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命の先にあったもの(仮)  作者: 星風
冒険者編
4/5

3話_離別そして再開

ドラゴンの初撃を俺は飛んで交わした。

俺がいた場所に、炎が踊る。

そのドラゴンの放つ炎は、すでに多数の犠牲を出していた。


また襲いくる炎をよける。


ドラゴン種といえば、最強種として有名だ。

前世知識だから、この世界では知らないが、手強いのは間違えない。


俺たちは、炎を躱しつつ肉薄する。

そして、俺の相棒、、、、ただの鉄の剣だが、そいつで切り付けるのだった。


こいつとの遭遇は、突然やってきたものだ。

普通にエンカウントするわけがない。

偶然としては、出来過ぎている感も否めない。


村で最後の夜を過ごした俺たちだったが、

翌朝は早かった。

日の出とともに出発、そして途中の森の中で、野営をしていた。


レムリアックまでは馬で二日かかる。

二日目のまだ、明るいうちに町に入りたかったため、早朝の出発となったのだ。


その一日目の行程を終え、俺たちは休むため、野営の準備をし、たき火を囲んでいた。

近くの木では、馬2頭が草を食んでいた。


明日が別れ、それを惜しみ、会話に花が咲く。

この半年で、俺の語学力も進歩していた。

念のため、俺も念話の魔法は使えるが、最初にリンクするために口づけというのが問題で、

ターニャ以外とはリンクしていない。

申し訳なく、ラッドに謝ったのも良い思い出だ。


そんな止どめも無く、半年間の話をする俺たち。

何の前触れもなく、、、、いや、遠くに馬車の走る音が聞こえて数分後、それは起こったのだ。


そこに奴はやってきた。

トレインした、猛烈なスピードで爆走する馬車の後ろを追って。

羽ばたき、空を舞いながら。


そのまま行ってくれと隠れた俺たちだったが、希望通りにならないもので、

俺たちの野営場所のすぐ先で、馬車は横転した。

たき火やテントが原因ではない。

まだこちらには到達していない。



馬車に引っ張らられるように現れたドラゴンだったが、そいつは、かなりの強敵であった。

俺たちは、陰から様子を見ていた。


壊れた馬車から飛び降りた男たち、

ドラゴン相手に善戦はしているが、風向きが悪い。

ラッドが、支援を申し出た。

俺はうなずき、飛び出してかけてゆく。


しかし、後100メートルというところで、馬車の護衛がドラゴンの炎に飲まれ、塵と消えた。



もう、残っているのは文字通り俺たちだけだ。

馬車の中がどうなっているかは知らないが、、、、、。


俺たちは、何撃かの炎をかわしながら、ドラゴンに肉薄した。

俺は剣を突き立てる。

が、全く通るそぶりが見えない。

『カテェ、、、』


「ドラゴンだから当たりまえだ。

魔法剣か付与武器しか通らない。」


とはラッドの弁。

彼は、ドラゴン種との経験もあるようだ。


魔法剣か、、、、仕方ない、やるか。

魔法剣と言ってもそんなに都合のいいものではない。

属性魔法を纏わせて戦うわけだが、

纏う属性の影響をそのまま受ける。

何が言いたいかというと、火属性なら剣と周りが熱くなるし、風ならば、術者に対してもかまいたちを撒き散らす。

そのため抵抗するための魔法も同時展開させるため、かなりの魔力が必要となる。

その上、魔力を練る時間もかかるのだ。

1分近く、、、、。


俺は仕方なくドラゴンから離れ、魔力を練り始める。


彼等に魔法剣は使えない。

だから俺が練るしかないのだが、、、練りあがり、剣にまとわせる。

炎を吐くドラゴンだ。

炎では無く氷を纏わせる。

氷は、水の上位互換だが、魔力が豊富な俺は、習得することができた。



でだ、剣にまとわせて踏み出した時、炎が前の二人を飲み込み、焼き尽くした、、、、、。


俺は怒りを覚えた。

もう恐怖は無い。

怒りを元に、体に魔法を巡らせる。

今まで一度も使えなかった身体強化が発動する。

火事場のくそ力である。


炎を吐こうとするドラゴンを、かいくぐり、下に潜り込む。

凄まじい勢いで地面を蹴飛ばし宙を舞い、下から魔法件で突き立てる。

顎から頭へ剣が突き抜けた時、件のドラゴンは光と消えたのだった、、、、、。



そして後に残ったのは、俺と、壊れた馬車、背後に、たき火が映し出す馬が二頭、それがすべてだった。



息を落ち着け、俺はあたりを見回す。

二人のいた場所は、すでに何も存在しない。

残ったものもない。

すべてを焼いてしまった。


それが俺と師匠との別れとなった。



しばらく立ち尽くした後、不思議な気配に気が付いた。

馬車のなかに何かいるようだ。


俺は馬車を覗き込む。

そこには大きなズタブクロが二つ転がっていた。

一つがもぞもぞと動いている。


俺は、剣を持ち、いつでも掛かれるようにして、袋の口を解き放った。

中から出てきた一人の女性、月明かりに照らされる女性が最初に放った一言が、俺を驚かせた。


「アスカ、、、、もしかしてアスカなの?」


俺は、その女性を知らない。

そんな白髪の獣人美人に知り合いがいた記憶は無かったのにも関わらず、

何故か彼女は俺を知っていた。

だが、その雰囲気に覚えがある。

二十年以上を近くて過ごした、あいつに似た雰囲気、、、。


『もしかして、、、、、シズネ、、、か?』


白髪の獣人は、俺の顔を見、目に涙を湛えながら、静かにうなずいたのだった、、、、、。

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