それぞれの思惑
グッ…!な…なんや…?
何をされた……?
衝撃が体内に残されたような……
さ、さっきの打撃の攻防もそうや…
こっちの攻めは遮られ、即、反撃が来る……
待てよ?知っとるぞ…俺はコレを知っとるぞ!
へへへ♪そうか…そうかよ柔……
お前もあの頃のお前や無いって訳やな…
嬉しいやないかいっ!
なら俺も褌締め直さんとな!!
でも…その前に……
少し…休ませて……くれ…な…
「ダウ〜ンッ!!」
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
へ、へへへ……どないや勇?
何とかポイント奪い返したで!
せやけどお前の事や、どうせコレで終わりにはしてくれへんのやろ?
なら待っとるからよ…カウントギリギリまでゆっくり休め。
んで、続きを楽しもうや♪
ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー
「勇っ!大丈夫か!?意識はあるかっ!?」
「し、心配すんなや不破…生きとるわいな……」
「チッ!それは残念やわ」
「へッ!やっぱ性格悪ぃなオメェ…」
「喋らんでええ。先ずは呼吸を整える事に集中せぇ」
「お、お前が喋らせる様な事を言うからやんけ…」
「とにかく深呼吸せぇ、んで今から言う事には喋らず首を縦か横に振って返事せぇ…ええな?」
“コクリ”
「今アイツが使った技が何か想像ついとるか?」
“コクリ”
「そうか、ならそれでええ。対処法は我で考えろ」
“……コクリ”
「なんや…今の間は?不安なんか?」
“コクリッ!!”
「食い気味で頷いたな…まぁ気持ちは解るけどな。お前の想像通り、アイツが使ったんは流行りの截拳道や。しかも寸勁も体得済みと来たもんや。
俺から言える事は1つやな…あの技はもう喰らうな。以上!!」
“……”
「なんや不服そうやの?お!?そろそろ立たなマズいぞ。まっ!頑張れやっ!!」
“な、なんちゅうトレーナーや…せやけど何とかダメージは回復出来た。さぁて…どう攻めっかな…?”
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勇よ…トレーナーの俺が言うのもアレやが…正直ヤバいと思っとる。
お前が有利やったはずのロストポイントルールのラウンドやが、結局は上を行かれた…
もし奴が寸勁を下方向にも使えるとしたら、マウントポジション取られた時点で致命的や…
いや、むしろそれを狙って来ると考えるのが自然やろな。
このラウンド、残り30秒…
何とか凌いで戻って来い!
そしたらインターバル中に秘策を授けたるっ!!
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ギリギリまで休んで立ちよったか…
そうや、それでええ。
ダメージもそれ程は残ってへんやろ?
試合時間は残り30秒足らず…か。
残念やけど、このラウンドで仕留めるんは無理っぽいな。
その代わり…次のMMAラウンドで地獄を見せたるわいな!
ただ…セコンドのあの男…確か不破とか言ったか?
正直、奴の存在は気になるな…
あの男、路上なら間違いなく俺や勇よりも強い!
それだけにエゲツない技を知ってそうやしな…
まぁええ!考えとってもしゃあない!!
勇は何かを教わって直々(すぐすぐ)に使えるほど器用な男や無いしな。
なんたって文明に触れて間が無いお猿さんやもんな♪
あ、いや…ゴリラやったな、間違えてスマン!
さぁて…残り30秒、楽しみまひょ♪
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あの截拳道の動きに慣れへん限り、打撃は不利やな…
かと言って寝技はもっと不利…詰んだ。
いやっ!まだ策はある!…はず…
とにかくこのラウンドを凌ぎ切ってコーナーに戻るんや!
アテにゃ出来んけど、不破をブン殴ってでも対処法を絞り出させる!!
悔しいが、今はアイツの知識と技量に頼らざるをえん…
まぁ…教わった事を俺が直ぐに使えるかは疑問やけど…な。
ん?なんか今、柔の奴に謝られた様な気がしたけど…
気のせいか…?
とにかく…やっ!残り30秒、何が何でも凌いだるっ!!
「試合再開!ファイッ!!」




