「別に俺はそんなに顔良くねーから。そんなこと言ってるとお前の飯も食うぞ」

「おー怖い怖い。てか改斗のおどしはいっつも優しいんだよなぁ。そういう所がモテるんだぞ」


 俺は忠告通り翔の弁当から卵焼きを一つ奪い取る。


「お、翔ママの卵焼きうめーな」

「おい何勝手に食ってんだ」

「いや忠告したから勝手ではない」

「まあ良いけどさー」


 翔もなんやかんや優しいんだよなと思いながら二人でたわいもない会話をしながら弁当を食べた。

 ふと翔が言う。


「そういえば、放課後に現れる謎の美少女って知ってるか?」

「放課後に現れる謎の美少女?」

「うん。最近裏で騒がれてるんだけど。ほら、写真だってあるんだぜ」


 そういって翔はスマホを取り出して写真を見せてきた。やはりどこかのグループで出回っているのだろう。


「確かに、見たことない顔だな」


 翔が見せてくれた写真は、隠れて撮ったのだろうか、かなり小さくだがそれでもはっきりとわかるほどの美少女だった。

 制服は同じだが、見たことはない。ネクタイの色で学年はわかるから、同学年であることは確かだ。

 前髪はサイドに、長い髪をハーフアップにして、白い肌に整った顔。男子が見たら誰もが無視できない存在だろう。


「見たことはないな」

「そうだろう? 僕たちと同学年なのは確かだが」

「でもここまで可愛い女子がいれば、一度見たら忘れなさそうだけど」

「だよなあ。それにこの子と話したことあるやつはまだ一人もいないらしいぜ?」

「へー。幽霊だったりして」

「いや、それは流石にないだろ」

「まああんまり興味ないからそういうのいいわ」

「おいー悲しいこと言うなよー。僕たち男だろ?」

「男だからなんだ」

「へ、ほんと改斗は興味関心ってのが薄いよなあ」


 残念そうな顔を浮かべる翔に、俺はため息を吐く。


「何を期待してんだか知らねーが、ほら、俺には関係ないんだろ。だったら考えても無駄っつーか」


 俺がそう言うと、翔は先程と変わって真剣な表情になる。


「改斗、自分では気付いてないかもしれないがな、お前は意外とモテてるんだぞ? 顔だけは良いってな。僕たちの最後の希望だよ」

「あーだりいだりい。じゃ、俺ゃトイレ行ってくるわ」

「えー、逃げるなよー」


 俺は面倒な話から逃れるように、その場を後にした。


「謎の美少女、ねえ。この学校にも不思議なことがあるんだな」



 ◇



 午後のホームルームが終わり、俺は帰る準備をする。

 鞄を肩にかけて、椅子を直すと、翔に声を掛けられる。


「改斗司書の先生に呼ばれてたぞ。図書委員なんだっけお前」

「え、今日集まりなかった気がするんだが。まあ久しぶりに行ってもいっか」

「ん、じゃ」


 一言別れの挨拶をしてから二人とも解散した。俺はそのまま図書室へと向かう。

 相変わらず、この学校の図書室利用者は少ない。大体貸し切り状態になるのも当たり前だろう。

 しかしその割にはまあまあ広い図書室。本もそれなりに揃っていて、皆こないのがもったいないと感じてしまう。


「おじゃましまーす」


 重たいスライドドアを開ける。


「川口先生いますか?」


 司書の先生の名前を呟きながら、中に入る。が、全然人の気配がしない。


「あれ、いないのか? うーん、待ってたらそのうち来るだろ」


 俺はそれまで本を読んで先生を待つことにした。こうやって図書室に来て本を読むのも久しぶりだなと感じつつ、貸し切り状態の図書室を満喫する。

 二十ページほど読み進めると、ガラガラと飛井らが開く音がした。やっと来たかと、俺は手を止める。


「せんせ……あれ?」


 先生と呼ぼうとしたが、途中で言葉を止めた。何故なら、扉には全くの予想外人物が立っていたからだ。

 目に映るのは、この学校では見ないくらいに美しい少女だった。翔に見せてもらった写真と全く一緒の人物だ。

