くいしんぼうと冬のおくりもの
どこかにある不思議な不思議な森のお話。
森にすむ犬の男の子、あずきは食べることが大好きです。
ある寒い朝のこと。
寒くて寒くて、あずきはお布団から出たくありません。
「あじゅー、寒いんだな、眠いんだな、だけどお腹が空いたんだな」
するとママが起きるよう声をかけてきます。
「嫌なんだな。寒いんだな。でもお腹が空いたんだな。困ったんだな」
ママは、美味しいごはんがあるよと言っています。
「お腹空いたんだな!」
あずきは急いでお布団から飛び出すと顔を洗って歯を磨いてリビングにやってきました。
だけどママの姿はありません。
パパの姿もありません。
「あじゅ?パパとママは何処なんだな?」
首を傾げていると外から声がします。
窓の外を見ると一面の雪景色。
「あ、あじゅー!お外にアイスがいっぱいなんだな!!」
あずきはお外へ飛び出すと雪の塊に飛び込みます。
口の中いっぱいに雪をため込みます。
「あじゅー、寒いんだな。味がしないんだな。あじゅー!!」
ぶるぶる震えるあずき。
ママはその様子に呆れてしまいます。
パパは笑いながら雪を固めて作っていたかまくらの中に居ました。
「さあ、おいで。中でシチューを食べよう」
あずきは喜んで飛び跳ねました。
あずきはかまくらの中でパパとママと一緒にシチューを食べました。
パンをシチューにたっぷりと浸して食べました。
「あったかいんだな。美味しいんだな~!!」
いつもとは違う、冬空からのおくりもの。
あずきはとっても幸せな朝ごはんを食べることが出来ました