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中指 立てたら  作者: 福島崇史
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花弁舞う

Cブロック第2試合…

日本拳法の(たて) (とおる)と、ボクシングの名倉(なぐら) (れん)の一戦。


日本拳法…1932年に発生した総合格闘技や。

1980年代になってようやく〝打・投・極〟の概念が定着した総合格闘技やけど、それより50年も前からその概念を実行してたっちゅうのは素直に凄い事やと思う。

しかも当時から防具を着用しての直接打撃制(フルコンタクト)…開祖の澤山(さわやま) 宗海(むねおみ)先生は、間違い無く先見の明の持ち主や。

それだけに流派・分派の問題を抱えとるのは悲しい事やけど…な


舘は全日本拳法個人選手権を2連覇中…バリバリのチャンピオンや。

よく連盟が出場を許可したもんやで。

いや…それだけの自信があるから送り出したんかもな。

本人も自信が顔に溢れ出とるわ。

道着や無くて裸にショートタイツでの出場は意外やったけど、これは本人が…


〝あんな分厚い生地の道着では防具を着けて出る様なもの…それはフェアじゃ無い〟


そう言って拒んだらしい。

身長185cm前後…体重も90kgはありそうやな。

ガチガチに筋肉をつけた上に、うっすらと脂肪をコーティングしとる。並のプロレスラーよりええ身体しとるわ。

坊主頭やけど顔立ちが整っとるから〝泥臭い〟イメージはあらへん…ほんま男前は得やのぅ…なんや腹立つわ!


対する名倉…

見るからに〝元・ヤンキー〟や。

目立ちたい…

喧嘩で使いたい…

そんな(よこしま)な理由でボクシングを始めたのが一目でわかる。

一応プロライセンスは持ってるらしいけど、戦績はお世辞にもええとは言えん…なんせ3戦0勝やからな。

しかも2戦は反則での敗けらしい。

残りの1戦は不戦敗。

ある意味、KOされた事は無いって部分は評価に値するかも知れんけど…

まぁそんな問題児やからこそ、あの厳しいボクシング連盟が出場を許可したんかも…な。

戦績が戦績やから、例え敗けてもボクシングの名誉には関わらんやろぅし。

しかし…今時、金髪の狼ヘアーって…

こんな絵に描いた様なヤンキーが、未だ生き残ってた事に衝撃受けるわ…ハハハ。

お?ボディチェックも終わっていよいよ始まるみたいやな…


ゴングと同時に飛び出したのは名倉やった。

しかもボクサーの名倉が初手に選んだ技が右ローキック…やと?

日本拳法はルールでローキックが認められて無い。だからか舘はモロに左太ももに喰らってしもた。

まぁ…まさかボクサーがローで来るとは思って無かったやろうし、虚を突かれたってのもあるわな。

しかし名倉…日本拳法にローキックが無い事を知っててあの攻めを?いや…まさかな。


ここで舘が反撃に出る!

腹部を狙っての槍みたいな前蹴り!

名倉がクロスガードで防いだけど、これで顔面のガードがガラ空きに。

この機を逃さず舘が突きの連打!

ところが!!

当たらない…ヒラヒラと舞う花弁の如く、フットワークとダッキングを駆使して名倉がかわしたんや。

その時、俺は直感でわかった…


〝コ、コイツ…ただのヤンキーや無いぞ…!〟



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