お花のボートとに乗るみなとゆな
ある日のほうかご、わたしはみなちゃんとけんかした。
どういうふうにけんかしたのかといえば、わたしの好きなぬいぐるみが、百円だったんだって言ったら、みなちゃんが、安ものだって。
安ものって失礼だよって言っても、だって百円は安いよって言われて、それでなんかおこっちゃった。
それでわたしは、いつもみなちゃんとあそんでいる公園に、一人でいる。
いつもより池があかるく見えた。
なんでだろう? と思っていたら、いつも公園のかんりをしてくれているお姉さんがいた。
けどお姉さんはいつもとちがう。
どうちがうかというと、お花のかんむりをかぶっていた。
「ゆなちゃんこんにちは」
お姉さんがわたしを呼んだ。
「こんにちは。どうして今日はお花のかんむりなんですか?」
そうわたしがたずねると、
「今日はお花がたくさんなキャンペーンなの。いつもよりちょっとふしぎかもよ」
お姉さんが答えた。
そして、池のほとりまでおいで、と言ってあんないしてくれる。
いつもの池のほとりとなんかちがうのかな? と思いながらついていったら、なんと、池にいつもとまっているちゃちそうなボートに、お花がたくさんついていた。
「今日からこのボートは、お花のボートなの。とってもやさしくおともだちと話しながら乗れるボートなんだよ」
「そうなのですか?」
「そう。そんなすごいボートに、かいぞうしたんだよ」
「そんなかいぞう、できるんですか?」
「うん、できたんだよ。だからためしにのってみて」
お姉さんがそういうので、わたしはお姉さんといっしょに、お花のボートにのった。
いつもより池があかるいと思ったけど、それは、お花がたくさんあるからかもと思った。
ボートはお花のボートになっているけど、それとは別に、池にもお花がたくさんうえてある。
うかぶうえきばちとか、池のほとりにお花があるのだ。
「きれいでしょ?」
「うん、とてもきれいです」
わたしはお花にかこまれながら、すぐにかんそうを言えた。
「あ、つぎのお客さんが来たから、のせてあげないと」
お姉さんがそう言って、ボートを池のほとりの方向にすすめはじめた。
だれがのってくるんだろうとおもったら、みなちゃんだった。
え、さっきけんかしたばっかりだよ。
そう思ったけど、でもとつぜんボートからおりるわけにはいかないし、わたしはみなちゃんがのってくるボートに、そのままのっていた。
お姉さんはなにもしゃべらなくなっちゃったし、もうわたしとみなちゃんで話すしかなさそう。
「ねえ、みなちゃん。なんか……おこってごめんね!」
「えーと、わたし、安ものって言っちゃって、ごめんねゆなちゃん!」
お花のボートで二人で向かいあうには、まずはあやまらなきゃいけなかった。
だから、まずはそれから。
そして二人で、ふしぎなお花のボートでおしゃべりした。
このボートは、おともだちとやさしく話しながらのれるって言ってた。
たしかにそうだなって思った。
だけど、どういうしくみなんだろう?
あんなにちゃちかったのに、そんなふしぎなボートにかいぞうできるものなのかな?
よくわからないけど……だけどなんとなく、わたしの好きなぬいぐるみと、ボートは少しにているかもしれないと思ったから。
わたしは今日、ぬいぐるみにお花のかんむりをあげようと思った。
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