 身長はそれほど高くないが、ハーフアップにされた髪型や、綺麗な肌が際立っていて、美しいと感じる。

 俺はそんな彼女が現れたことに驚いたのだが、さらに彼女の予想外な反応が返ってきた。


「え……、烏羽(からすば)……くん?」


 彼女が俺の名を呼んだ。


「そうだけど、あれ、俺と……話したこととかあったっけ?」


 なんで彼女は俺のことを知っているのだろうと疑問に思いながら、失礼を承知で聞く。


「あ、いや……なんでもないです……!」


 ん? この子は意外と内気の性格なのかもしれないな。返答がたどたどしい。

 正直、俺もそこまで話したいとは思わないし、そっとしておくことにした。

 だがこんな図書室に来る人が気にならないわけがなく、彼女のことを横目で見ていると、彼女はそのまま奥の文学コーナーに行ってしまった。

 すると、高い本棚の上の方を少し見てから、手を伸ばそうとする。んーっと手を伸ばして背伸びするが、予想通り全然届いていない。

 そんな姿を見て、俺の悪いのか良いのかわからない癖が出てしまい、席を立ってしまった。そのまま彼女の横に立って、手を伸ばしている先の本を取る。


「はい。これであってる?」


 取った本を彼女に手渡した。彼女の頬が薄らと赤く染まる。


「う、うん……。ありがと」


 彼女に手渡すと、俺は何事もなかったかのようにまた先程の席に座った。

 それにしても、なかなか風変わりな本を読むな。先程俺が手に取ったのは、海外作家の本だ。こういうのもだが、あのような見た目をした読書家はあまりいない。

 名も知らない彼女は、手に持った本を大事に抱えて、端の方の席にちょこんと座った。そして途中まで読んでいたのか、中ほどのページを開いて静かに読み始めた。

 それはまさしく、絵になる風景だった。俺ですら、目が離せない程に美しい光景だ。


 気付けば、俺は席を立っていた。ナンパじゃない、ナンパではない、いやナンパなのか? とか思いながら、思い切ってその子に話しかける。自分の場合本を読んでいる途中に話しかけられるのは、あまり好きじゃないから悪いとは思うが、止まらなかった。


「その本、俺も読んだことあるんだ。面白いよね」


 彼女は、小説から目を離して、俺の方を向いた。綺麗な澄んだ色をした瞳だ。


「う、うん。この作者が好きで……」

「だよな。伏線の入れ方がめっちゃ上手いんだよな。いい意味で予想を裏切る展開をしてくるし」

「……烏羽くんも、本とかよく読むの……?」

「ああ。こう見えて、ってかまあ教室でも読んでるけど、結構読むよ」

「そうなんだ……」


 少し派手めな姿をしている割には、おとなしい性格で、味わったことのない感情が出てくる。


「ていうか、俺、君の声聞いたことある気がするんだけど、気のせいかな。俺のこと知ってるみたいだし」


 先程から違和感を抱いていたのだが、この子の声、どこかで聞いたことがあるような気がする。向こうも俺の事を知っていたような反応をしていたし。先程は誤魔化されたが、流石に違和感が頭から離れない。


「えっと……わたしは──」


 彼女が答えようとした時、後ろからガラガラと扉が開く音がした。


「あーごめんごめん遅くなっちゃった。烏羽君いる?」


 そう言って入ってきたのは司書の先生だ。何やら腕に段ボールを抱えている。


「はい、ここにいます」


 そう答えてから、名も知らいない美少女に声をかける。


「ごめん、俺用事あるんだ。じゃ、また今度会えたらゆっくり話そうぜ」

「う、うん……」


 彼女がどういう表情をしていたのかはわからないが、残念そうな顔をしていたような気がする。しかし、どっかで見たことあるような気がするんだよな。でも、あんな美少女、一度見たら忘れなさそうだし……。どこのクラスかだけでも聞いておけばよかった。



