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中年一歩手前の異世界放浪記  作者: ぼちぼっち
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体力の無さを痛感しました。

最近になってやっと、評価やアクセスに付いて解って来ました。

ランキングとかは、運営が集計したのを発表している物だと思ってた。自分でも見れるんですね!

評価をしていただいた方。

ブックマークをしていただいた方。

いつも見ていただいてる方。

有難うございます。

これからも宜しくお願い致します。

 目覚めとは、とても大切な物だ。

 起き方によってその日の気分が変化する。

 愛する人に優しく起こして貰ったり、小鳥の囀ずりに耳を傾けながら眼を覚ます。

 朝日を眩しく思うも、爽やかな空気に包まれ起きるのも良いだろう。

 そんな目覚めをした日は、1日気分が良い。

 しかし、漫画のようにフライパンをけたたましく鳴らし、起こされる朝。

 腹部に飛び乗られて起こされる朝。

 そんな起こされ方をした日には、1日中不機嫌になっても可笑しく無い。


「だからな、寝てる人を起こす時は優しく起こしてやるべきなんだよ。」


 今朝、意識の覚醒と共に感じた全身の痛み。

 フウカとライカが、寝ていた俺をソファから落としたのが原因だ。

 昨夜、シノブさんをベッドに運んだ後、自分が寝る場所を探そうと思ったが、部屋に在ったソファに倒れ込んで、直ぐに意識が飛んでいた。

 思いの外疲れていたようで、夢すら見ずにグッスリ寝てしまった。

 床で目が覚めたとき、寝相が悪くて落ちたのかとも思ったが、腹を抱えて笑っている二人と、二人の後ろからスイレンが申し訳無さそうにこちらを覗いて入るのが目に入った。

『止めようとしたのですが、そんな暇も無く落としてしまったので。』

 スイレンは止めようとしたが、二人は静止も聞かずに暴挙に及んだ。

 その為、只今二人に説教の最中なのだが。


「お前ら聞いてるのか?」


 正座をさせて聞く姿勢は取らせているが、二人とも真面目に聞いてるのか?


「ごめんなさぁい」

「わりぃな」


 うん。聞いてないな。

 お仕置きは別に考えておこう。


「朝から賑やかですねぇ」


「あっ、おはよう御座います。

 シノブさん。」

「おっはー」

「よう!」

「おはよう御座います。」


 シノブさんが寝床から出て来たので、俺・フウカ・ライカ・スイレンが挨拶すると微笑みながら、『おはよう御座います』とシノブさんも挨拶してくれた。

 うん。朝の挨拶は大事だな。


「所で、賑やかなのは良いんですが、フウカ・ライカ・スイレンは出発の準備は出来たんですか?」


 時間は有限。

 ドリフターの寿命はわからないけど、早く行動出来るのは良いことだ。

 な?三人共。


「えーっと」

「まだだな!」

「申し訳御座いません。」


「えっ?フウカとライカはわかるけど、スイレンまでまだなのか?!」


「ちょっとーあたし達はわかるけどってどう言う事?」


 そのままの意味ですよ、おちびさん?


「あの~その事でご主人様に相談が有りまして、朝早くから伺わせて頂きました。」


「ん?出発する日をずらすとかか?」


「いえ、ゴブリンの村で行った様に私達の家もテイムして頂きたいんです。」


「そうすれば面倒くさく無いし!」

「だよなぁ!だいたい準備するってったって、何持っていけばいいのかわかんねぇし!」


「で、す、か、らっ!昨日から言ってるではないですか。

 必要な物だけを準備すれば良いんです!」


「だからそれがわかんねぇのっ!」


「はぁ・・・二人がこの様な状況ですので・・・

 お願いできますか?」


 そっか、俺がテイムすれば荷造りの面倒が減るんだな。


「出来るか分かんないけど、その方が楽だな。」


「さっすが~。あんたならそう言ってくれると思ってたよ!」

「話が分かるなマスター!」


 あんまり調子に乗るなよチビッ子達よ?


「はぁ・・・案内してくれるか?」



 ****************



 大樹の外周を階段が螺旋状にのびている。

 そこを今登って居る最中だが・・・エレベーターは無いのか?頂上まで昇るの大変ですよこれ。

 スイレンが案内してくれたのは20メートル位昇った場所。

 一番上じゃなくて良かった。

 少し広めの踊り場が有り、そこから大人一人が余裕を持って歩くことが出来る枝が何本も伸びている。

 道のようになっている枝の歩道の足下からは、細い枝が伸び色々な場所に小さな家が何棟か不規則に建っていた。


「はぁ……それ……で、はぁ…………どこ…が…………はぁはぁ…………おま……えらの………ふぅ………家?」


「マスター大丈夫か?」


 これ、きっつ!

