私設軍隊設立です!
遺跡についての情報は入手出来た。
次は、必要な物を準備しなくちゃいけないな。
アプリを開いて、ロードさんを呼び出そう!
「主様、本日はどの様なご用件でしょうか?」
少し口調が楽になったかな?
「あーうん。調子はどうですか?」
「とても順調に御座い…です。」
御座い…です?
順調です。って言いたかったのかな?
頑張ってくれてるようで何よりです。
「ほぅ、どんな風に順調なのかな?」
「はい。前回お呼び頂いた際に決めた、テイムした者達についてですが、猪・ホーンピッグ・フォレストウルフの働きにより、山脈から上質の鉱石が入手出来るようになりました。
それに寄り兵士の武具は勿論、住民の道具にも便利な物が行き渡っております。
ゴブリン達は、建設や訓練を頑張ってくれてますし、ビッグスパイダーの糸から作った衣服も住民から、着心地が良いと評判です。
スライムについては訓練だけではなく、ポーションの作成にて、素晴らしい功績を挙げてます!」
そうかそうか。
「・・・ちょっと待て。
山脈は村から5日位掛かるって言ってなかったか?」
前回の呼び出しから、丁度3日だ。
幾らなんでも、辻褄が合わない。
「移動はフォレストウルフに騎乗してますので、片道ではなく往復5日程に短縮しています。
それと、そのアイテムの中と外の時間は多少違いが有るように感じます。
現に前回お呼び頂いた時から、村では24日経っており………います。」
3日で24日なら、1日で8日分?
現実では、三時間で村の1日が終わると言う事か?まじでゲーム感覚・・・
これ、いぎなしヤバイ………現実の8倍で時間が流れてるって、某戦闘民族達が修行をしてた場所に似てるかも。
「時間の流れが違うなら納得・・・出来ないけど、納得しとく。
1ヶ月近く経ってるなら、其なりに発展や研究も進んでるのかな?」
「はい。
現在村では150程の住民が暮らしています。内、主様の為に戦闘可能な者は、
・ゴブリンキング1名
・ゴブリンナイト10名
・ゴブリンライダー5名
・ゴブリンアサシン5名
・ゴブリンウィザード7名
・エレメントスライム5名
・アサシンスパイダー3名
総勢36名が戦闘可能です。
その他の住民も、最低限の戦闘訓練は受けていますので、安心して下さい。」
安心できねぇ…………魔物の軍隊なんて作んねーよって言ってた気がするが、出来ていたのならしょうがない…………俺は悪くない!って思っとく。
「村の発展は住居を増やし、新しく工房と研究施設を建てた事と、牧場と畑が相当数出来上がっています。」
もう村じゃなくて、街だろそれ?
「何か………凄いことになってますね?」
「皆主様の為に励んでおります。」
ロードさんが誉めて欲しそうに、こちらをチラチラ見てくる。
凄いけど、やりすぎだ………
「えーっと・・・皆頑張ってる様で何よりです。
今後はもう少しスローペースで、のんびりやって下さい。」
「お気遣い有難う御座います!
今後も主様の為に励むように、皆に伝えておきます!」
「いやいやいや。まてまてまて。そうじゃない。違う、違うんだ。気遣いとかじゃない。
極端に言うと、こっちの一年がそっちで八年。
発展させることは悪いことじゃない。
ただ、発展し過ぎると俺が追い付かないんだ!」
「成程。
では、今後はもう少しゆっくりとするように、皆に伝えておきます。」
「そうしてくれると助かります。」
バガルズでこのアイテムを秘密にする事が出来て、本当に良かった。
ゴブリン達に研究内容を伝えて、スマホの中で研究をすれば8倍の速さで進むからな。
「新事実も解った所で、本題に入ります。
これから、ゴーストやアンデットに悪魔が沢山棲んでる場所に向かうんですが、村の研究結果や訓練の結果で、それらに対抗出来るものはありますか?」
聖水とか、聖なる武具とかあると助かる。
「ゴーストやアンデットに悪魔ですか・・・そいつ等の強さはどの程度なのでしょうか?」
「そんなに強くは無いみたい。
下位の悪魔やゴースト、アンデットって聞いたけど。」
「レベルが低いのでしたら、聖魔法が無くても大丈夫だと思います。
アンデット系のゾンビやスケルトンならば、物理と魔法共に有効ですし、ゴースト系は物理攻撃は効きませんが、魔法で対応出来ると思います。
下位の悪魔ですと、恐らくインプ辺りが出ると思いますが、コイツらは動きが素早いので注意が必要ですが、物理・魔法共に有効です。
ただ、下位と言っても悪魔ですから其なりの力が有りますのでご注意下さい。」
「おぉ~助かる。火力で押し切れば良いんだな!
