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桂川先生は何処に消えたのか?  作者: Nandemoii124
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第四話「消えた桂川先生」

「遅い・・・・・・」

健一の隣に座る美咲は苛立ちながら言う。2人は今、大倉茗荷谷高校の応接室にいる。一応は客人ということで、ここに通されている。現在は13時40分、すでに40分以上は待たされている。

「ま、まあ正式な会議は14時からですし」

「とは言え、その前に非公式にでも向こうの生徒会役員と会って、色々打ち合わせするべきだろう。それに桂川先生も何故出てこない?先生と事前に打ち合わせしたいのだが」

「まあまあ。先生もお忙しいのかもしれません」

そんなことを話していると、応接室のドアがノックされた。

「はい」

健一が返事をすると、ドアが開いた。3名の高校生が応接室に入ってきていた。1人は男子高校生だ。がっちりとした体格のいかにも体育会系の雰囲気の男だ。その男の隣にいる女子高生はとても化粧が派手だ。制服のリボンもちゃんとしまっていない。対照的にその女子高生の隣にいるメガネの女子高生はとても控えめで物静かな雰囲気だ。

「大倉灘高校から来られた皆様ですね」

男が聞くと、健一たちは首を縦に振った。すると、男は笑みを浮かべた。

「初めまして。私は橋本隆二と申します。この大倉茗荷谷高校の2年生で、生徒会長をさせて頂いております」

男はそう言うと、頭を下げた。

「同じく2年生で、生徒会副会長の有田友里。よろしくね」

化粧の派手な生徒が自己紹介をする。とてもなれなれしい雰囲気だ。

「1年生で、生徒会会計の広川ありさです。よろしくお願いいたします」

メガネの女子生徒が頭を下げる。

2人は、この3人が今日のカウンターパートである大倉茗荷谷高校生徒会の役員達だと知り、立ち上がる。

「ご丁寧にありがとうございます。大倉灘高校2年生で生徒会長の亀岡美咲です」

「同じく、1年生で生徒会副会長の西岡健一です」

2人は頭を下げた。

「どうぞ、お座りください」

橋本はそう言って、健一達に着席するように促す。2人が着席したことを確認すると、この3人も着席した。

「ここまでは迷わずこれた~?」

有田がなれなれしく聞く。

「こら、有田。お客さんに対してなんて口の利き方なんだ」

橋本は咎めるように言う。

「いいじゃ~ん。堅苦しいのじゃみんな疲れるでしょ」

「すいません。うちの副会長、こんな感じなんです」

広川が軽く頭を下げた。

「はははは・・・・。別にいいですよ。私達は同年代。今日から3日間で友情を深めていきましょう」

美咲は多少苦笑しながらも、こう答えた。

「ありがとうございます。こんなやつですが、かなり頼りになる奴なんです。有田も広川もうちの生徒会にとってなくてはならない存在なんですよ」

橋本は言う。それが彼の本心から出て来た言葉であることは、健一にも容易に分かった。

「ところで・・・・うちの学校から桂川先生という女性教諭がことらにお邪魔しているはずですが、どこにいるかご存じじゃありませんか?そろそろ御校との会議も始まりますし、こちらとしても、色々打ち合わせをしたくて」

「美咲がそう聞くと、3人は微妙な顔をする。

「ええっと・・・・・・」

「そ・・・・・そうですよね・・・・・」

有田と広川は困惑の色を浮かべている。

「その・・・・・。実を言うと、14時の会議なんですが、予定通り開催できない可能性があります」

橋本は言いにくそうに言う。

「え!?どういうことですか?」

健一は聞く。

「そ・・・・その・・・・我々の口からは何とも言えないんです。ただ、我々も教員たちそのように伝えてほしいと頼まれまして」

「何かあったんですか?こちらとしても神戸から来た以上、事情をお話してほしいのですが・・・・・」

美咲が聞く。

「いらっしゃらないんですよ。桂川先生が・・・・・」

声のした方を振り向くと、応接室のドアの前に1人の男が立っていた。60代の初老の男性だった。

「大倉茗荷谷高校生徒会顧問の御手洗です。私の方から事情を説明しますね」

御手洗はそう言うと、2人に近づく。健一は何となく不安な気持ちになった。

「御手洗先生、桂川先生がいないというのは・・・・・どういうことなんですか?先生は既に東京に来ているはずですよね?」

健一は真剣な表情で聞く。

「ええ、その通りです。御校の桂川先生は一昨日からこちらに来ていました。実を言いますと、一昨日から昨日まで、大倉学園グループの新任教諭向けの研修会を東京で開いていたんです。まあ、実施したのは、大倉学園本部とその委託を受けた研修会社なのですが」

御手洗先生が落ち着いた口調で、淡々という。

「そうだったんですか」

健一は言う。

「桂川先生は研修会終了後、こちらにお越しいただく予定でした。それは今日から始まる両校生徒会の交流行事に向けた最終打ち合わせと、行事への付き添いをお願いするためでした。私の都合もあり、今回のイベントに関しては、桂川先生お一人で付き添いをしてもらう予定でした」

「それで先生は?」

健一が質問すると、御手洗は少し困惑したような表情を浮かべた。

「桂川先生は一昨日の打ち合わせにはお越しになりました。しかし、昨日の打ち合わせには現れませんでした。私も気になって研修を主催した研修会社の方にも確認したんですが、桂川先生はどうやら昨日の研修会も欠席していたようです」

「そ・・・・そんな!!」

美咲は驚いた表情を見せる。2人の知る桂川先生はそんな無責任な人ではない。美咲は予想外の話に困惑していた。

「そういう訳で・・・・・実を言いますと交流行事を予定通り開催できるかかなり微妙な状況なんです。御手洗先生も行事への付き添いが難しく、場合によってはクリスマスパーティー以外の行事は延期という可能性もある状況なんです」

2人は予想外の事態に、ただただ困惑するばかりであった。そして健一も美咲も、これはただ事でないという漠然とした予感のようなものを感じていた。

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