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ウワサのモリヤ  作者: コトサワ
33/48

きっかけ降臨

水本、自分の思い付きに賞賛を送る。

湧井さんから電話があった。雨が、それから30日の日帰りキャンプが、楽しみで仕方がない夏休みに入って、3日目のことだった。

湧井さんは不思議なことを言った。雨が降って、モリヤの家に行く時、小川くんに連絡するようにと言うのだ。どうして?と当然オレは聞いた。すると

『小川くんも一緒に行きたいんだって。』

うん?

「そうなの? ···でも··· オレに合わせる必要は、ないんじゃないの?」

2人は、よく2人だけで話をしているし、小川くんはモリヤの家に泊まったことだってある。

「あ!」

思わず、思いつきに声を出してしまった。なあにと湧井さんが聞く。

「小川くんは、まだやっぱりオレとモリヤのこと、恋とか思ってて、それで気を使ってるの? オレがいない時に行っちゃいけないとかって?」

小川くんは、すぐオレに妬くなよとか言うもんな。

『そういうわけじゃないよ。』

違った。じゃあ···?

『水本が心配なんだって。』

「心配···。」

又そんなことを。オレがモリヤの家に行くことの何が。···湧井さんも小川くんも、モリヤが怖いって言った。だからか···? モリヤが怖い···。そこもオレにはさっぱりだ。

『水本は、イヤ? 小川くんが一緒だと? モリヤの家では二人っきりでいたい?』

「えっ!! いや! いいや! そんなことないよ。」

『ほんと? じゃあ小川くんに連絡したげてくれる? 雨の日にモリヤの家に行く時は···。』

「···うん。分かった。電話するよ。····留守だったら、いいよね?」

『小川くんが出なければ私にして!』

「···お···あ、う、うん。」

うん···? どうするんだろう。湧井さんが行くのかな。湧井さんもモリヤん家、行きたいのかな···? どうも、いろいろと理解の追いつかないことが多い。追いつけないまま、それを放置して生活している。

オレ自身、モリヤの家にしばらく行っていない。オレは───────とても行きたいんだ。だって、約束をしたのは、もうずいぶん前だ。涙の歌をうたうって。一度、せっかく行ったのに歌うのを忘れて、二度目は雨が強すぎてモリヤの家に行けず。それきり雨の森の家に行っていない。ピクニックの次の日、モリヤが休んだ日に、家にはおじゃましたけど。晴れている、日のあるうちで、あの日は歌をうたわなかった。モリヤの希望は〝雨の日に家に来て歌をうたって〞ということだから。

『水本?』

「あ、うん。するよ、電話。」

『絶対よ?』

「するよ。したら湧井さん、一緒に行くの? モリヤん家?」

聞いてみた。

『·····』

あれ? すぐに答えがないの、珍しいな。

「そうじゃないの? 報告するだけ?」

『·····』

あれ??

「湧井さん?」

『····ごめんっ! 水本の電話があるまでには、ちゃんと考えとく!』

考える···· うん?? 電話することへの目的は?? 決まってるんじゃないのか···??

「···えーと···」

『もし、もしもよ? 私が一緒に行ったら、水本はイヤ···?』

「いやじゃない。····けど····」

小川くんの時はモリヤ、灯りを入れてくれたって言ってた。湧井さんの時はどうなんだろう? 灯り、入れてくれるのかな···。もし、オレの時みたいに真っ暗だったら··· オレ··· 湧井さんが困ってても何も助けられないし、モリヤも二人分助けることはできないんじゃ····

『···私が、怖がると思ってる?』

「えっ⁉」

怖がる? 何を?

「···モリヤを···?」

『ううん。小川くんが言ってた。モリヤの家、すごく暗いって。最低限のアカリしかないって。』

う··· ───··う? 最低限··· そ、そうか、そうそう。小川くんの時は灯りがあったからね。そう。

『小川くんも暗くて怖かったって。』

「·····」

怖い···かァ···。あの暗さはオレには怖いことではないけど。灯りがあっても小川くんが怖いんじゃ、同じ状態でも湧井さんは、きっともっと怖いなァ···。

「暗いの怖かったら、湧井さんはモリヤん家、行けないね。」

『分かった。』

「ん?」

『雨が降りそうな時は、絶対小川くんに連絡つくようにしとく。そう言っとく。』

オレは受話器を持ったまま、目を白黒。

「···どして···」

『大丈夫、大丈夫! まかせといて!』

何を。なんだかよく分からないまま、オレはハハハと笑ってしまった。湧井さんらしくもなく、支離滅裂な気がして。分からないながら了解と言って受話器を置く。

───────けど···。このこと───雨の日に小川くんと2人で、モリヤん家へ行くということを、モリヤに言っておかなくていいだろうか。モリヤは特に準備とかはしないだろうが、でも···。たまに、料理とか··· と考えて、オレは一人で赤くなってしまった。頭を振って、恥ずかしいのを振り払う。

夏休みじゃなかったら簡単に伝えられるんだけど。モリヤん家、電話無いしなァ···。なんて考えて、オレは思い至った。 なんだ! そうだ! 伝えに行けばいいんじゃないか!! ナイス! ナイス考え!! それなら雨が降らなくったって、モリヤの家に行く理由ができる。ハハハ。やった! やったぞ!

明日だ。さっそく明日行こう! 朝から行ってしまおう! びっくりするかな。びっくりするだろうな。約束は雨の日だもの。····もし、もし忙しそうだったら、言うことだけ言って帰ってきたらいいよな。うん。大丈夫。あ!! そうだ! おにぎり作っていこうかな!! オレはここで、ぐるぐるっと考えた。モリヤの家に、おにぎり作って持って行こうかって前に話した時、〝本当にたまに、にする〞ってオレ、モリヤに言った。けど一回も、まだ作って持って行ってない。だから明日持って行っても、〝たまに〞からは、外れないはず。〝ものすごくたまに〞の第一回目だ。次をうんと後にすればいい。よし!

オレはさっそく、梅干しと塩昆布があるかどうかを確かめに、台所へ行った。

水本の明日をお楽しみに!

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