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レアな連休
その頃木原は隅田川沿いを歩いていた。歩きながら彼は悩む。本当に自分は刑事に向いているのか。
その時犬の散歩をしている親子に出会った。小学校二年生くらいに見えた天真爛漫な女の子は無邪気に母親に質問していた。
「なんで今年はシルバーウィークがないの」
娘の突然の質問に母親は困惑している。
「シルバーウィークはゴールデンウィークのように毎年ある訳ではないのよ」
答えになっていないような答えに女の子は無邪気に答える。
「母ちゃん。分かった。銀は金よりレアだということだね」
親子はどんどん離れて行った。親子の会話を聞き木原は手帳を開いた。手帳にはまったく予定が書き込まれていない。木原はあるページを見た。
「だから四百二十九人の国民なのか」
木原は神津に電話した。
「木原です。暗号が解けました」
木原は暗号の示す場所を神津に伝える。
「ただ少し気になることがあります。この暗号はピノキオの暗号より簡単すぎます」
『いいや。簡単すぎていい。これで真相に近づいた』
神津は合田に推理を報告した。
「なるほど。大野とお前はホテルへ大橋を迎いに行け」