浅野式心理テスト
驚きの隠せない二人に浅野は種明かしする。
「まず私は声で人を選ぶというのは嘘。それと礼儀正しく接するようにと千間刑事部長が言ったと思うけれど実は礼儀正しすぎる人は嫌いなの」
神津は状況を整理した。
「つまりあなたと千間刑事部長はグル」
浅野は指を鳴らす。
「正解。浅野式心理テストの話をしましょうか。まずこの心理テストをするためには二人の仲間が必要。一人は紹介者。もう一人は秘書。紹介者と秘書は間違った情報を与えなければならない。そして嘘の情報に惑わすための準備は完成。後は電話越しに私と話すだけであなたの欲求不満が分かる。」
「続きは別の部屋でしましょうか」
別の部屋で浅野は続きを話す。浅野はボイスレコーダーを取りだした。
「すぐに削除するから安心して」
浅野はボイスレコーダーを再生する。
『浅野公安調査庁長官殿』
浅野はここで一時停止ボタンを押した。
「心理テストのポイントは第一声と私を何と呼ぶのか。あなたは私を役職で呼んだ。それも殿という言葉を付けて。これで礼儀正しく接するという刑事部長は嘘アドバイスの天才だということが分かったの。千間さんは信用できるという意味ね。そして第一声も私の役職だった。第一声で私を役職で呼ぶ。プラス殿。これは出世したいという欲求の表れだと思うの」
木原にとって浅野の一言は図星だった。
「まあ。浅野式と言ったように全て私の主観なの。この心理テストを始めたきっかけは私がこの役職に就任した時。会う人会う人が私の役職にビビって表情が硬い。私は表情が硬い人と話はしたくないの。独学で心理学を学び会う人の表情を和ませようと思った訳。少しはリラックスできたかしら」