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中指 立てたら  作者: 福島崇史
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流れを止める事ダムの如し

コールとボディチェックが終わり、いよいよ始まる直前…緊張感の高まる一瞬や。

睨み合う2人の間で、レフリーのゴリラ新井さんが何やら注意事項を喋ってはる。

まぁヒールの2人に言ったところでって話やけどな。

と、思ったら早速や!

新井レフリーがまだ喋っとる途中やのに、ティラノがトリケラの腹へとキックをブチ込みよった!

キックや言うても格闘技のソレや無く、シンプルに爪先を叩き込むプロレス式の蹴り…

喰らったトリケラの身体が〝くの字〟に折れた!

更にティラノが、下がったトリケラの頭を脇に抱える!

ほんでそのまま〝DDT〟に繋いだっ!!

脳天からマットに落とされ、トリケラが頭を抱えながらのたうち回ったところでようやくゴングが鳴らされた。


ティラノの勢いはまだまだ止まらへん!

倒れてるトリケラにストンピングを4~5発蹴り込むと、髪を掴んで無理矢理引き摺り起こし、そのままロープへとブン投げた!

そんで自らも逆側のロープに走り勢いをつけると、はね返って来たトリケラの胸元へフライングヘッドバット!

前に練習に付き合った時、この技を戦時中の人間魚雷に(なぞら)えて〝回天〟て名付けとったけど…回天が〝帰り道〟の無い特攻兵器で、使った人間は戦死する事をアイツは多分知らへんのやろな…


又もリングに横たわるトリケラを、余裕の笑顔で見下ろすティラノ。

まだ序盤やっちゅうのに、勝負をかけるかの様にコーナーに駆け上がった!

しかも客席側に身体を向けてるって事は、ムーンサルト系の技を狙っとるんか?

てか…貴方…そんなん出来るんすか?

そんな事を思っとったらあのアホ、悠長な事に客席に向かってアピールを始めよったんや…

当然この隙を見逃すトリケラや無い。

起き上がると後を追う様に自らもコーナーに駆け上がる!

客席側を向いとるティラノはそれに気付いとらへん!

沸く歓声で異変に気付いた時には後の祭り…

トリケラの腕ががっちりと腰をホールドしとった。


「へ?」


間抜けな声を発したティラノの身体がフワリと浮き上がる!

そして…たっぷりと滞空時間をかけてリングに後頭部から叩きつけられた…というより落とされたってのがシックリ来るかな…

そう…トリケラが放ったんは、最上段からの〝雪崩式投げっぱなしジャーマン〟や…


せっかく攻め込んでたティラノ優勢の流れやけど、その流れはこの1発で見事に()き止められてしもたんや…


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