今の話を聞くと、アンデットにナイトを充てて、ゴーストにはウィズ・ウィッチ・エレメントスライム。
悪魔にはナイト・ライダー辺りが妥当かなって俺は思うんだけど、どう思う?」
アサシン系の皆さんは今回お休みだな。
「私は主様より聞いた話ですので、どの程度の数が居るか分かりませんが、戦力過剰と思います。
大きすぎる火力は身を焼く場合が有ります。」
「俺も聞いた話だから、実際の数はわからないけど、戦闘可能なメンバーの強さがわからないし、多い方が良いと思うんだけど?」
ノーマルキャラだって数で押し切れば、レアキャラにだって勝てるんだぜ!
「私達の強さでしたら、ご心配には及びません。
私達ゴブリン族は、下位の魔物は50程度なら一人で余裕でしょう。
主様・フウカ様・ライカ様・スイレン様もご一緒でしたら、問題は全く御座いません!
スライム・スパイダーも同様の実力です。」
気合い入ってるねぇ。
一つ勘違いしているのは、俺が一番弱いことだな!足手まといにしかならんと思うし。
チビッ子達もゴブリンの皆さんには敵いませんよ?
「それと、もしもの為に余剰戦力を持つのも大切です。」
領主さんは執事に見えるけど、軍師の様だ。クラスチェンジしちゃった?
「そうですか。
では、俺達抜きで考えた場合の戦闘要員はロードさん的には、どう考えますか?」
「主様達を抜きに考えるのでしたら、ナイト・ライダー・ウィザード・エレメントスライムを、各1ずつで十分かと思います。」
単純に考えるなら、200迄は余裕って事になるかな。
「不足の事態が起きても、32名が控えていますのでご安心下さい。」
「そうだな。いざとなれば戦力の追加投入も有りだしな。」
後出しジャンケン最強!
コストを気にせず戦えるのは最高だな!
それに、冷静になると残り32名。
これも単純に考えると、下位の魔物相手なら1600を相手に出来る!
えーっと・・・大きすぎる火力は身を焼くだっけ?灰すら残らないんじゃないか?
・・・・・・気を付けよう。
「そう言えば、聖水って村で作れるの?」
聖水ぶっかければ、簡単に終わりそうだけど。
「残念ながら、聖水の作成は出来ません。
スコラーとリサーチャーの研究では、ポーション等の自然の材料から出来ているものは、材料と思う物を、スライムの体内に一度取り込み作成した後、それを調べる事によって、我々でも作成可能になりました。
しかし聖水の場合は、清き水に祝福を与える事によって出来上がるのです。
残念ながら、私達魔物では清き水を用意出来ても、祝福を与える事が出来ません。」
「ゼロの状態からポーションとか作ってんだから十分凄いけどな!」
落ち込んでいたので、励ましておく。
もしかして、エレメントスライムって色々取り込んだ結果、進化したんじゃないか?
前の世界では、それを実験動物と言う。
………………………深い追求は無しだ。
知識は好きだが、知らなくても良い事だって世の中にはある!
「それじゃぁ、戻ってメンバーの選出と、いざと言う時の為に、他のメンバーにも戦闘準備をさせて置いて。
呼び出すとしたら、そっちの時間で多分3日後か4日後だと思うから」
「畏まりました。」
頭を下げて消えていくロードさんを見て思い付いた。
呼び出すのに、ショートカットって無いのかな?彼らはアプリじゃないから難しいか?
呼び出しにローヤルガーデンを毎回起動するのは面倒なんだよな。
って事で色々弄くった結果。
出来なかった!けど、出来た!