 確かマンションとかは1階3メートル位って聞いたから、6~7階分昇ったのか?

 エレベーターとかエスカレーターって便利だな。


「気に……するな……………はぁ。

 少し……休めば…………問題……無い!」


「あ、シュウト君。

 お疲れ様です。

 歩いて登ってきたんですか?すごいですねぇ。」


 声がした方を向くとシノブさんが、光る魔法陣の中から出てきた。


「・・・・・あの、それ、何、ですか?」


 予想は出来る。

 その予想が当たってると思う。

 でも、当たって欲しくない。


「?、この魔法陣ですか?

 転移の魔法陣ですよ。

 これで好きな階層迄行けるんです。」


 おぅ……それ早く知りたかった……(バタッ)…………


「あれ?シュウト君?大丈夫ですかぁ?こんなとこで寝ると風邪引きますよぅ?もしも~し。シュウトく~ん」


 あぁ…遠くでシノブさんの声が聞こえる。

 少し……休んでも良いよね?

 俺…………頑張った……よね?


「オラァ!」


「へぶっ!」


 ライカさん御乱心!

 倒れた人にドロップキックは止めてくれ……


「いぎなし何なのっ!」


「寝たら風邪引くって言ってたから、寝ないように?」


「『寝ないように?』じゃねぇ!

 疲れてんだ!寝ないから少し休ませてくれ。」


 はぁ。こいつらはホント自由だな。

 自由行動は俺の特技なのに……

 しかし、考えて見れば住んでるとは言っても、シノブさんが階段で行き来してる訳無いよな。

 これだけ登ってきても、中腹迄すら行ってないのに。

 前の世界の考えで、エレベーター無いかな?ってドアを探したけど、異世界なんだから転移装置みたいな物が無いか素直にシノブさんに聞けば良かった。


「さてと、改めて聞くがお前らの家はどこだ?」


 少し休んで体力回復。


「あそこがあたしん家で、あっちがライカ。

 その向こうにスイレンの家だよ。」


 フウカが指差しながら、皆の家の場所を教えてくれた。

 それでは失礼して、『取得(テイム)』実行。

 問題無く成功。


『ほぅ。面白いアイテムを持っておるな。』


「「「「エル?!」」」」

「エルさん?!」


 不意に掛けられた声に、皆が揃って声を挙げる。

 皆のグランマ、エルさんの登場だ。

 エルさんは姿が見えないので、声を掛けられるとビックリするんだよな。


『それは何じゃ?』


「えーっと、俺がこの世界に来たときに持っていた物で、元々はスマートフォンと言って、遠くに居る人と会話が出来たり、仕事の効率化やスケジュールを管理出来る物なんですが・・・・・」


 俺には携帯ゲーム機だったけどな!


「今は、それらの機能は使えなくなってしまっているんですが、代わりに鑑定とアイテムボックスと地図。

 あと、今の様に色々な物を回収。

 テイムと言うスキルが今は使えるんです」


『それは、便利じゃのぅ。

 皆の家が消えたのもそのテイムとやらか?』


「はい。」


『そーか。

 では準備は整った様じゃな。

 ならばシノブ、案内してやってくれ。』


 ん?この場合は見送ってやれじゃないのか?


「はーい。

 シュウト君こっちに来て下さい。」


「三人共行くぞ~。」


 シノブさんが手招きで魔法陣の上に俺を呼ぶ。

 俺が皆を呼んで、俺達が魔法陣の上に来ると、それを確認したシノブさんが、魔法陣を起動した。

 魔法陣が光だし、眩しさに目を閉じると浮遊感が襲ってきた。


「つきましたよ~。」


 目を開けると倉庫なのかな?木箱や樽やアイテム等が、床や壁際の棚に乱雑に置かれていた。


「ここは?」


「倉庫です。

 皆が作った物や、拾ってきた物を保管してるんです。」


『シノブ。

 あれを持ってきてくれるか?』


 無言で頷くとシノブさんが、部屋の片隅に立て掛けられていた、俺の身長位。

 大体180cm位の両手剣を持ってきた。


『その剣をお主に授けよう。

 大切な娘達を預けるんじゃからな、それなりの装備が必要じゃ。

 なーに、遠慮は入らん。』


 これだよこれ!やっぱり最初はこういったイベントが必須だよね!

