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牢獄の番人と冤罪の姫  作者: 書くのはいつも唐突に
プロローグ
1/22

1話・出会い

その者は牢獄で生まれた。

罪人の子供として。

目の前で広がる両親への看守の暴力と暴言。

それにより彼は犯罪に対する強い嫌悪感を覚えた。

それにより彼は親を自らの手で殺めた。

その犯罪に対する酷い嫌悪感と能力(スキル)から彼はその牢獄の看守に選ばれた。

決して犯罪者に対し暴力・暴言は行わない。

そして両親を殺めたことも悔やんでいる。

犯罪者とはいえどこの手で人を殺めたからだ。

そして彼はいつしか牢獄の番人と呼ばれるようになった。

今日も彼の元に罪人が運ばれる。







時は誕生歴1224年

誕生歴とは勇者・レオロランドがこの世に誕生してからの年月を表す。

この勇者は圧倒的な能力(スキル)で魔王を討伐し、世界に平穏を取り戻したとされている。

能力(スキル)とは生まれながらに個人が持つ力で

通常(ノーマル)級・強力(パワフル)級・希少(レア)級・伝説(レジェンド)級・神話(ゴッド)級とある。

その勇者が生まれたといわれる地に発足した国、王国・ベルドリス。

その国の裁判所では今この時、一人の女がまた犯罪者の烙印を押されるところだった。

「では、王女リルメナ・ベルドリス。貴方を国家反逆罪で永久投獄にする」

「横暴だ!確固たる証拠がない!」

「しかし弁護側。国家を脅かすのではないかと疑われた時点で確定ではないか?」

「被告側には黙ってもらいたい!」

「これ以上の騒ぎは止めろ」

「国王陛下、、」

「リルメナ。私はお前のことを信じている」

「はい」

「だがその信頼も今日で失われた」

「はい」

「姫様!反論しないのですか!?」

「反論しないのは罪を認めているからではないのか?」

「っ!しかし!」

「もう良い。連れて行け」

「はっ!」

(これは王子殿下もしくはその取り巻きの企みか。姫様、すみません。私が無力なばかりに、、)

リルメナ・ベルドリスが連れて行かれ扉が閉まるとともに裁判所は静寂に包まれる。

王、裁判官、被告側が退出して一人残る弁護側。

もはや王女を元の地位に戻すのは不可能。

ましてや平民になるのも難しいだろう。

弁護側の男、ルーラーはおぼつかない足取りで裁判所を後にした。





(私はこれからどうなのだろう?)

裁判中の記憶がない。あるのは絶望と悲しみと怒りのみ。

だがそれも牢獄の前で霧散する。

王城の地下・絶望の牢獄。

国家反逆罪や危険思想の持ち主が集められるA級犯罪者を投獄する場所で

一人の男の能力(スキル)により管理される場所。

(楽に死ねるかな、)

彼女の思考は、もはやそれで埋め尽くされる。

扉が開き、何百もの犯罪者が投獄されている光景を目の当たりにする。

「女だ〜!」

「こっちこないかい!ご飯分けるから〜!」

「げへぇ、はぁはぁ」

汚い唾をわめき散らし鉄格子から欲望をあらわにする者(犯罪者)たちは

さながら小鬼(ゴブリン)豚鬼(オーク)という魔物にも見えた。

「来たぞ。あいつがお前の監視役だ。」

奥から一人の看守用の制服をまとった男が出てくる。

(乱暴な人じゃなければいいな)

「女か。こっちに来い。」

男に連れられ着いた場所は先ほどの犯罪者がいる場所とは違い少しまともなところだった。

「あんなところで精神を病んでもらっては困るからな。入れ」

入れられた場所は鉄格子があり外の様子が見れる。

ベットと薄い膜に囲まれたトイレしかない。

(少し優しい人だな。看守とは思えない)

「食事は1日2回。お前の人生は俺の管理下にある。せいぜい余生を悔やんで生きろ」

「分かりました。」

「喋れるじゃないか。“元”王女。変な気は起こすなよ?」


これが、番人と姫の出会いである。







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