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中指 立てたら  作者: 福島崇史
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侍vsサイボーグ

Cブロックのシード選手、コマンドサンボのアレクサンダー・ロシモフが登場した時、俺は何故か背筋がゾッとしたんや…

赤のロングスパッツに赤いオープンフィンガーグローブ、コスチュームは特に変わった所はあらへん。

せやけど剥き出しになっとる筋肉のつき方が異様やった…

俺も仕事柄、ゴリゴリのマッチョは腐る程に見て来とる。

でもコイツのそれはマッチョの類いやあらへんかったんや。


一見すると細身にすら見える…せやけど必要な筋肉はキッチリついとる…かと言って黒人みたいなバネのある身体って訳や無い。

ん~っ…説明が難しいな……

せやっ!子供の頃に図鑑で見た原始人の身体つきに似てるわっ!!

無駄な肉は限界まで削ぎ落とされて、必要な部分だけはちゃんと発達しとる。

現役の軍人らしいけど、訓練の過程であんな身体が出来上がったんやろか?

そう言えば…同じく軍人やったリングスロシアのヴォルク・ハンや、K-1グランプリ初代チャンピオンのブランコ・シカティックも似た様な身体しとったもんな…


それとこの男、純粋に顔が怖いんよ。

短く刈り上げられた金髪の下には〝厳つい〟とか〝悪そう〟って怖さの顔や無くて、何て言うんかなぁ…そのぅ………

うん!体温や感情が感じられへん怖さやな!!

機械的と言うか、爬虫類的と言うか…

表情1つ変えんと人を殺せそうな感じや。

先に入場を済ませとる日本拳法の舘が、青コーナーから静かながらも鋭い視線をぶつけとるんやけど、それすらも無表情で受け流しとる。

なんか…侍vsサイボーグって感じやわ。

おっ!?レフリーのボディチェックが始まった、これが終わればゴングやな。

勝った方がティラノのアホと当たる…

あのアホ、ちゃんと観とるかいなぁ…?


・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


〝こやつ…先程から(それがし)の気を、そよ風が如く受け流しておる…出来るな〟


〝キサマラ ニホンジン ハ コマンドサンボ ヲ サンボ ノ アリュウ ト オモッテイルヨウダガ……ソレガ オオキナ カンチガイダト オシエテヤロウ〟


・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


「Cブロック準決勝!ゴング間近ですが、睨み合っている!両者一歩も退かぬとばかりに睨み合っているぞ~っ!!」


「武道家然としている舘選手に対し、アレクサンダー選手は得体の知れないモンスターの様で不気味ですね…俺ならアイツとは闘りたくねぇなぁ」


「おっと?大作さんが思わず本音を漏らしたところで両者コーナーに戻った!さあっ!ゴングが鳴りました!!先ずはどちらから動くのかぁ~っ!?」


・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


〝我々とて関節技は使うが、やはりサンビスト相手では分が悪い…先ずは細かい打撃で距離を保たなくては…な〟


〝ドウシタ…ニホンノ サムライヨ? ボコク ノ ナヲ カンシタ マーシャルアーツ ヲ ツカウンダロ? マサカ オジケヅイタ ナンテコト ハ ナカロウナ?〟


〝クッ!こやつ…先程からガードを下げておる…(それがし)を誘っておるのか?そうまでされては……打たん訳にも行かぬなっ!!〟


〝ЖелаННЬΙЙ(ようこそ)♪〟


・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


「お~~っと~っ!いきなりの右ぃ~っ!舘が身体ごと飛び込む様な突きを放ったぁぁ~~っ!!」


「舘選手…早まったな……」


「へ?」


・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・ー・


流石は大作さんや…

ほんまアホな事したな…舘…

奴の飛び込み突き…身体を開いてそれをかわしたアレクサンダーが、がら空きになった舘の右サイドに張り付いた。

そして軍隊格闘技の怖さを見せつける様な技を繰り出したんや…



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