12話・お話と戦闘
「つまりあれは試験の様な物だったと?」
「そういうことです!」
「本気にすんなよ、、」
「言って良いことと悪いことがる」
あの後、コレンと呼ばれた受付嬢に捕まり事情を聞かされていた。
あれは冒険者を試す試験の様な物で本気ではないらしい。
(まあ、実際のところ容認されてないからな。俺以外の看守や
捕獲者だったらそのまま連行されていただろうな)
捕獲者とは龍刀之騎士団直属の犯罪者捕獲部隊であり、
これまでに数多くの凶悪犯罪者を捕まえた者たちである。
隠密行動に徹しており民間人に変装しているため団長と副団長以外顔すら知らない。
だが、彼は少し勘違いをしている。
この試験的行動は大概の者は周知しており彼が知らなかっただけである。
つまりこんな風に事を大きくする看守は彼以外いない。
捕獲者も当然知っている。
彼は知らないうちにかなり恥ずかしい事をしていたのである。
「とりあえず謝っておこう。だが流石に縄を解いてくれ」
「だって逃げるかもしれないじゃないですか」
「だからと言って両手両脚で天井から吊るすのはどうかと思うぞ?」
彼は今完全に動けない状態である。
『統合能力に通常級能力・『縄抜け』Lv2を確認』
(完全に脱走を提案してるなこいつ、、)
『はい』
「うお!?」
「どうしました?」
「な、、なんでもない」
(まさか、お前は脳内で会話できるのか?)
『はい、気づいてませんでした?』
「お話も終わったんで解放しますよ」
「コレン、ついでにこいつに依頼を見繕ってこい」
「分かりました、今回はギルマスにも非があるので改めてください」
「そこは俺から助言しよう。絡み方がダメだ、例えば‘俺がお前を試してやる’
とかそういうのを言えばいいと思うぞ」
「参考にする」
「それと依頼を受けてって下さい」
「その制度もいまいち知らん」
「依頼っていうのは大まかに2種類、細かく4種類あります。
まず一般依頼とギルド依頼があります。一般依頼は民間人がギルドに何かしらの
依頼をしてその依頼に見合った料金をいただき手数料としてギルドが2割
達成した冒険者が残りをもらいます。ギルド依頼は緊急時ギルドの予算を使い
冒険者たちに依頼をして対処してもらう場合のことを言います」
「それでギルドも儲かると、、」
「はい、そして依頼は細かく分けて先ほど説明した一般依頼と指名依頼が、
ギルド依頼は緊急時参加と徴集参加があります。
指名依頼は貴族や金持ちが名の知れた上級冒険者を指名して依頼することですよ。
その分、料金が爆上がりです。緊急参加は任意で断れます。
対処に余裕があるときにこれが出ます。
徴集参加はギルドがある街の危機国の危機等でそこにいる冒険者が強制参加させられます。
こういう場合は報酬が少ないです。あ、戦争は別ですよ?」
「わかった、じゃあな」
「はい、さようなら」
彼はギルドの部屋を出てそのまま姿を消した。
「あ、依頼を渡すの忘れてました」
彼は夜道を歩きながら名前と職が書いてあり光沢のある
赤い長方形の板をポケットにしまいカラドールから王都へと向かう山道に入る。
しばらく歩いていると右手の山の奥の方からピカッと光がついたように見えた。
『3km右手に発光を確認』
「行ってみるか?」
『あまりお勧めできませんが犯罪等の可能性も否定できません』
「じゃあ行くか」
山道を抜けて草木が生い茂る欝蒼とした山の中に入っていく。
近づいていくとともに発光の回数は多くなっていった。
それと同時に金属音も響いてきた。
『戦闘音と判断。特異魔導宝具の使用準備を推奨』
「わかってるよ。『俊足』」
強力級能力俊足の力によって現場に向かう。
近づくとともに開けた土地に出る。
そこは何かに削られたように円状に草原が広がっており
その中心あたりで3人の男女が豚鬼の群れと交戦していた。
豚鬼は毛むくじゃらの二足歩行の豚でその力は人間の10倍にもなる。
最上位種の豚鬼王や豚鬼将軍が率いている場合は鎧を着用していたりするので上位種が発見された場合各街で対処が義務ずけられている。
一人の女が魔法を使い豚鬼を焼いていく。
先ほどの光は魔法を使った光だったようだ。
剣を使っている男がオークを切り裂くが致命傷にはならず隙を突かれ吹き飛ばされる。
