第三話「初めての東京」
東海道新幹線のぞみは定刻通りに東京駅に到着した。
「ここからは丸ノ内線だったな」
「はい・・・・。えっと丸ノ内線のホームに行くには・・・・・」
健一はきょろきょろと周りを見回す。丸ノ内線のホームがどこにあるのかはまだ分からないが、とりあえず改札口に行く方法はわかった。
「始めて来ましたけど・・・・やっぱり東京駅は大きいですね・・・・・」
「ああ・・・・・そうだな・・・・・。私も始めてきたが、本当に大きいな」
2人は東京駅の大きさに圧倒されていた。ホームの外には丸の内の高層ビルが目に飛び込む。大阪や神戸も都会だとは思うが、それでも東京の凄さには圧倒されていた。
「西岡は、東京は初めてなのか?」
「はい、僕はずっと神戸です。先輩は?」
「私もだ。生まれてからずっと神戸」
2人は改札口へと向かうエスカレーターに乗りながら話す。
「ところで・・・・先ほどの男はどうだ?」
美咲は心配そうに聞く。
「いえ・・・・もういませんね・・・・・。すいません、ひょっとしたら僕の勘違いだったかもしれません」
「まあ、気にするな。むしろ、私のこと心配してくれてうれしかったぞ」
美咲は素直に感謝の気持ちを伝えた。改札口を出ると、2人はどうにか丸ノ内線のホームの方向を示す案内板を見つけて、その案内板の指し示す方角に向けて歩いて行った。
茗荷谷駅の周りは、中央大学や筑波大学といった大学のキャンパスが多い地域だ。2人が茗荷谷駅に着くと、電車を降りた。年末で学校も休みだからなのか、降りる客は多くない。
「ここか・・・・・」
「ええ、地上駅なんですね」
2人はそんな短い会話を交わした後、改札口を出た。幸いにも改札口の前に大倉茗荷谷高校の場所を示す看板があったので、2人はそれに従って真っすぐ大通りを進むと、すぐに高校の校舎が見えた。そこにあったのは、モダンで洗練された5階建ての大きな建物だった。最近建設された校舎なのだろう。真新しい。2人の通う大倉灘高校では昭和期に建設された校舎をいまだに使っているが、どう見てもこちらの方が快適な校舎に見える。
「きれいな学校だな」
「そうですね」
校門は締まっている。健一は校門わきに設置された警備ボックスに近づくと、警備員に来意を告げた。
「神戸にある系列校の方々ですね。今、教職員の方を呼び出しておりますので、少々お待ちください」
警備員はそう言って、警備ボックスの中にある電話機を取り出して、教職員室へ電話を掛けた。




