暗号の示す地名
東京拘置所の玄関から駐車場まで二人は歩いた。
「国会議員の役目か」
「十六年前小松原正一失踪。当時酒井忠義と法務大臣の井伊尚政は対立した。これはただの失踪事件ではないだろう」
月影がそう言うと合田の携帯が鳴った。
『木原です。まだ大橋陽一と小松原正一との関係は分かりません。しかし浅野公安調査庁長官と彼は面識があります』
「こちらは国会議員酒井忠義と法務大臣の井伊尚政。この二人が十六年前の失踪事件に関わっていることが分かった」
『国会議員に法務省。そして公安調査庁。かなりでかい事件に発展しそうです。それと浅野公安調査庁長官に大橋から手紙が届いています。内容は暗号文です』
「暗号文」
『東京のある場所を示していることまでは分かるのですがそれがどこなのか分からない。一応その暗号を読みますね』
木原は暗号文を読んだ。そして合田は答えを出した。
「八王子のどこかだろうな。最初のとある国の王の息子。王の息子は王子を示している。その文章を要約すると、ある国に王子が何かを買いに町に出る話。何かというのは園芸で使うもの。たぶん鉢を買いに行こうとしているのだろう。合わせると八王子」
『なるほど』
「ただし王子が鉢を買いに行ったとは限らない。八王子というのは王子を示す地名が八王子しかないから。」
『合田警部の推理を参考にしてもう少し暗号を解読します』