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中年一歩手前の異世界放浪記  作者: ぼちぼっち
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クチコミも大切な情報源です。

明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願い致します。

 トッドさんの店(変態の館)に行った翌日、バガルズの街を散策中。

 これは、なんと言うか・・・


「つまんない街だなぁ。」


 いや、街事態は素晴らしい。

 お洒落な街並み、硝子張りの店に街行く人々のハイカラな姿、よくある発展している大きな街だ。

 そぅ。『よくある』発展した街なんだよ。

 異世界感が全く無い!前の世界と同じ街作りしちゃってるんだよ!

 ダメだろぉ~…………もっと異世界感出して行かないと…………せめて、中世感出して!

 まぁ、中世って範囲が広いんだけど。

 こう・・・何て言うか、浪漫ある感じにして欲しかった。

 店も自動ドアだし……それは良いよ?便利だしな?でもさぁ、違うだろ!もっと不便を楽しむって言うか、これじゃない感が凄いある。

 目的の異世界とドリフターの知識が合わさったアイテムも、目を引く物が無い!

 製造行程では、そういった知識が活かされてると思うけど、現代風の服とかちょっとしたアイデア商品とか、どれも見た事あるものばかりだ。

 そりゃあオリジナルの人達からしたら、素晴らしい技術革新だと思うけど、結局目新しさがドリフター的には無いんだよなぁ・・・店頭の商品も一昔前って感じがするし。

 期待してただけに、ショックがデカイな…………



 ***************


「あれ?あの人って」


 門を抜ける時に、入る時審査を担当した青年に見つかったが、堂々と出ていく俺に声を掛けづらい様で、止められる事もなく出てくることが出来た。


「この辺でいいか。」


 バガルズから二時間位歩いた所で、車とフウカ達をリリースして、防御体勢を取る。


「解!放!感!」


 叫びながら、案の定ドロップキックを繰り出すフウカ。


「甘いわっ!」


 翔んできた所を、両腕を交差させて防ぐ。


「もう・・・フウカったらご主人様に向かって何をしてるんだか・・・・」


「アイツもテイムされてるのに、何で態度が変わらないんだ?」


 スイレンが呆れ、ライカは不思議がっている。

 確かに不思議だ。何で態度変わらないんだ?


「恐らくですが、名付けが関係してるのでは無いかしら?

 私達は名前の無い時にテイムされましたが、フウカは名前を戴いてからテイムされています。

 テイムされた時点で、私達よりも一段階上の存在だったと言う事では無いかしら?

 テイムする際も、お互いの同意の上で行ってますし。」


 成程。

 そう言う考えもあるな。

 ただ、テイムする時にお互いの同意が有った点は疑問が残る。

 何てったって、このチビッ子は散々駄々捏ねたからな!

 街に入るのに、頭の上から退こうとしないし、テイムするのに抵抗(レジスト)するなって言っても聞かないし。

 何度も強引にテイムして、やっと成功したからな。


「あたしを閉じ込めて!次やったら許さないんだからね!」


「場合によっては、またやるけど?

 それに、一度テイムに成功したら出し入れ自由だからな?」


「それでも!次やったらたたく!」


「コワイナァ。キヲツケナクチャ。」


 我儘な奴は放って置いて良いだろう。

 そもそも、たたくって何だよ?

 鰹の叩き見たくされるのか?

 怖いなぁ、美味しく戴かれちゃうなぁ。


「ご主人様。

 バガルズでは、何か良い物が手に入りましたか?」


 フウカの拳を掌で受け流していると、スイレンが左の肩に乗ってきた。

 フウカが頭の上なら、スイレンは左肩らしい。

 残る定位置は右肩にライカか?お前ら俺を椅子か乗り物とでも思ってるんじゃないだろうな?


「バガルズは残念な結果だったよ。

 ドリフターによる技術革新は進んでいたけど、目新しい物は一切無かった。

 火の魔石を使ったコンロや風呂、水の魔石を使った上下水道施設、雷の魔石を使ったライトスタンドに、風の魔石を使った扇風機。

 魔石を使って前の世界の物を、再現した商品ばかり。

 オリジナルの人にとっては、便利になってると解るけど、ドリフター的には何年前の技術?って感じ。

 未知の商品との出会いは無かったよ。」


 俺が期待しすぎたのかな?


