表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
中指 立てたら  作者: 福島崇史
182/248

重大発表

大作さんがリングで語った内容…それは……


「皆様にご報告をする前に、2名のスペシャルゲストに登場して頂きましょう!」


ここで流れた曲…それは確かに聴き覚えのある曲やった。

間違いない!人気の格闘技イベント〝バレット〟のメインテーマ曲や!!

俺は全身に〝サブイボ〟が立つのを感じたんや!


「皆さん御存知のバレット無差別級王者!チコ・マルチネス選手!そして…日本が誇るトップMMAファイター!暮石柔選手の入場ですっ!!」


〝や、柔…っ!?〟


別々の花道から2人が同時に入場をして来る…

せやけど俺の視線は、当然ながら青コーナー側の柔へ釘付けになっとった。

会場全体が爆ぜたみたいな大歓声の中、笑顔で両手を振りながら歩を進める男…

それは確かに俺の親友であり最大のライバル、暮石柔その男やった。

両者がリングに上がり、笑顔で握手と抱擁を交わす…


〝柔…柔…柔……柔っ!…柔ぁっ!!〟


俺は何度もその名を口の中で転がした…



「それでは改めてご説明申し上げます!この度、我々グングニルが運営する〝武人(もののふ)〟は、〝バレット〟と提携する事を決定致しましたっ!こちらの2名は再来月にタイトルマッチを行うのですが……半年後!その勝者と、この武人(もののふ)トーナメント優勝者で統一戦を行いますっ!!」


大爆音の歓声が沸き上がったはずやけど、俺の耳には入って来ぇへん…

とにかく驚きと感動で視界が歪んだ…

比喩や無く、実際にパイプ椅子から転げ落ちそうになって、慌てて身体を支えたんやから…


「それでは両者に今後の意気込みを語って頂きましょう!先ずはチコ・マルチネス選手から…」


大作さんからマイクを受け取ったマルチネス、人懐っこい笑顔を携えて四方へ手を振っとる。

そして…


「コンチワ!ニポン ノ ヤツラ!! アイシチャッテルゼィ! オレガ カツ! オマエラ オウエン スル ヨロシッ!!」


な、なんちゅう日本語や…

大作さんも苦笑いしとるやんけ…


「ハハハ…なかなか面白い挨拶ありがとう…では…次は暮石選手にマイクを預けましょう!」


受け取った柔は目を閉じて俯いた。

そして…


「このトーナメントには、学生の時からの俺の親友が…最高の親友にして最大のライバルが出場してます……」


ここで一旦言葉を切った柔。

静まりかえる会場が次の言葉を待っとる。

すると柔は目を見開きながら顔を上げ……


「勇ぅ~~っっ!!約束を果たす時が来たでっ!!俺は絶~っ対に勝ぁ~つっ!せやからお前も絶~っ対に優勝せぇっ!!」


早口にそう叫んだんや。

俺は今すぐリングへ駆け上がりたい衝動を必死で抑え込んだ。

そして無意識に呟いとったんや…


「ったり前じゃ…待っとれよ…柔…」


こうして重大発表と休憩時間が終わり、いよいよ俺の試合の時間になった。

Aブロック代表を決める一戦!

相手はシード出場の中国武術使い、(ちん) 椎掛(ついけい)や!!

強敵には違いあらへんけど、こんな所で躓いとられへんっ!

半年後、柔の前に立つ為に〝頂〟まで一気に駆け登ったるでっ!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