冬至
終業式直前の平日となった21日は、冬休みの宿題をするという人たちもいる日だった。
高校2年生の井野嶽幌は、クラスで、宿題について話していた。
「で、どんな感じ」
「冬休みが短いってのに、なんでこんなに出すのかなあ」
「そりゃ教師陣に言ってくれよ」
友人の島永宗谷が、けだるそうに言う。
「そうだ、今日さ、ちょっとしたパーティー開こうと考えてるんだけど、どうかな」
「幌が作るのか」
「当たり前だろ」
その言葉で、周りのみんなが集まってきた。
「幌が作るってのなら、食べてみたいな」
わらわらと集まってくるので、幌は思わず叫んだ。
「こんなに作れるわけないだろ」
「家庭科室、開けてくれるかな」
話は幌が考えている方向を越えて、どんどん膨らみだしていた。
文化祭の時に幌は料理がものすごくうまいということは、誰もが知っているから、誰もが食べたがった。
「だったら誰か、先生に連絡入れてくれよ。今日は当時だから、南瓜うどんにれんこんのてんぷらと考えてるってこともな」
5分と待たずに、許可が下りた。