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中指 立てたら  作者: 福島崇史
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バカなの?

アカン…

完全に奴のペースや…

始まって未だ5分程しか経ってへんけど、圧されっぱなしで俺の見せ場は皆無やないけ…

普通、主人公補正でちょっとしたチート能力とかあるやろぅよ!

チートも無い…

ハーレムも無い…

そういうとこ!ほんまにそういうとこやぞっ!!そんなんやから、いつまで経っても〝なろう〟の底辺から抜けられへんねんっ!このクソ作者っ!

(うるせぇよ、ああうるせぇよ、うるせぇよ

詠み人 作者)

そんな愚痴が頭を駆け巡る中、アモーンの奴が両手で〝T〟の形を作りよった。


〝?〟

キョトンとする俺に…


「ちょっとタンマや…」

そう言ってアモーンがロープに凭れかかった。


「タンマってお前…せっかくダウン奪っといてこのタイミングでか?攻め込むチャンスやろぅよ…」


「ちょっと気になる事があってな…」


「気になる事?」


「勇…1つ訊くけどよ、なんでガチを挑んで来たんや?いや…同時にデビューする他の連中に手の内を見せたく無いってのは解るし、その為に俺を相手に選んだっちゅうのも理解しとる…

でもそれなら普段通りのスパーリングでええはずや。やのにデビュー戦も近いこの時期に怪我のリスクも省みず、なんでガチ勝負を挑んで来た?それがどうにも気になってな…その答え、よければ聞かせてくれや」


探るような視線…

そこには俺が答えざるを得んような、有無を言わせへん力があった。

ま、そりゃ気になって当然やわな…

意図せず溜め息を吐き出してた俺。

答える事への覚悟…みたいな物やったんやと思う。


「なかなか鋭いね…お前。

ならお望み通り教えてやるよ…答えは単純明快、俺達同期の中でお前が1番強ぇからさ♪」


「知ってる」


「あ、そ」


「俺が聞きてぇのはそんなわかり切った事やなくて、なんでスパーじゃアカンかったんやって事」


「うん…なんか言いぐさはムカつくけど、確かに答えになって無かったわな…(わり)(わり)ぃ」


「で、答えは?」


「お前…モリスエが陰で色々やってる事知ってっか?」


「いや…てか、質問を質問で返すってどういう事やねんっ!」


「まぁ聞けって!アイツ、入門当時から目指してる事があってな…それが空手とルチャの融合…アイツは〝コマンド・ルチャ・リブレ〟とかって名付けとったわ」


「ほぅ…」


「で、それの完成に向けて色々試しとるらしくてな、今度のデビュー戦でも使ってくるつもりみたいなんや」


「デビュー戦でって…基本技以外は使ったらアカンのとちゃうんけっ!?」


「そうや。それでもアイツは、禁を破ってまで俺を相手に使って来る。そこまでの覚悟をしてるってんなら、俺も応えん訳にゃいかんやろ?」


「……」


「せやけど俺にはオリジナルの技ってのがあらへん。〝村雨〟ってのがあるにはあるけど、所詮は変形のラリアットや…俺が欲しいのはもっとこう…なんて言うんかな…そうっ!代名詞になる様な必殺技やねんっ!」


「必殺技て…中二病が過ぎんか?その村雨ってネーミングも、恥ずかしげも無く言える君は凄く凄いよ。うん…凄く恥ずかしくて聞いてるこっちが恥ずかしいけども…」


「凄く凄いとか、恥ずかしくて恥ずかしいとか、文法無視して喋るんやめてくれるか?ただでさえ底辺の作者が余計アホに思われるやんけ…」


「作者…?え、何んの話や…?」


「いや…今のは忘れてくれ。それより話を戻すで…そこでっ!1番強いお前とヒリつく勝負をする事で、ギリギリの緊張感の中から自分だけの技を見つけ出したいんやっ!!」


「……」


アレ…?何、その冷やかな反応…

ここは

〝そういう事なら力になるぜっ!〟

とか

〝俺の身体で良ければ存分に使ってくれっ!〟

とか

〝手伝うには手伝うが…荒っぽくなるぜ?〟

とか言うとこちゃいますのん?


「あのよぅ…思うんやけど、それならそれ目的でスパーリングした方が、断然に効率良くね?

最初(はな)から言ってくれてたら色々試させてやれた訳やし…」


「あ…」


「あ…じゃねえよ。バカなの?」


「いや…追い詰められたギリギリの状況から咄嗟に技が閃くっ!とか…あるやんっ!?」


「少年ジャ○プの読み過ぎじゃね?バカなの?」


「ンググッ…」


「ンググッ…じゃねえよバカなの?

そもそもお前が求めてるオリジナル技っての、具体的なビジョンはあるんかいや?そして…バカなの?」


「お、おう…打撃は〝村雨〟があるから、今回は固め技・関節技を編み出したいと思っとるんやけど…」


これを聞いたアモーンが首を振りながら深い息を吐いた。


「え、何?お前…寝技のオリジナル技を編み出したいのに、立ち技で俺と勝負するとかほざいた訳っ!?」


「あ…」


「だから、あ…じゃねえっつうのっ!!

バカなの?バカなの?大事な事やから2回言った上に…バカなんやろっ!いやお前はバカやっ!

紛う事なき大バカやっ!猛省しろっ!!」


「ンヌヌ…黙って聞いてりゃバカバカバカバカ好き勝手言いやがって!しかも最初は疑問やったのを最後は断言しやがって!!」


「お?お?何っ?逆ギレ?この期に及んで?

これだけ言ってもまだ俺と()るつもり?

え…何?やっぱバカ?」


「も~~~~許さねぇっ!!お日柄も善きこの日に、必殺技も生み出してお前もブチのめすっ!!」


「上等じゃボケッ!やれるもんならやってみぃやっ!!」


ゴリラvsバカ

五十歩百歩の…

いや…目クソ鼻クソの闘い、第2ラウンド開始!





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