【プロットタイプ】摩擦と火花
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。
これは読者様の問題ではなく、私の問題。
詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。
注意事項2
頭が良い子だけが天才 とは限らないんですよ。
馬鹿と天才は紙一重。なんて言葉がある様に、表裏一体である。だから俺はきっと天才にはなれないのだろう。
本日の鏡花の気紛れ小説に目を通す。頭の良い子供と、その子供にあらゆる物を与える女の話だった。ある時は知恵、またある時は障害、兎に角、相手が今より素晴らしくなる様に、面倒を見続ける。
中盤まで読み進めたところで、こんな心情が目に入った。
――あの子は非常に頭が良い。難しい問題が解けると言うよりも、自分の立ち位置を把握して、相応しい振る舞いが出来る。けれどもだからこそ、絶対に天才になれない。
頭の良い奴は天才。と安直に答えを出したがる人間は多いが、意外とそうではない。寧ろ利口だからこそ、天才になれない事がこの一文に込められていた。
頭が良いからこそ、未来の予測が立てられる。自分の立ち位置が分かってしまう。つまり、保険を掛けてしまうのだ。
このままでは上手くいかない。だから別のルートを考えよう。今、自分の適性は自分が望むものでは無い。だから希望を捨てて、自分が出来ることをしよう。
無駄な事をしなのだ。形振り構わず、人の視線さえ突っぱねて、自分の知能に全精力を注ぐ事が出来ないのだ。ブレーキを掛けてしまうから。
「火花が見える」
加速の限りを尽くした列車に急ブレーキが掛かる。強い摩擦は火花を産み、辺りに閃光を齎す。その一瞬の煌めきは輝かしい栄光ではなく、退屈な惰性へと繋がる。
そんな想像をしてしまった。
「あぁ……良い表現だね」
何時もの響き渡る声ではなかった。ただしっとりと囁く様な重さのある声だった。
「この子供、瑠衣たんね。なにぶん頭が良いから、多分一回諦めてる。小説に全てを捧げて居るようで、捧げ切れてない。其れでも、また加速してる」
分かっている。作家には慣れないと。何もかもが不足していると。其れでも諦め切れなかった。書くことを辞められなかった。だからブレーキを掛けながらも、アクセルを踏んでしまう。
「そういうの大好きでしょ?」
当たり前だ。
仕事をしていたら浮かんだんですよ。
滅茶苦茶頭の良いクールな子と、その子の面倒を見る大人っていう構図。
色々与えます。知恵も問題も障害さえも。
けど、頭の良さ故に、やる気なくす時があったんです。
未来予測をして、手を抜く事があったんです。
『馬を水辺に連れて行っても、水を飲ませることはできない。
……私は貴方にあらゆる事をしてあげられる。助言も、解決案も、障害だって与えてあげられる。
でも貴方自身が『こうしたい』と思わなければ、何も変わらないんだよ。
私が何かし続けたように、貴方もやる気出しなさい』
って。
その少し前の話がこれ。
『あの子は頭が良い。でもだからこそ、天才にはなれない。してあげられない』
って。
頭が良いって色んなところに使われることばですが、今回は自分を客観視して、最善策を実行出来る。
という意味。
こういう子って、保険掛けちゃうんですよ。
このまま行った落ちるの分かるから、全力入れるんじゃなくて、別のところに視点を向けようって。
形振り構わず、周りの視線さえ突っぱねて、注げるのがやっぱり天才の共通点だと思います。
ほら、昔の異端者ってそうじゃないですか。
何言われても、自らの理論を貫く。そうして今『天才』と囃されている訳で。
その子には其れが出来ない。
そんなリスクを犯せない。
その様が瑠衣と重なりました。
作家の夢諦めちゃってるし、一般の仕事着いちゃったし。
でも書くことは諦められないから、アクセルはフル。
最高傑作作りたいのは変わらない。
その様が、摩擦と火花に重なった。
そんな話。