表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中指 立てたら  作者: 福島崇史
241/248

Higher than him!

アレ?えっ…?俺……倒れたん…か?

何や?何をもろたんや?

えっと…確か… 

カウンター狙いの蹴りを空振りさせて…

そこへ逆カウンターのタックルを…狙ったはず……

ってぇ…鼻の辺がズキズキしよる…

鉄臭い匂いがこびりついとるし……

て事は…正面から何か喰ろたんか?

パンチ?いや、タックル狙いの俺は中腰やったはず…

そこにパンチ当てれる程アイツは器用やあらへん。

となると…膝…か?

えぇいっ!考えとってもしゃあない!

とりあえず立たな!

てか…こんだけ考えられるっちゅう事は冷静やな…俺…

ダウンカウントは?今…5か…


手…よしっ動く!

足…動くけど感覚は鈍い…マジィな効いとるやんけ…

ゆっくり休んどる場合や無いな…

急がなカウントアウトしてまうぞコリャ…

先ずはうつ伏せなって…と

元気な腕の力で上体起こして…からの…

フンガァ!

踏ん張らんかいっ!俺の両足っ!!


ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー


「よっしゃよっしゃ上出来や♪」


ニュートラルコーナーに立つ俺に、リング下から不破が上機嫌な声を掛けて来た。


「やたら繰り返し練習させられた技が、こうも綺麗に決まるとは思わんかったわ…」


「ヘヘン♪どうよ?俺の指導力は」


ドヤ顔がムカつくけど、確かにコイツの指導通りに動いて、見事にダウンを奪ったのは事実や…

悔しいけどそこは認めなしゃあないやろな。


「へいへい…凄い凄い。で…こっからどないするよ?柔の奴はこの程度で終わらへんぞ。立った後の戦略は?」


この問いに不破が不敵な笑みを浮かべた。

そして鼻の穴をおっ広げながら言った答えは…


「知らんっ!!」


「……えっと…はい?聞き間違いかな?知らんって聞こえたんやけども…」


「お♪そない聞こえたんなら耳はええみたいやのぅ!頭は悪いクセに♪」


「お前…ざっけんなよこの野郎!何ヶ月も偉そうにトレーナーヅラしといて、作戦がコレ1つってか!?

完全なる給料ドロボーやんけっ!!」


すると不破の顔面からスッと表情が消えた。

気持ち悪い程の無表情…それを俺に向けたまま静かに口を開く。


「なんやお前?1から10まで俺に丸投げ…1から10まで俺の言う通りに動いてアイツに勝ちたいんか?それでお前が…不惑勇が暮石柔を越えた事になるんか?それでええんなら事細かに指示を出したるぞ?」


「ングッ……」


「どうするよ…アン?」


「……悪かった。確かにお前の言う通りや…」


「俺はお前が優位に立つ切っ掛けと、お前の優れてる部分を活かすヒントを与えた…こっからはお前の闘いや。

思うようにヤッて来い!プロレスラー不惑勇のポテンシャルを見せてみぃっ!心配すんな…セコンドとしての指示は出す。せやけど戦法、技のセレクトは自分で考えぇ!」


「解った…俺の力で柔を越えたる!」


セコンドの鈴本さんと新木さんも無言で頷いてくれた。

なら…あとは心残りの無い闘いをするだけや!

俺の力で…俺のやり方で…アイツよりも高みへっ!!


「お?そろそろお友達が立ちそうやぞ…見てみぃアレ、生まれたての山羊みたいやんけ…間違いない!効いとるぞ!このラウンドで決めて来いっ!!」


柔はロープを掴みながら必死に立とうとしてた。

ようやく立ち上がり、ファイティングポーズを取った時にはカウント9やった。

不破の言う通り、間違いなくダメージは残っとる。

せやけど…俺は見逃してない…

柔が嫌ぁな笑顔を貼りつかせとった事を…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