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中指 立てたら  作者: 福島崇史
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ベロンベロンでパンナコッタ

ま!何やかんやありながらも不破との初練習が始まった。そそぐちゃんも練習着に着替えて、グングニルの女性会員と汗を流し始めとる。


俺も先ずはウォーミングアップをとエアロバイクに跨がる。とっくにアップを終わらせとる不破も、俺に付き合って並びで漕いでくれた。

その間に今後の練習プランを話し合おうって事になり…


「なぁ不破…1つだけ最初に言うておきたいんやけどな」


「おぅ…ご希望には出来るだけ応えたいからのぅ、何でも遠慮無ぅ言うてけつかれや!」


「俺はあくまでプロレスラーや…殺人術を覚える気はあらへん…それだけは覚えといてくれ」


「なぁんや!そんな事かいや!それなら心配せんでも大丈夫や♪お前みたいな甘ちゃんが使いこなせる程、殺人術ってのは軽ぅない!最初ハナから教えるつもりはあらへんがな♪」


「グッ…!なんやそない言われると、悔しゅうて覚えたろかって気になるな…」


「ただ…」


「ただ?…ただってアレか!?ウルトラマンに出て来たA・B・Cって3パターンある宇宙人!!」


「……それはダダな!クソみたいなボケは要らんから聞けや!!」


「ク、クソ…あと2〜3個は被せてボケるつもりやったのに…で?ただ何や?」


「俺は今風の柔術の技術は使えん…【ベロンベロン】やら【パンナコッタ】やら流行りの技は教えてやれんって事や…相手の暮石は柔術ベースの格闘家やろ?せやからその点だけは申し訳なくてなぁ…」


「不破…率直に言わせて貰うが…」


「応!何でも言うてくれ!」


「お前…何しに来たの?」


「んな!?」


「だってそうやろ!殺人術も柔術も教えへんって!ハッキリ言うて用無しやんけ!」


「よ、用…無し…お前それは流石に言い過ぎちゃうかっ!?」


「あ!あとアレなっ!」


「なんやっ!?」


「お前がさっき言うた【ベロンベロン】と【パンナコッタ】……【ベリンボロ】と【オモプラッタ】なっ!!」


「ぐ…ぐうぅ…ぅぅ……プシュ〜…〜〜…」


殺人術の使い手からリアルな“ぐうの音”と“空気の漏れる音”を聞けた所で耳障りな電子音が鳴る。

エアロバイクを始める時にかけたアラームや。

俺と不破はエアロバイクを降り、ストレッチをする為にマットの敷いてあるスペースに移動…

その間も不破の口からは“プシュ〜”って音が漏れ続けとるし、表情も心なしか虚ろに見える。

………もしかしてあの音、空気や無くて魂が漏れとる音ちゃうやろか?

そんな事を考えた時…


「お!?早速来てくれたんやな…不破くん♪」


声の主はグングニル代表であり、俺の憧れの人でもある“太陽の如き男”こと福田大作さんやった。


「へ…?ちょ、大作さん?…来てくれたんやなって…どういう事ですのん?」


「ん?なんやぁ聞いてへんのか?俺が頼んで来て貰ったんやで♪」


「へ!?」


俺の口から変な声が出たのと入れ違いに、不破の口から魂の漏れる音はピタリと止んどったんや…

ほんでもって…訳がわからん俺の前で大作さんと不破はニヤニヤわろてる…


「ちょ…え?待って!…何が何やら…」


「まぁまぁ落ち着きぃな、今からちゃんと説明するからさ♪」


そう言って笑った“太陽”は、輝きを増しながら俺の肩をポンポンと叩いたんや…



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