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中指 立てたら  作者: 福島崇史
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電話の内容?トランキーロ あっせんなよ

ティラノとアモーンのせいで悪くなった空気の中、道場備え付けの黒電話がジリリン♪ジリリン♪と自己主張を続ける。


今日は六甲アイランドにある本社で会議があり、コーチ陣は全員それに出席しとる。

それに伴って先輩レスラーの皆さんは、ここぞとばかりに練習サボって遊びに行ってしもうてる。

つまり電話に出れるんは、真面目に残って練習しとる俺達だけ…

で…結局、黒電話の自己主張に応えたのは、1番近くにおった俺と相成った。


「はい、もしもし…セレクト道場ですが…」


「お、その声は不惑か?俺達がおらんでもちゃんと真面目に練習やっとるみたいやな!感心感心♪」


声の主はコーチの1人で、格闘技系の技術を担当してくれとる久見伏(くみふせ) (つよし)さんやった。

元・修斗のランカーにして、一時期は〝寝技日本一〟とまで呼ばれたお人や。


「お疲れ様ですっ!しかし…どないしはったんです?道場に電話なんて珍しいですやん…」


「ん?あぁ…会議も午前の部が終わって休憩入ったんでな、午前中に決まった若武者杯の1試合目を教えたろと思って電話したんや」


〝ドクンッ!〟

聞いた瞬間、胸の中で何かが暴れた。


「はい…はい…わかりました。皆にも伝えておきます。はい…お疲れ様です」


俺は聞いた内容を電話の横にあるメモ帳に記し、挨拶を済ませて受話器を置いた。

振り返ると、ティラノとアモーンもさっきまでの揉め事が嘘みたいに、皆と一緒の輪に入ってこっちを興味津々で見つめとった。


「誰からっスか?」


「久見伏コーチや」

モリスエの問い掛けにそっけなく答える。


「珍しいな…何か大事な用件か?」

切れ者らしく、トリケラが顎に手をやりながら言う。


「まぁ大事っちゃ大事やな…特に俺達にとってはな」


「勿体ぶらんと(はよ)ぅ教えろや!」


「せやせやっ!!」


ティラノとアモーンのバカ2人が、地団駄を踏む勢いで急かして来る。

えっと…君達2人は今の今まで喧嘩してませんでしたっけ?と思いつつも…


「トランキーロ (あっせ)んなよ…」


内藤哲也よろしく、そう前置きしてから電話の内容を皆に伝える事に。


「え~…お日柄も良きこの日に、この様な重大発表を出来る事、(わたくし)と致しましても冥利に尽きると申しますか…非常~に喜ばしく思う次第でして…えぇ♪えぇ♪」


「前置きはええねんっ!(はよ)ぅ言わんかいっアホがっ!!」


「ほんまやぞっ!何が〝えぇ♪えぇ♪〟や、このボケッ!」


「そうっスよっ!何スか、その胡散臭い口調はっ!?キショいっスよ…実際」


「お前…バカなのにこんな時だけは〝冥利〟だの〝次第〟だのと難し目の言葉が出て来るのな…呆れを通り越して少し感心すらしてしまったわ…バカなのに。いや、バカなのに。大事な事だから繰り返させて貰うが、本っ当バカなのに」


ングググ…なんちゅう言われ様や…

アホ・ボケ・キショい・バカ…

罵詈雑言の嵐…暴言の百鬼夜行…

よっしゃ!そっちがその気やったら俺にも考えがあるっ!!


「お前らっ!ええのんか?そんな態度取って!?よ~く考えろ~…

この極秘情報を伝える伝えへんは俺の気分次第なんやでぇ?ウヒヒヒヒヒ♪」


「ほほぅ…ならお前は俺達4人を相手に、1人でどないか出来る自信があるっちゅう訳やな…?」


指をポキポキ鳴らしながらティラノが前に出た。

その後ろに少~しの距離をあけ、残りの3人も横1列で並んどる。


〝こ、これは!北斗神拳究極奥義…無想転生っ!?〟


そんなアホな事を考えとる間に、ティラノが後ろの連中に向かって顎をクイッと動かした。

それに無言で頷いた3人。

え…何?その連帯感…いつの間にそんな統制が?

怯んだ俺はアッと言う間に囲まれ、3方向から輪を縮められとった…

先ずはアモーンのアホが、アマレス仕込みの完璧なタックルで俺をテイクダウン!

倒れた俺の腕を、トリケラがすかさず腕十字に極める!

足をバタつかせて抵抗を試みるも、その足すらモリスエが四の字固めに!


「ンガァ~~~ッッ!!」


もはや叫ぶ事くらいしか抵抗が出来へん俺に、ティラノの奴が勝ち誇った顔で見下ろしながら言う。


「貴様に最後のチャンスをやろう…素直に話すというのなら、その責め苦から直ぐに解放してやろうではないか…ん~?どうするね?」


口調まで変わって、もう完全に悪の組織の幹部ですやん…

ならば!正義の味方である俺は断じて屈する訳にはいかんっ!!断じてだっ!!


「ケッ!言ってろタコッ!ザコが何人寄って(たか)ろうが、俺は絶対に屈っしへんどっ!!」


言った刹那、ティラノがパチンッと指を鳴らした。それを合図にアモーンがマウントポジションへ。そこへ最後の命令を下す悪の幹部…


「やれ…」


と、同時に始まったのは地獄の様な責めやった…

アモーンが全身を…

トリケラが脇の下を…

モリスエが内腿を…

一斉にくすぐり出したんや…


「ギャア~~~ッッ!無理無理無理無理っ!!言いますっ!言いますぅ~~っっ!!!」


あっさり屈しました。

10秒もちませんでした。

なんか…さぁせん…

……………

そんな訳で次期シリーズから始まり、約半年間続く新人による総当りリーグ戦〝若武者杯〟

その1戦目のカードはティラノvsモリスエに決定した。

デスマッチ路線に進み、反則行為も躊躇しないティラノと、正統派マスクマン〝マスク・ド・モリスエ〟として〝コマンド・ルチャ〟の完成を目指すモリスエ…

一体どんな試合になるのか?

そもそも噛み合うのか?

全く想像もつかへんけど、もしかしたらとんでも無いもんが生まれるやも知れん可能性は感じる。

なんかオラ、ワクワクして来たぞ♪

オメェらもゼッテェ観てくれよなっ!


…なんや?この終わり方…

北○の拳やらドラ○ンボールをネタに出すんは危険過ぎるやろ…

やいっ!クソ作者っ!!誠意を込めて謝れっ!!


〝絶対に屈さない〟(クソ作者 談)


いや…そこは屈せよ…




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