残念ながら、ロードさんをショートカットに入れる事は出来なかった。
しかし戦闘可能なメンバーは、ショートカットに入れる事が出来た。
その他リストに追加されているアイテムも、ショートカット設定は勿論可能。
多分、前にお願いしたアイテムのリストと戦闘可能なメンバーのリスト。それが有ったから、そこに記入されているアイテムとメンバーはショートカット設定可能。と言う事だと思う。
ホウレンソウを徹底させて置いて良かった。
***************
「と、言う訳でここが入口です。」
翌日三人を両肩と頭の上に乗せて、遺跡への道の入口にやって来た。
「何がどうなって、と、言う訳で、ってなったのか分かんないけど、あんたまだ寝惚けてんの?目の前に道なんて無いけど?」
「マスター………そろそろ起きてくれよ。」
「お前らこそちゃんと起きてるか?
見た目に騙されるなんて、マダマダだね!」
「二人共、ご主人様の言うとおりですよ?
この場所には魔法が掛けられています。
幻術で木々が生い茂って見えるようにされていますが、実際には何もありません。」
スイレンが肩から降りて?飛び立って?魔法が掛けられている場所に向かって、両手を前に真っ直ぐ上げる。
「我を阻む幻影よ現に還り蒸散せよ【ディスイリュージョン】」
おぉ!本気の詠唱だ!かっけー!
俺がキラキラ視線をスイレンに送っていると、頬を赤くしながら振り向いた。
「あのっ……そんなに見つめられると、流石に恥ずかしいのですが………」
「あっ、ゴメン……呪文詠唱って初めて見たから、格好良くて見とれてた。」
おや?更に赤くなったぞ?
「そんなに恥ずかしがらなくても、格好良かったぞ。」
「あっ有難う御座います。
ささっ、魔法も解除しましたし、早く行きましょう!」
スイレンらしくないなぁ。何か焦ってる?
「なぁなぁフウライさん達や、俺変なこと言いました?」
「纏めんな!」
フウカが頭頂部にパンチしてくる。
痛くは無いのでスルー。
「あー……気にすんなマスター。放っておけ。」
俺より付き合いの長いライカが放っておけって言うならそうするか。
魔法が解除された道に足を踏み入れ、ずっと奥を見る。
「暗いな」
「暗いね」
「くれーな」
「暗いですね」
全員同じ意見。
昨日も見たけど、本気の真っ暗闇だ。
しかーし!俺には強い味方!五人目の仲間!マイカーが有る!さぁ!車を出して!
「よーし!皆乗れ~!」
「こんな暗闇じゃぁ、ぶつけるよ?」
「フッフッフッ……こいつはそんじょそこらの魔導四輪とは違うんだぜ?お嬢さん。
この車は俺と一緒に渡って来た、チート持ちのドリフターと言っても過言では無い!刮目せよ!
闇夜を導く導となれ!【ライトオン】!(カチッ)」
ただ、ライトスイッチを捻るだけの作業を、ちょっと格好良く言ってみた。
俺だって詠唱してみたいんだもん!
「わぁ!明るくなったよ!」
「スゲー!」
「奥にボンヤリ見えるのが遺跡でしょうか?」
「ん?あーっぽいな。」
ハイビームに切り替えると、この道は正面かな?両脇に柱が建っていて、その奥に建物がボンヤリ見える。
少しも曲がってない道って中々無いんだよね。
高速道路も真っ直ぐに見える場所も、実は緩やかにカーブしてるし。
アクセル全開行きますか!
「いっくぞ~!」
「いけいけー!」
「フーッ!」
「とっ飛ばしすぎです!」
俺とフウカとライカが、テンションアゲアゲ!
スイレンだけは心配そう。
周りの景色が流れる中、最初に異変を感じたのはライカだった。
「おい!あれ何だ?」
指差す方に目を向けると、ソイツは居た。
「何あれ?」
「ゴーストだよ!」
「マジか?!」
「ご主人様!何か無いのですか?!」
こんなに早く出てくるとは思って無かった!
ウィズ位は呼んどくんだった!
ヤバイよ!ヤバイよ!
「ウィンドカッター!」
「!?」
フウカが放った魔法が、一般人A(幽霊)を上下に切った!
「おまっ、急に何して?!」
「良いから!あんたは運転してて!」
「ファイヤーボール!」
今度はライカの魔法が一般人B(幽霊)に当たって、火と一緒に消えていった。
「フウカだけに格好付けさせねーよ!」
アクティブ過ぎるよお前達・・・・・
次は遺跡探索!良いもの有るかなぁ?