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中指 立てたら  作者: 福島崇史
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ガチャプ

大見得は切ったものの…や……

正攻法で行ったところで通じへんのは目に見えとる。

かと言って、当たり前の奇襲を仕掛けてもアカン…そう〝当たり前の〟じゃ…な。

うん!やっぱアレやな!アレしか無いわ!

迷っててもしゃあない…

俺は頭に浮かんでた、ある作戦を実行する決心をしたんや。


「どした?来ないアルか?」


「へっ!今行こうと……思ってたところやっ!!」


俺は叫ぶと、両腕をグルグル回しながらジグザグに陳へ突進した。

そう、癇癪起こした子供みたいにやっ!

途端に会場がザワついたんがわかった。

背後からはセコンドの鈴本さんも叫んどる…


「アホかっ!そんな無茶苦茶な攻めが通用する相手かっ!!」


ちゃう!それはちゃうで鈴本さん!

無茶苦茶な攻めやからエエんや。

無茶苦茶なら無茶苦茶な程…なっ!


「なんのつもりネ?」


陳がグルグルパンチを捌きながら冷静に訊いて来よる…

そこで今度はリングに寝転んでゴロゴロと転がってやった。

更に会場がザワつく…

まぁ…そのザワつきの殆んどはヤジやねんけどな。


「おふざけに付き合ってる暇は無いネッ!」


陳もイラついたんやろな…叫びながら転がる俺を踏みつけに来よったわ。

まぁ実際には、寝た相手に打撃を当てたら反則やから、当てるつもりの無い〝威嚇〟やねんけども。

せやけど…ここにチャンスが落ちとった♪

俺は奴の踏みつけに合わせてヘッドスプリングで起き上がり、その勢いのままボディアタックで飛びついた!するとこれがビンゴ!!

ボディアタック自体は直撃せんかったものの…

広げとった両手の内、左腕が上手く陳の首に絡まったんや。

ほんでその勢いのまま、陳を後頭部からマットに叩きつけるっ!!

結果的に〝フライングラリアット〟と〝フライングネックブリーカードロップ〟の複合技になった訳や♪


「ガアッ!」


呻き声をあげ、今度は陳がリングの上で転がった。いや…正解には後頭部を抱えてのたうち回っとるんやけども…な♪


「ダウ~~ンッ!!」


レフリーがダウンを宣告し、ニュートラルコーナーに控えた俺に鈴本さんが声を掛けて来た。


「なんや?一体…何がどないなってんねん?」


せやから俺は目一杯のドヤ顔でこない答えたんや


「ガチャプレイっすよ♪」


「ガチャ…プレイ?」


「そう!ガチャプレイっす。格闘技や武道にはセオリーの動きってのがあるでしょ?だからこそそういう物に対する対処法ってのも存在する。まして相手は中国数千年の歴史を持った中国武術…その辺は練りに練られとるはず。だから俺はその〝(ことわり)〟に無い動きをしたんすよ♪」


「それをガチャプレイって言うんか?」


「いや…まぁ…ガチャプレイってのは格闘ゲームで使う言葉なんすけどね…格闘ゲームでも上手い奴が素人のメチャクチャな動きに対応出来ん事ってのがチョクチョクあるんすわ…

そんな素人が、レバーを滅茶苦茶にガチャガチャ動かすだけのプレイを〝ガチャプレイ〟略して〝ガチャプ〟とかって呼ぶんすよ」


「ほぇ~…」


そんな会話をしてる間に、カウント9で陳が立ち上がった。

いや…カウント5の時点でリング上に座ってたから、カウント9ギリギリまで休んでたってのが正解やろけど…な。

レフリーに手招きされリング中央に戻ると、陳の奴が気持ち悪い程の笑顔で俺を見とった。

ただし…目だけは笑っとらんで、鈍い光を俺にズブズブ突き刺して来とったんやけど…な。


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