少年ジャ○プからのエロ○ピア
状況が呑み込めず立ち尽くす俺に
「勇っ!呆けとらんと答えんかいっ!!闘るんか闘らへんのかっ!?」
柔の尖った声が容赦無く刺さった…
ついでとばかり、俺の答えを待つ皆の視線までがブスブス刺さる…
思いもよらず穴だらけにされた俺は、考えも纏まらへんままで口を開いてた。
「いや、ちょ、ちょっと待ってくれや…いきなりそない言われてもよ…」
「勇っ!お前、いつでも闘う準備は出来とるんとちゃうんかっ!?
〝いつ何時、誰の挑戦でも受ける〟がモットーとちゃうんかっ!?
その為にいつでも黒のショートパンツ履いとるんやろがっ!?
ここで受けへんかったら伝統のストロングスタイルとやらが泣くぞっ!?」
ぐぬっ…コイツ…痛い所を突きよる…
それを言われたら俺が引き下がられへんのを知っての事やな…
そうかよ…そこまで言うなら…
「わあったわいっ!なら答えたるっ!!
ただしその前に1つ教えてくれや…?」
「…ま、ええやろ。何や?」
「柔よ…あん時の約束…覚えとるか?」
「……勿論や」
「ならっ!なら…何でや?何で今…なんや?」
「………」
「黙っとらんと何とか言うたれやっ!!
お前にとってあの約束はそないに軽いもんやったんかいっ!?
俺はなぁ…俺にはなぁ…とてつもなく重い、絶対に果たすべき約束やってんぞっ!!
それを…それを…」
ここで柔がボリボリとドレッドヘアを掻きながら
「あのよぅ勇…お前こそあの時の約束、ほんまに覚えとるんか?」
そんな事を口走りよった。
これにムカッと来た俺
「当たり前田のキャプチュードやっちゅうねんっ!!覚えとるからこそ怒っとるんやろがいっ!!覚えとるからこそ悲しいんやろがぃ…アホタレが…」
「いや、お前は勘違いして覚えとる…なんせ絹ごし豆腐くらい皺の無い脳ミソやからのぅ♪
ええか勇、あの時の事をよ~く思い出せって…」
だ、誰が絹ごし豆腐やねんっ!
てか…脳ミソって皺が無いと困るの?
え、何で?
そんな事を考えてたら…
〝今の君の困惑を消し去ってあげよう。一般的に脳の皺…厳密には脳溝と言うのだが、これが多いほど学習能力が優れていると言われて来た。しかしだっ!これは迷信に過ぎぬっ!!
脳溝とは成長の過程において、限られたスペースで極力大きくなろうとし折り畳まれた結果なのだ。
因みにイルカは人間の脳よりも皺が多いと聞く…もし皺の数が知能に直結するならば、今頃地球の覇権はイルカが握っていたという事になる。
さあ、悩みは解決したか?ならば下らぬ事を考えずに、その時の約束とやらを事細かに思い出す事に集中したまえっ!では、アデュー〟
お、応…アデュー…
って!今の正大の声なんですけどっ!?
直接、頭に声が届いたんですけどっ!?
何?ニュータイプなの…?
時が見えるの…?
恐る恐る正大の方へ目を向けると…
親指を立ててウインクなんぞ返して来やがった…
はい、確定…近くテレビ局に奴の事を売ろうと決心しつつも、俺は〝約束〟の事を思い出していた。
いつか俺がプロレスラーとしてチャンピオンになる。柔もMMAで何らかのタイトルを手にする。
そしてその時はチャンピオン同士で闘り合おうっ!
ってのが約束の大まかな内容やねんけど…はて?アイツはこれの何を思い出せって言うてるんやろか…?
「勇よ…その面じゃあ俺の言うてる意味が解ってないみたいやな…まぁ期待はして無かったけどな、ハハハ♪」
何わろてんねんっ!!
と言い返したかったけど、それを飲み込んで次の言葉を黙って待った。
「ええか?
あの時の俺達は将来チャンピオン同士で勝負しようっ!って約束を交わしただけで、それまで勝負はお預けやとか、そうなる迄は一切手を合わせないなんて約束はしとらんのよ…解る?」
「あ…」
「じゃあお得意の〝あ…〟が出た所で返事も聞かせて貰えるかな?」
「い、いや、ちょう待てって!確かにそんな事細かには決めて無かったかも知れんけどやな、そこは暗黙の了解ですやんっ!?
チャンピオン同士で闘おうって約束の時点で
〝それまで誰にも負けんなよ!?〟
〝フッお前こそ…な〟的なニュアンスも含まれますやん?
少年ジャ○プとか読んで来なかったタイプかな君は?」
「勇よ…なら問おう。
ある男女が将来を約束したとしよう。
男と女が将来を約束する…つまりは結婚して子孫を残すという事だ。
だがこの2人は結婚するまで…約束が果たされるまでエッチをしないだろうか?
んな訳ないよねぇ~?
バンバンするよねぇ~?
若い2人なら昼夜も場所も問わないよねぇ~?
だが…お前の理屈ならば〝やらない〟って事になるのだが?」
な、なんちゅう喩えや…
人が少年誌で喩えとるのに、青年誌…いや成人誌で喩え返すなや…
そしてちょっと納得させられてる自分がまた悔しい…
「勇よ、俺はな…今のお前の力を知っておきたいし、俺の力もお前に知ってて欲しいんや。
約束は当然守るっ!でもその前に1回くらい兄弟喧嘩も悪くないやろ?」
これを聞いて俺は、無駄な力がフッと消えた。
「せやな…確かに悪くない…な」
「なら…受けてくれるな?」
「ああっ!受けたるっ!!ただし手加減も恨みっこも無しのシュートやぞっ!!」
叫びながら俺は、柔に右手の中指を立てて見せていた。




