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中指 立てたら  作者: 福島崇史
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コラコラ問答

同期全員のデビュー戦も無事に終わり、俺達は毎日の様に前座の試合をこなしとる。

そんな中、俺達若手にとっての大イベント…

〝若武者杯〟の開幕が近付いて来た。

若武者杯とは何ぞや?ってか?

それは俺達に初めて与えられる出世レース!

同期5人による総当たりのリーグ戦やっ!!

まぁ簡単に言うたら〝新人王戦〟みたいなもんやな。

これに優勝すればいち早く先輩方との試合に絡んで行ける様になるし、頭1つ抜きん出る事は間違いあらへん!

とは言えや…アモーンの奴はこないだのデビュー戦が評価されて、格闘技系の団体からのオファーが絶えへん…既に頭1つ抜きん出てしもてる感が半端無い。

グヌヌ…悔しいけどしゃあないわなぁ…

なんせ空手の無差別級世界王者をデビュー戦で破ったんやから。

お?噂をすれば(なん)とやら…人気者がおでましや。


「なんや寝坊か?遅かったやないかアモーン!」


「やあやあ頑張っとるかね?下々の諸君♪」


んぐっ…このアホ、先輩やコーチ陣が留守なんをええ事に調子こきやがって…

ティラノの奴も癪に触ったんやろな、尖った声を飛ばしよったわ。


「オイッ!コラッ!!少しばかり注目されたから言うて、チィ~とばかし調子乗り過ぎちゃうか!?

1つ言うといたるが…お前が格闘家として評価されようがハッキリ言うて知った事っちゃあらへん。なんせ俺達ゃ〝プロレスラー〟なんでなっ!プロレスで評価されてナンボじゃいっ!!」


これでアモーンの奴にスイッチが入った…

〝カチンッ〟て音が聴こえたもの。


「あぁっ!?なんか言ったか三下!全然聴こえねぇよっ!!」


「上等だぁこの野郎…」


2人がノシノシと近寄り、キスせんばかりに顔をくっ付けて睨み合っとる。

せやけどエライもんで、互いにまだ手は出してない。ここでヤリ合ったらどっちも無傷じゃあ済まへん事を解っとるんやな。

まぁゴリラ同士にしては賢明な判断や。


「んじゃコラッ!」


「何コラッ!」


「誰に言うとんじゃタコ!コラッ!」


「ワレ以外に誰がおるんじゃボケ!コラッ!」


ここで見かねたトリケラが口を挟んだ。

かと言って止めに入った訳や無く、ダンベルでアームカールをしながら呆れ口調で…


「ようよう…いい加減にしろよなお前ら…それじゃまるで橋本・長州のコラコラ問答じゃないかよ。本気でヤリ合う気なら外でやれ外で。ただし若武者杯には出場出来なくなる事を覚悟した上で…な」


「チッ!」


「ケッ!」


諭すような口調にムカついた様子ながら、2人が互いに背を向けた。

え?モリスエはどうしてたんかって?

アイツは〝我、関せず〟って感じで黙々とストレッチしとったわ…賢いというか狡いというか…

まぁ(なん)にせよ、トリケラのお陰で大事(おおごと)にはならずに済んだ。

で、ようやくアモーンがトレーニングを始めたタイミングで、道場に備え付けの電話が鳴った。


俺達の若武者杯、その初戦カード決定を告げる電話が…

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