「それじゃぁ、ここにはもう用事はねぇんだな?とっとと次行こうぜ!」


「で?次はどこ行くの?」


「それはこれから調べる。

 取りあえず、みんな車に乗ってくれ。」


 3人を車に乗せ、俺は運転席でナビの操作をした。

 地図の画面から【周辺施設検索】をタッチする。

 この機能、俺の予想が合ってれば近くの町や村等が一覧で出る筈だ。

 三十秒掛からない位で、予想通り近場から順番にリストアップされて表示された。


 ・ケブル平原

 ・バガルズ

 ・スリーブスの森

 ・スリーブス

 ・タクト森林

 ・タクト遺跡

 ・ハズマ

 ・もっと見る


 ケブル平原は今いる場所だな。

 近場の街はバガルズで、スリーブスの森の先にスリーブスの街がある訳だ。

 ケブル平原を南下すると、タクト森林。

 森林の中に遺跡が在って、タクト森林を南東側に沿って行くと、ハズマが在ると。

 ハズマは街の名前かな?

 もっと見るは、更に広域の検索結果が出るんだろう。それは、取り敢えずいいや。


「ヨシ!次はタクト森林に向かって、遺跡観光をしよう!それでいいか?」


「畏まりました。」

「良いぜ!」

「その前にもう一回たたく!」


 うん。皆オッケーみたいだな。

 フウカはいつまでも根に持つんだろう?放って置こう。



 ***************



 只今、ケブル平原を走行中。

 道、と言って良いのかな?平原の真ん中に地肌が見えている場所が一本通っているけど、流石にその場所を車で爆走するわけには行かないよねぇ。

 そう思って、道から少し離れた所を走行する事にした。


「のどかだねぇ~」

「そうだなぁ~」

「ですねぇ~」


「この平原は魔物被害が出ないように、定期的に警備隊が巡回してるからな~。」


 たまに平原の道を通っている人が、驚いた顔でこっちを見ているが気にしない。


「ねぇ~、あとどれくらいで着くの?」


「夕方にはつくと思うよ~。」


 すっかりまったりモードになっている車内。

 ライカ何て寝ちゃってるよ。

 そんな車内の雰囲気が続き、気付けば三人共夢の中。


「別に良いんだけどね・・・」


 揺れに気遣いながら、走ること数時間。目的の森に着いた。

 車から降りて、入れそうな所を探す。


「地図だと、この辺に道があるはずなんだけど、何処だ?」


 スマホの地図を頼りにウロウロ。


「うーん。ここの筈だ。

 けど、木が生い茂ってる。可笑しいな~?地図が古いのか?都合よく更新来ないかな?って地図情報は数ヶ月前の筈だろ?そんなに早く木って成長するのか?

 ・・・・・・試しにちょっと・・・失礼しま~す。」


 恐る恐る道があるはずの場所に踏み出してみる。


「おっ?!幻・・・か?」


 何か知らんが抜けられた!でも、この先って行って良いのかな?真っ暗何ですけど?鬱蒼とした森じゃ無くガチで真っ暗!道は広いかな?車で通れると思うけど、地図だとこの道を真っ直ぐ行くと、遺跡だな。


「一回戻るか。

 子供の車内放置ダメ!絶対!」


 車に戻ると三人共まだ夢の中・・・・・・寝る子は育つって言うけど、この子等は成長するのだろうか?希望としては、二十代半ば位が俺的にはストライク何だが?勿論性格も其なりに成長する事を希望したい。

 何て、馬鹿な事を考えながら三人を起こして、車を仕舞う。


「いやぁ、車って乗ってると眠くなるな!」

「申し訳ありませんご主人様。」

「よく寝た~。」


「気にしないで良いよ。

 走行中の騒音や振動は胎内環境に近くて、安心して眠りやすい環境なんだよ。」


 特に小さな子供はな。

 そこまで言うと面倒臭くなるから、言わんけど。


「目が覚めたなら、結界を張ってくれるか?

 今日はここで一晩明かすからな。」


「オッケー」


 フウカの返事を皮切りに、ライカとスイレンも結界を張ってくれた。


「さてと、遺跡に関して何か知ってる事はあるか?」


「知らなーい」

「わかんねー」


 フウカとライカはやっぱり知らないか。

 興味無さそうだもんなー。


「この遺跡かは解りませんが、昔この地域には土の神殿が在ったそうです。

 数百年前は巡礼者が立ち寄る場所として有名だったのですが、いつの間にか廃れてしまい、今では魔物の棲みかになっている場所が在ると、聞いた事があります。」


 やっぱり頼りになるのは、スイレンだなぁ。

 今から目指すのは、元土の神殿かもしれないのか。


「遺跡観光のつもりが、魔物の巣窟かもしれないのか?」


「近くに遺跡が無いのでしたら、恐らくは………」


「解った。

 俺は明日の準備をするから、皆は先に寝てて良いよ。」


 三人共さっきまで寝てたのに、直ぐに寝息が聞こえてきた。

 寝付き良すぎ!


「む~・・・もう寝れないよ~・・・」


「?・・・フウカ?」


「・・・・・・すぴー・・・」


 どんな寝言だよ!寝てるのに、寝てないつもりか?!不思議な奴だ。

 さてと、俺は明日の準備しなくちゃいけないな。

 本来ならば町で買い物等をするが、俺は町を持ち歩いてるからな。何処でも準備が出来るのだ!