 ◇



「いやー本当この美少女、この学年にいんのか?」

「まだ言ってんのかそれ」


 昼休憩に入り、また翔があの写真を見ながら言い出した。


「だってよー、めっちゃ可愛いもん。僕は一度でも生で見てみたいものだ」

「まあ、でも確かに可愛かったな」

「え?」


 翔が俺を見て固まる。


「ん?」

「かった……? 改斗、見たことあんのか!?」


 翔はいきなり立ち上がって大声を出し始める。元から教室はうるさいからさほど気にする人はいないが。


「え、まあ昨日いたからな」

「おいおいマジで言ってんのかそれおい……。なんで改斗は見れて僕には見れないんだよお!」

「いやたまたま会っただけだから、もう会えないかもしんないし」

「それでもよお、羨ましいぜ僕には……」


 何故だか落ち込む翔。机に突っ伏して項垂れる。こうなればこいつはなかなか起きないから放っておくが。

 暇だし、昨日借りた本の続きでも読もうかなと思ったとき、左から声が掛けられた。


「あ、あの……!」

「ん? 涼楓か。どうした?」


 声をかけてきたのは、地味な女子で有名な涼楓だ。昨日も女子達に囲まれていたが、今日は大丈夫らしい。


「こ、これ……」

「紙? あ、ああ。ありがとう」


 涼楓はそれだけ言って、また静かに椅子に座りだした。今まで見たことのないほどに顔が赤くなっているが、大丈夫かな。心配だ。

 不思議なことをする子なんだなと思いながら、俺は貰った紙を開いた。そして書かれている内容を見て、眉を寄せた。


「おい、翔。起きろ、ちょっとこい」

「あー? なにぃー?」


 まだ項垂れている翔を無理やり引っ張り廊下に連れていく。しっかりと翔を起こして、先程貰った紙をまた開いた。


「これ見てくれ」

「あぃ。なになにぃ? ほうかご、としょしつにきてくらさいぃ?」

『放課後、図書室に来てください。伝えたいことがあります。』と、紙には書かれてあった。

「……っておい、改斗、まじ?」

「ああ、これは俺でもわかる。なんだって、これ系の内容は昔から何度も送られてきたからな」

「あ、ああ。そういえば改斗顔だけは良いもんな。性格は人によりそうだけど」


 告白……それにしても……。


「でも、それあの地味な涼楓からもらったんだろ? どうすんだよ」

「うーん、まあ、また断るしかないよな」

「いやー地味女でも、告白ってのは羨ましいな。てかやっぱ改斗、僕は君が羨ましいよ」

「黙りやがれ。またお前の弁当食うぞ」

「はっ、怖い怖い。じゃ、なんとなく応援しとくわー」

「……」


 翔は、俺に手を振ってまた教室に入っていった。まだ項垂れたいのだろう。

 それにしても……、また、あの違和感……。何かがおかしい。

 とりあえず、涼楓にはわるいが、俺にはそういう気がないことだけ伝えておこう。



 ◇



 ──放課後。


「行くんだろ? 図書室」

「うん。はぁ、断るのって結構精神的にキツいんだぞ」

「知らねえわ。僕に言わないでくれ」

「とりあえず、もう行くわ。二日連続図書室行くとかあんまないし新鮮だな」

「僕も部活行ってくるよ。じゃ、また明日」




 図書室に入ると、昨日入った時と変わらず誰もいなかった。というか、なんで毎回先生がいないのだろう。

 疑問に思いながら、俺は涼楓を待った。

 十分くらいしてもなかなか来ない為、逃げられたのかな? とも思いつつ、別に本読めるからいっかと思いながら、借りた本を読み進めていった。


 さらに数十分くらい経つと、ようやく扉の開く音が聞こえた。

 俺は反射的にそちらを振り向く。そして、またもや驚かされた。なぜなら、入ってきたのは昨日会ったあの謎の美少女だったからだ。さらに意味がわからないことまで言い出す。


「待たせて、ごめんね」


「え、いや、待ってなんかいないけど……」


 急に、会う約束もしていないのになぜ謝るのだろうかと、疑問を抱く。


「今日は、来てくれてありがとう」


「……」


 彼女の言っている意味が何一つわからなくて、戸惑う。

 自分のタイプな美少女に、急に謝られて、急に感謝されたら誰もが戸惑うだろう。

 彼女は、ゆっくりと俺に近づく。正面に立つと、手を前で組みならがたどたどしい言葉で言い出した。


「わたし、前々から、烏羽くんのこと……好きだったんです。良ければ……」


 俺の頭は彼女の言っていることを何一つ理解していなくて、彼女の言っていることも頭に入ってこない。


 彼女は、一旦言葉を止めて、言い放った。


「わたしと、付き合ってください……!」


「……」


 深く頭を下げる彼女。俺は何も言えなくて、時間が経つ。それでも彼女は俺の返答を待った。

 そして、俺はゆっくりと言葉を探した。


「なんか、ごめん。君は、夜祢(よね)涼楓(りょうか)なのか?」


「そうだよ」


「そっか。そうだったんだ……」


「わたしこそ、ごめんなさい。こんなに地味で、君には釣り合わないよね……。でも、この気持ちを胸の中に抑えておくのは、すごく辛かったの……」


 涼楓の顔に影がかかる。


「いや、そんなことないよ。君は涼楓だったんだ。ずっと違和感はあったんだ。気付けなかった俺が悪い。俺こそ、君みたいな可愛い子には釣り合わないよ」


「かわい……!?」


 ぼっと、彼女の顔が赤く染まる。わかりやすくて、愛くるしい。


「でも、もし、それでもいいのなら、俺も君が良い。君に一目惚れしたんだ。自分で言うのもだが、この俺が初めて、人のことを好きになった」


「え……?」


 彼女の目に驚きの表情が見える。


「俺と付き合ってくれ」


「……うん……!」



 ◇



 俺と涼楓は、手を繋いで帰路を歩いていた。


「それにしても、なんか涼楓って放課後になんでイメチェンするんだ?」

「こっちのほうが、前が見やすくて、髪の毛も邪魔にならないし……」

「それならずっとそうしていればいいのに」

「でも、わたし人の目を見るのが苦手で……」

「ま、別に俺はどの涼楓も良いけどな。地味だなとは思ってたけど、正直そんなの気にならないし。俺、本が好きな子が好きなんだ」

「そうなんだ。だから……」

「ん? ああ、いや涼楓自身も好きだけどね」

「えへへ、ありがとう」

「こういうのも、悪くないよな」


 いつもは鬱陶しい気温が、今日に限っては、何も気にならなかった。いや、これからも気にならないだろう。だって、俺の気は全て彼女に奪われたのだから。

最後までお読みいただきありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 冒頭のイジメを止めるシーンがかっこよく、改斗はすぐさまいい男だという印象になりました。 そして謎の美少女の正体…。 最初から最後までニヤニヤできる恋愛小説でした。
[良い点] 全体的に清々しい読後感があります。 内容は恋愛小説としては王道の展開なので、タイトル+登場人物が出そろったところで結末はわかります。とはいえ、この手の読み物は登場人物の心境に感情移入してい…
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