刑法第42条
殺人犯と名乗る男の衝撃的な告白に警視庁は激震が走った。この事実を知った千間と喜田。月影はこのことについて話し合った。議題はその男を逮捕するのかどうか。月影は失踪事件の調書を読みながら発言した。
「もしも自称殺人犯の言っていることが本当だったらどうなりますか」
「刑法第42条を忘れたか」
月影はこの言葉を聞き思い出した。
「刑法第42条。罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。あの事件は容疑者不明で迷宮入り」
千間は月影の言葉を訂正する。
「まだ死体は見つかっていないから容疑者不明で迷宮入りした訳ではない。この調書には失踪としか書いていないから我々警察は犯罪事実が全く捜査機関に発覚していない。そうなれば自首扱いになるだろう」
喜田は疑問を指摘した。
「彼の言っていることが事実だということを前提にすると一つだけ疑問があります。なぜこのタイミングで彼は自首をしてきたのでしょう。この事実は時効が成立する五年後でも変わらないはずです」
「なるほど。黙秘していれば時効は成立していた。自首をしなければ完全犯罪だった。」
月影は提案をする。
「ではその男の事情聴取をしましょうか。それで事実確認はできるはずです。臆病な行動をしていれば会見をしなければならないでしょう」
「これ以上の不祥事は避けたい。捜査一課に連絡して逮捕してもらおうか」