 町を持ち歩くって凄い表現だなぁ。

 準備の為にローヤルガーデンを起動する、前に地図で気になってた事を調べてみよう。

 この【MAP】と言うアプリは、大手地図アプリを再現している。

 ならば!【あの機能】があるはず。

 地図上からタクト遺跡をタップすると、案の定出てきました。

 ・タクト遺跡

 ・遺跡

 ・三十分

 名称・種類・時間が表示された。

 更にタップすると、

 ・概要

 ・クチコミ

 ・写真

 クチコミと写真まであるとは驚きだが・・・

 それで、概要は?


【タクト遺跡】

 約八百年前に建てられた遺跡。

 当時はタクト神殿と言う名で、巡礼場所として三百年程利用されていたが、『秘境の神殿っぽくしたい!』と初代の神官が推し進めた、周辺の緑化事業が神殿を飲み込み、巡礼者が寄り付かなくなった。

 今では、下位の悪魔やゴースト系、アンデット系の魔物の巣窟になっている。


 初代神官何してんの・・・

 馬鹿なの?緑化は良いことだと思うが、管理はちゃんとしろよ!神殿が幽霊屋敷に変わってんじゃねぇか!対極の存在になってるよ!


【クチコミ】

 ・巡礼者

 ・八百年前

 ・星4.5

 平原に出来た神殿の話を聞いて、行って来ました。

 新しく建てられただけあって、とっても綺麗でした。

 ただ、平原にポツンと建ってるのが少し寂しい感じなので、少し評価を下げてます。


 ・旅好き

 ・七百五十年前

 ・星5

 各地を旅してる時に、たまたま見つけたので寄ってみた。

 木に囲まれた素晴らしい場所で、私のような旅人にも、温かいスープやパンを出してくれて、寝床まで提供してくれました。

 近くに来たら、また寄ろうと思います。


 ・村人A

 ・七百五十年前

 ・星5

 村の食料が無くなった時に、援助して頂きました。


 ・エルフな私

 ・六百年

 ・星3

 とても素敵な場所があると聞いて来てみたら、森の中にあって虫だらけ。

 神殿は綺麗にされてるけど、神官の数が少なく感じたわ。


 ・やれば出来る俺

 ・五百四十年前

 ・星2

 森の探索中にたまたま見つけた神殿。

 魔物との戦闘に疲れていたので、一晩お邪魔する事にした。

 広い神殿に神官が一人。

 これでは管理が行き届かないのも当然だ。

 正直汚い。


 ・雑用係

 ・四百年前

 ・星1

 お偉いさんがここを調べて来いと言って来た。

 馬鹿じゃねぇの?こんな所に誰も居ねぇの解りきってんだろ!案の定誰も居ねぇ。無駄足だったよ!


 ・廃墟スキー

 ・二百十三年前

 ・星1

 良い感じの廃墟が在ると聞いて来たけど、見付からない。次こそ見つける!

 見付けたら、再評価します!


 ・冒険者

 ・九十三年前

 ・星1

 調査依頼でやって来たが、これ無理だろ。

 神殿に続く道は魔法で隠されてるし、辿り着いてもクレリックか大量の聖水が必要だ。


 ・何がしたかった?

 ・二十一年前

 ・星1

 何故こんな場所に建っていたのかが謎だ。

 深い森の中では、廃れるのも時間の問題だと何故気付かなかったのか?

 遺跡に続く道も整備されておらず、この遺跡を目的地にするには不便過ぎる!

 もう少し調べたいが、魔物が多過ぎて断念するしかない。


 ・ジョーンズ

 ・十五年前

 ・星3

 手付かずの遺跡が在ると聞いてやって来た。

 無事に発見出来たので財宝を探す。

 魔物が多く、全てを探索する事は出来なかったが、中々の実入りだ。

 これで次の遺跡調査に向かう事が出来る


 ・・・・・・匿名だと結構色々書かれちゃうよね。

 段々廃れていく様子が伝わったよ。

 評価が高いのは最初の百年位で、後は下がって行くだけ。

 これって、実際に行った人の意識が反映されていると思って良いのかな?ネット技術は流石にドリフターでも、再現出来て無いだろうしな。

 直近のジョーンズさんのクチコミが気になる。

 財宝が在ると聞いて黙っている訳にはいかない!

 確りと準備しなくては!

 あっ!写真見るの忘れてた!


【写真】

 ・写真を追加


 ・・・だけかいっ!

 そらそうだよな………写真を撮る技術があるか怪しいし、この項目要らなくね?俺しか追加出来ないって、誰得?俺得?

 得しねぇよっ!

 はぁ………次はロードさんと相談しながら、明日の準備だな。

今年も頑張る!

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