5話・老婆と番人
少し忙しく更新が遅れました
(いい朝だ。けど眠い)
彼、デラド・ベドールは王城の門番を務めている。
強力級能力・『槍術』所持しており世の中では十分強者と言われる部類である。
(リルタナ様。捕まっちまったんだよな。犯罪なんかするような人ではないのに)
しばらくすると門に“牢獄の番人”が近づいてきた。
「しばらくだな。最近どうだ?もぐら暮らしはきついだろ?」
「きついどころじゃないさ。こっちは囚人全員一人で管理してるのに3時間しか寝れねえんだぞ?」
「悪い悪い。だがそれなりの給料もらってるんだろ?」
「おかげさまで。でもキツイもんはキツイさ」
「それはそうと外に出てもいいのかよ?」
「今日は部下がやってる」
「あれは部下と呼んでいいのか?」
「あれとはなんだ、あれとは、」
「自我を奪った死刑囚だろ?」
彼の能力には、いくつかの強力な力がある。
一つ。破壊不可能な牢獄を作り出す能力。
二つ。その牢獄の中での絶対権力。
三つ。ある一定の条件を満たした者の自我を奪った従人化。
三つ目の能力によって彼の牢獄は今管理されている。
「んじゃまた」
「おう」
そこで牢獄の番人と王城の門番は分かれた。
王城を出て数分の歓楽街を通る。
一つの酒場に入り、カウンターの端の席に座る。
「何にする?」
「テキーラ」
この店にテキーラは置いていない。
店の奥に扉が開いてそこに入る。
一人の老婆と多数の魔法道具が列べてある。
魔法道具とは、その系統の能力で作れる魔法や弱めのスキルがどんな人でも使えるようにした物である。
「久しぶりだねぇ。2年ぶりかねぇ?」
「1年と7ヶ月だ」
「変わらず冷たいねぇ。何をお求めだい?」
「催眠や呪いが解ける魔法道具が欲しい。それと王子についての情報だな」
「お安い御用だよ。それと、いいのが入ったよ」
「昔言ってた、牢獄外の拘束・捕縛用か?」
「そうだよ。みな」
ジャラジャラと音がなり老婆が机に金の装飾が入った黒い鎖鎌だった。
通常の鎖鎌と違い鎌の刃の部分が長い。
「これはね、斬りつけた相手を拘束できる物なのさ」
「範囲は?」
「半径5キロだよ」
「どういう風に拘束するんだ?」
「それを説明するには、三つの機能を説明しなきゃならない。
まず一つこの鎌と鎖は自由に所有者の意思で巨大化・縮小ができるのさ」
「初見でのフェイントがしやすいな。ある程度の距離であれば鎖を伸ばして拘束ができる」
「その通り。そして二つ目、鎖を手の足のように動かし鎖の先の分銅を使い監視もできるのさ」
「よくそんなの仕入れたじゃないか。少し見直した」
「買い被り過ぎだね。そして三つ目、この鎖鎌は能力と同調する」
「聞いたことがないな。能力と同調する魔法道具なんて聞いたことがない」
「それが違うのさ」
「なにが?」
「魔法道具じゃないんだよ」
「おかしな発言をするな。魔法道具意外にそんな機能を待った物なんて、、
「魔導法具だよ」
「は?ボケたか?そんな物、古代文明の至宝でもう滅んだって知識のない俺でも知ってるぞ?」
「まさかだよ。ありえないことが起きちまったらしいよ」
「分かった。いくらだ?」
「800万ドリューだよ」
ドリューとはこの世界の単位でアプルと言う赤い果実一つで20ドリュー。
平均的な年収で7万ドリュー。
異常な値段だと言える。
(しかし本物であるなら話は別だ。むしろ安いかもしれない)
「買った」
「金は?」
「部下に届けさせる。それとそれはまだ受け取らない」
「それとさっきの注文していた魔法道具だよ。催眠や呪いを解く腕輪だよ」
「いくらだ?」
「たいそうな買い物してくれたからおまけだよ」
「じゃあな」
扉を抜け酒場を出る。
外はもう暗く夜の世界となっていた。