 伝説の武器ゲット~!みたいな感じでさ?

 シノブさんから両手剣を受け取る。

 シンプルな白い鞘に納められた大きな剣。

 鞘から半身程抜くと、綺麗な銀色の刀身が光を反射して虹色に輝いている。


「綺麗………」


 スイレンが溜息をするように囁いた。

 その気持ち、良く分かる。

 シンプルな銀色の刀身ながらも、光の当たり具合によって顔を変える。

 美術品として飾っていても良いぐらいに美しい。

 しかし、これは何製何だ?もし銀製だったら脆いよな?銀はモース硬度が鉄の半分位だった筈だ。

 流石に直ぐに折れてしまうような物は渡さないと思うけど。


『それは、精霊銀と言う物で出来ておる。

 高位の大精霊にのみ生み出すことが出来る希少な金属で、使い込んで行けば使用者専用の武器として成長する武器じゃ。』


 キター!成長する武器!

 ロマンですね~。

 最近は『日本人なら刀だろ!』って風習が在るが、使用者と共に成長する武器が一番ロマンだろ?

 いや~

 タマンナイネ!

 最高です!

 が・・・・・・・


「大変有難い事ですが、遠慮させて戴きます。」


『何と?!

 先程も言うたが、遠慮は入らんのじゃぞ?

 何故じゃ?』


「いや~、こんなでかい武器使え無いっす」


「「「「『あ~………』」」」」


 おい!皆してその反応は失礼じゃないかい?

 良く考えても見ろ!

 身の丈程有る武器を使うって相当大変だぞ?

 カッコ付けて半分だけ抜いて刀身を確めてるけど、本当は半分しか抜く事が出来ないんだぞ?

 鞘から出すのだってどうやるんだよ?

 そもそも俺の武器は弓矢と短剣だぞ?


『すまんな、武器の適性は考えてはおらんかった。』

「あんたじゃこれは扱えないわね。」

「シュウト君には大きすぎますねぇ。」

「似合わねぇしな!」

「申し訳御座いませんが、何も言えません。」


 素敵アイテムゲットイベントが、一転俺の能力不足が浮き彫りになるイベントだったよ………


『ならば、此処に有る物で好きな物を持って行くが良い。』


 それは有難い。

 しかし、量が多過ぎて何があるのかわからない。


「ありがとう御座います。

 因みに、お奨めとか有りますか?

 量が多過ぎて何があるのか分からないんですよ。」


『フム。

 ならば目を閉じ集中し、思うままに手に取るが良い。

 それがお主に必要な物じゃ。』


 目を閉じ・・・集中して・・・俺に必要な物・・・・・・

 自然に足が動き出し、手に取った物は・・・


「何ですかこれ?」


 手にしていたのは、金属製の筒にベルトが付いたアイテムだった。


『また、面白い物を選んだのぅ。

 それは、【精霊の矢筒】と言って、魔力を送り込むと矢がその矢筒の中に出来上がるのじゃ。

 それも精霊銀で出来ておっての、お主が成長すれば、矢の性能が上がり、魔力も少なくて済むようになる。

 うむ。お主にピッタリじゃな!』


 これも成長する武具なのか。

 さっきの両手剣に比べると地味だけど、矢の購入をしなくて良くなるのは良いな。


「有り難く頂戴致します。」


 早速装備して魔力を込めてみると、矢筒の中に12本の矢が出来上がった。

 魔力で補充出来るから、実質は魔力が続く限り無限だから気にしなくても良いな。

 何よりこの装備、右腰当たりに開口部分が来ているから使いやすそうだ。

 弓使いは矢筒を背中に背負ってるイメージだけど、背中に背負ってたら、体の硬い俺では取り出すのに一苦労だったよ。


「そっちの方が似合うじゃん!」


 フウカのお墨付きも頂いた所で……


「それでは、そろそろ……」


『気を付けて行くんじゃぞ。』


「はい。色々と有り難う御座います。」


「皆も気を付けてね~。」


「行って来まーす」

「行って来るぜ!」

「行って参ります。」


 俺達はエルさんとしのぶさんに見送られながら、【妖精の大樹】を後にした。

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