表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中指 立てたら  作者: 福島崇史
227/248

ロングホーン

ゴングが鳴り、グッと腰を落として構えた荒神選手。

それに対しロデオ選手が変な行動を取り始めたんや。

何て言うたらええんかなぁ…

棒立ちのまま、右腕の肘から上腕部分の間を擦る様な仕草?

当然ながら荒神の方は怪訝な顔しとったわ。

せやけどそれも一瞬だけ!

そりゃそうよな、相手は重心も落とさず訳のわからん行動しとるんやもの。組みに行くには格好の的やがな。

で、荒神が動いた!

首に組み付く動きを一瞬見せ、それをフェイントにして一気に身を沈める!

真の狙いは下半身へのタックルや!!


ところが!

そこでロデオが信じられへん事をやりよった!!

荒神が身を沈めるより速く身を沈め、そこから浮き上がる様に右腕を振り上げたんや!!

カチ上げ式のラリアット!!

肘の内側が綺麗に荒神の喉元にメリ込む!

荒神が天を仰ぎ、数cm身体が浮いた…

そして何の抵抗も見せないまま後頭部からマットに落ちる。

んでもってそのままピクリとも動かへん。


驚いたのはその後のロデオの行動や…

右手を高々と突上げながら「ウィィィ〜〜ッ!!」って叫びよった!

よく見たら右手の人差し指と小指だけが立って、影絵のキツネみたいな形になっとる…

間違いあらへん!アレはスタン・ハンセンのロングホーン!!

て事は、最初に見せた訳のわからん動き、アレは腕のサポーターをズラす動きを真似てたんか!!

ク〜ッ!芸が細かいやんけ♪……って言うてる場合か!!

コレは組技限定マッチ、全ての打撃は禁止やろがいっ!!

案の定、直ぐ様ゴングが打ち鳴らされ、ソッコーでロデオに反則負けが言い渡された。

会場はブーイングの嵐や…


ところがロデオは悪びれる様子も見せず、セコンドを通じてマイクを要求。

そして渡されたマイクを握ると…


「ぅおらぁっ!どないやぁ荒神ぃ!?あん時のワシと同じ、望まん反則勝ちの気分はよぅ!ええっ!?ワシャ最初ハナから勝負する気なんざぁ無かったからのぅ!ほんまエエ気分やでぇ♪」


意識は戻っとるもんの、荒神は未だ虚ろな目…

ロデオの言葉も耳に入ってるんか怪しいもんや。

それでもお構いなしでロデオが続ける。


「コレでワシ等は“おあいこ“の1勝1敗じゃ!ワレが決着ケリつけたいっちゅうんやったら、もっかい受けたるわい!そん時こそは反則無しで正々堂々とブツかろやんけっ!どないじゃっ!?……………………

聞いとんのかいっ!何とか言うたれや!おおっ!?」


いやいや…無茶言うなや。

アンタのせいで意識朦朧としてんねんその人は…

荒神陣営は完全スルーで荒神を担架に乗せる。

んでもってそのままリングを去って行く。


「ちょ…待…ちょ〜待たんかいっ!返事わいやっ!?ええ!独り言みたいでワシがアホみたいやんけっ!!」


ロデオの叫びは、返事も無いまま虚しく消えて行く…

その上レフリーにマイクを取り上げられ、オモチャを取り上げられた子供みたいな顔でリング上にポツン…

更に自陣のトレーナーらしき人に思いっきりビンタされて半ベソまでかいとるやんけ。

その後トレーナーに散々怒鳴られ、引っ叩かれ、髪をワシ掴みにされ引っ張られながら退場して行ったわ。


え…何、この寸劇…?

まぁ…おもろかったけども…





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