寄生虫ってすごいなーという話
ネットで見た記事の感想から、記憶を頼りに書いたものなので、正確性は乏しいかと思いますが、多目に見てやってくださいね(笑)
この前、寄生虫研究のグループによる、寄生虫のレッドリスト作成の重要性と、寄生虫保護の必要性を訴える記事を読みまして、成る程なー、と感心したりしました。
寄生虫というと、あまり良いイメージは抱かないかも知れませんが、実際、私たちは寄生虫をはじめとする、多くの寄生生物と共生して生きています。
免疫や消化など、生物の進化の過程で、そうした共生関係を前提として体の仕組みが作られているために、一概にこうした寄生生物を絶滅させることは大変に危険なことなんですが、そのことに対して、これまで積極的に研究し、対策する科学者や機関が存在しなかったそうで、それは確かに危惧すべきことだと私も思いましたね。
さて、私たちの身近な寄生虫というと、蟻と蜂がいますよね。
「何を言っているんだ、蟻も蜂も寄生虫じゃないぞ」
と思ったあなた、確かに私たちのよく知る蜜蜂やスズメバチ、お外に行列をつくる蟻を見ても寄生虫には見えませんね。
しかし、ハナバチであるミツバチ科のミツバチやスズメバチ科のスズメバチ、お外によくいるありさんたちは共にカリバチから進化したと考えられています。
蜂は原初ではハバチと呼ばれるハチに集約されます。植物の茎に産卵し、果実の中などで孵化、植物体内に寄生して栄養を摂取して、植物体内から飛び出すと成虫(産卵形態)へと羽化して産卵菅を使ってまた植物体内に産卵するを繰り返す原始的な昆虫ですね。
この産卵のための成虫形態を進化させ、肉食に転換したのがカリバチ(狩り蜂)です。
狩り蜂は昆虫などを捕まえて来て、補食する他、その体内に産卵します。狩り蜂の幼虫は卵を産み付けられた宿主を内側から食い破りながら成長するんですね。
そして、この産卵菅を毒針へと変化させ、肉食から、また植物食に戻ったのがハナバチ(花蜂)なんですね。
蟻も狩り蜂から進化したため、毒を持った種もいるそうです。
現在の蟻やハナバチにも寄生虫であった名残は多くありますね。まず、成虫の食事が幼虫や他の昆虫などが分泌する分泌物(液体)であり、共生関係にあること。成虫は餌を運ぶなどの労働のリターンとして、分泌物を得ていますね。
彼らのコロニーがクローン生産工場なこともそうでしょうか。彼らは完全に産卵だけに特化した女王に依存しており、また女王も産卵以外の全てを子供たちに依存しています。コロニー全体がひとつの群体のように機能する様は凄まじいですよね。
彼らの組織では全体の2割が野外活動を行い餌を運んだり、巣の拡張整備を行いますが、組織の1割ほどは何もしないでただ幼虫から餌を貰うだけのニートが存在します。
このニートくんたちは働き蜂や働き蟻に問題が発生して数を減らすと投入される予備です。
本当に不思議ですよね。社会構造がしっかりと出来ている。因みに蟻の仲間ではなく、蟻や蜂よりも原始的な生物であるシロアリにはロイヤルファミリーがいます。
蟻や蜂が女王を失うと壊滅するのにたいして、シロアリには王位継承順位が定められたロイヤルファミリーがいるため、たとえ女王や王様が死んでも、コロニーが壊滅することがなく、とてもしぶといです。
私も、会社の木製パレットに湧いたシロアリの駆除に毎年、苦戦しています。
蟻ですごいなと思ったのは、海外の蟻の種類でハキリアリとミツツボアリですかね。
ミツツボアリは文字通りに働き蟻の一部が、腹部にミツを貯めて、蜜壺状態になるんですよ。
この壺役のありさんは巣の天井に噛みついてぶら下がり、仲間の運ぶ蜜を口に流し込まれて、お腹に貯めていくんですが、そんな膨らむってくらいお腹がでかくなるんで衝撃です。
ハキリアリはもっと驚きましたね。
名前の通りに葉を切って巣に運ぶんですが、葉を食べる訳じゃないんですよ。勿論、巣の材料にする訳でもない。ならなんでそんなもの運ぶのかというと、巣に運んだ葉を発酵させて、菌糸を増殖させてキノコを栽培するためなんです。
そう、ハキリアリさんは養殖キノコを食べてるんです。
キノコの人工的な栽培は日本でも古くから行われてはいたんですが、安定して収穫出来る方法がつくられたのは比較的最近で、昔はキノコ栽培と言えば「なっていたらラッキー」という運任せだったんですよね。
それをハキリアリさんは安定して収穫できるんですから、とんでもないですね。
寄生虫から話がそれていますが、本当に生物って不思議です。進化の話なんかだと、生物で一番、解像度の高い目を持っているのは大王イカだそうで、ただ、その優れた解像度に見合う脳はないので、高い解像度もほぼ無駄と聞いた時は笑いました。
私たちの遺伝子にもウィルスや寄生生物の痕跡はありますし、何より、酸素をエネルギーへと変換するミトコンドリアが、そもそも原初の生物に寄生して共生関係を結んだからこそ、生物は呼吸をするんですしね。
寄生虫は厄介なもの、怖いものもいますが、身近なところで生活を支えてくれてるんですね。
その恩恵を忘れずにいたいものです。
農業でも、土壌内の微生物のバランスが崩れることで、そうか病や根こぶ病などが発生しやすくなりますね。
共生関係が破綻するほど、一部の微生物だけが減る、または増えると、園芸作物にたいして悪影響が出ますね。
要はバランスなんですね。どんな種であれ、簡単に駆逐してはいけないんですね。