その方向にもう一人の魔法使いもいたようで魔法使いの女以外行動不能になってしまった。
『豚鬼の残りは11体です。参戦を推奨します』
彼は女魔法使いに襲い掛かった豚鬼の頭を鎖鎌で切り落とした。
恐怖からか魔法使いの女は気絶してしまっていた。
『4SP加算されました。Lv7まで、294SP必要です』
強力級能力・『金剛力』を発動して分銅を振り回し3体の豚鬼を撲殺する。
鎌を持ち『俊足』で群れの後ろに回り2体の豚鬼の首を跳ねる。
鎌を巨鎌にして鎖で回し軌道上にいた4体の豚鬼の上半身と下半身をさよならさせる。
残り一体。
その豚鬼は少しだけ異様な妖気を放っていた。
『豚鬼の上位種、上位豚鬼と判断』
「ブムゥゥゥゥ!!!!」
上位豚鬼は背中に付けていた斧を取り襲い掛かってきた。
上位豚鬼の懐に回り下からアッパーを食らわせる。
体勢を崩した上位豚鬼に鎌を上段から振り下ろし両断。
血飛沫が舞い辺りの草を赤色に染める。
このままだと血の匂いで他の魔物も寄ってきてしまうだろう。
『金剛力』もまだ発動中なので先ほどの三人も楽々抱えられた。
『統合能力に通常級能力・『治癒魔法』を確認。使用を推奨します』
「魔法を使ったことがないからやり方を知らない」
「能力の魔法と一般的な魔法は違いますよ?
能力の魔法は体内の魔力を必要とせず周囲の魔力を使用するだけで発動できます。
般的な能力を使わない魔法は訓練が必要になり体内の魔力量に威力や
継続能力が、質に使用できる属性が左右されます。』
「知らなかった、、」
(まぁ、学校行ったことないから知らないのは当然なんだけどね!)
『今後の活動に支障が出る可能性大。勉強会でも開きましょうか。
そこらの学校より高度な勉強ができますよ?』
「遠慮しとく、、」
『分かりました。やりましょう』
「どうしてそうなった、、」
『それよりも早くしたほうがいいと思いますよ?男が一番重症ですね。骨折箇所が複数見られます』
「走りながらできるか?」
『私がサポートします』
「分かった」
『俊足』でそこを離れながら『治癒魔法』で三人を治していく。
数分で男が終わりその分、他の二人が早くなったためすぐに治癒は終わってしまった。
豚鬼に襲われていたところから山道に戻り休憩できそうな場所を見つけたので
三人を下ろし薪を集める。
『統合能力に『発火』を確認』
「なんだその使えなさそうな能力は、、、」
『如何やら連続放火魔の能力のようですね。
ここまで変な能力は逆に珍しいです』
薪に火を灯し三人が目覚めるのを待つ。
辺りは未だに暗く人通りもない。
10分おきに行商人の馬車が通るぐらいだ。
30分もすると魔法使いの女が起きた。
私は未だに理解が追いついていない。
冒険者になって鉄級になりオークの討伐依頼を受けていた時だった。
群れに襲われ死にかけた、、はず。
目の前には看守の服を着た男がいる。
体が思うようにうごかない。
辛うじて声が出て男はこちらが起きたことに気がついたようだ。
「治癒魔法が不十分だったか?もう一回かけてみるか」
男はそう言い私たち三人に治癒魔法をかけた。
かなりの使い手なのだろう。
体が蘇っていくのがわかる。
二人の仲間も目を覚まし驚いた顔をしている。
「よしできた、名前はわかるか?」
一瞬戸惑いすかさず名前を言う。
「私の名前はミルタ、火魔法使いだ。すまないが状況を教えてもらえないか?」
「ああ。山道を歩いていたら光が見えたもんで近づいたらあんたらが
豚鬼に襲われていてな。危なかったんで助けた」
そんな軽く言うことなのか!?豚鬼の群れだぞ!?
「他の二人は?」
「俺はガルダ、剣士だだ。危ないところを助けてくれたようで感謝する」
「私はレーナと言います。光魔法が使えます!えっと、ありがとうございました!」
相変わらず天使のレーナちゃん。
「お前たちは冒険者なのか?」
「ああ。やっとの事で鉄級になったと思ったらこの有様でな」
「貴方は上級の冒険者なのでしょうか?治癒魔法もかけてくださったみたいだし、、」
「いや、数時間前に登録したばかりの銅級だ」
「「「え?」」」
「嘘でしょ!?豚鬼の群れを単独撃破できる冒険者が銅級!?
「ほんとなんですか!?」
「そうだぞ?ほら」
男は懐から銅級のギルドカードを取り出し私たちに見せている。
なんなんだこの人は、、、、




